
ビゼーの組曲《アルルの女》は大好きな音楽の一つですが、その台本となった戯曲は未読で、演奏会のプログラム記載されているあらすじを読んだ程度でした。先日、近所のブックオフをうろついていたら、100円コーナーにその戯曲を発見。気軽に読めそうな薄さだったので、買ってみました。
南フランスの農家の息子フレデリが、恋した女性(アルルの女)と婚約までしたのに、その女性がある男の愛人だったことを知ってしまい、思いつめ自死を選ぶという悲劇です。でも、組曲《アルルの女》がとてもそんな悲劇の音楽に聴こえないのと同様に、戯曲を読んでイメージされる世界は素朴で明るい農村の絵姿です。とても不思議な読感です。
フランスの作家ドーデーの傑作とされているらしい本作ですが、正直、私にはあまり響くところはありませんでした。ビゼーの音楽と物語の情景のマッチングは素晴らしいと思いましたが、ストーリーとしてはこれといった特徴はなく、作者からのメッセージを感じるわけでもない。本人は一度も登場しないにもかかわらず、表題のアルルの女が発する個性は強烈ですが、無粋な私には、それがどうしたという感じ。
この物語にあんな音楽を付けたビゼーが凄いと改めて感心した次第ですが、その原作の良さは結局わからずじまいでした。
YTで、パリ・オペラ座のジェレミィ・ベランガールとエレオノーラ・アッバニャートによる、ローラン・プティ振り付けの「アルルの女」を観られます。最後の場面では、牧歌的な雰囲気はないですね。フランス人にしか判らない何かがあるんでしょうか。
こんにちは。なんでもアップされているんですね。見てみますね。