その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

都響/アラン・ギルバート: リムスキー・コルサコフ〈シェヘラザード〉ほか @東京文化会館

2024-07-27 07:30:20 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

1カ月ぶりの生音。アラン・ギルバートと都響コンビ、プログラムには久しぶりの〈シェヘラザード〉とあって、楽しみにしていた演奏会。

前半2曲は全く初めて聴く曲。マグヌス・リンドベルイのEXPOは変化に富み、SFの映画音楽のような趣もあり楽しめた。2曲目のエドゥアルド・トゥビンのコントラバス協奏曲も耳になじみやすい音楽。コントラバスソロの池松さんの豊かな音に身を任せていたら、危うくあっちの世界に行きそうになった。カーテンコールでは、還暦を迎えられた池松氏が団員から赤のちゃんちゃんこをプレゼントされる一幕があり、アンコールはそれを着てハープの吉野直子さんとも入ってジャズ風のアメイジング・グレイス。味わい深く、ハープとの組み合わせも美しく、しみじみい聴いた。

後半の〈シェヘラザード〉は圧巻。いや~、都響ってこんなに上手なんだと感嘆しきり。コンマス矢部さんの深みがあって、愁いを帯びた美しいヴァイオリンはもちろん特筆ものだが、木管をはじめとした各パートのソロの響きもうっとり聞かせる。そして、オケが一体となっての合奏はうねりがあって、ドラマチックでスケール大きい。「隙が無い」とはこういう演奏を言うのではというほど、素晴らしいものだった。

アランと都響の相互の信頼感から、こうした演奏が引き出されているのだろう。ステージを見ていて、アランの指示に応えつつ、それに終始することなくメンバーが夫々の自分の色を出そうとする余裕のようなものも感じたのは気のせいだろうか。このコンビの底時からを見た気がする。

終演後はブラボーの掛け声も含めて大拍手。団員引き上げ後も続く拍手に、アランは矢部さんを伴って登場し応えてくれた。前週のベートヴェンの〈運命〉を聴きに行けなかったのは実に悔やまれるが、今後もこのコンビは必聴だ。

 

第1005回定期演奏会Aシリーズ
 日時:2024年7月24日(水) 19:00開演(18:00開場)

出 演
指揮/アラン・ギルバート
コントラバス/池松 宏(都響首席奏者)

曲 目
マグヌス・リンドベルイ:EXPO(2009) 
エドゥアルド・トゥビン:コントラバス協奏曲 ETW22(1948)     
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》 op.35(ヴァイオリン独奏/矢部達哉)         

【ソリスト・アンコール】
アメイジング・グレイス(安田 芙充央 編曲)
(コントラバス/池松 宏、ハープ/吉野直子)

 

 

Subscription Concert No.1005 A Series
Date: Wed. 24. July 2024 19:00 (18:00)

Artists
Alan GILBERT, Conductor
Hiroshi IKEMATSU, Contrabass

Program
Magnus Lindberg: EXPO(2009)             
Eduard Tubin: Double Bass Concerto ETW22 (1948)          
Rimsky-Korsakov: Sheherazade, op.35     

【Soloist Encore】(7/24up)
Amazing Grace(arr by Fumio YASUDA)
(Hiroshi IKEMATSU, Contrabass、Naoko YOSHINO,Harp)


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