気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた その2

2014-06-14 23:07:17 | 短歌人同人のうた
桜吐く無言のこゑのざわめきを聞きつつあゆむきみのゐぬ春
(橘夏生)

七十歳(ななじゆう)の手前にて死す小高賢恥ずかしそうな顔をしている
(長谷川富市)

ヘルメットの下にのぞけるポニーテール速達一通手渡されたり
(紺野裕子)

なにがなし八という数ほろ苦し八方美人腹八分目
(今井千草)

町角に新規開院歯科ありと歯ブラシ配る三人のあり
(林悠子)

胴震い続けるバスよ眠るとき人はなぜみな老いた顔する
(森澤真理)

仕付け糸つきしままなる一枚を亡骸に着せ義母を見送る
(山本栄子)

唐突に逝きたる友の笑い声ふとも聞こえてさくら人込み
(松圭子)

春の日や文(ふみ)を書かむと小町通りさくらの絵葉書三枚をかふ
(岡田幸)

「日本撤去」という会社名もテロップに見ゆゴミ屋敷番組の終りに
(小野澤繁雄)

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短歌人6月号、同人1欄より。