その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

高知/土佐と言えば龍馬!:2024年夏 高知の旅(4)

2024-08-29 07:21:08 | 旅行 日本

【桂浜 龍馬像】

午後は車を借りて、高知市郊外の桂浜へ。太平洋に向かって立つ坂本龍馬の銅像で有名だ。熱狂的ファンとは言えないが、中高校生の時に小説『竜馬が行く』や伝記を読み、数々の大河ドラマでも視聴してきた。そのスケール大きく、柔軟な思考と、驚くべき行動力は、憧れでもあったし、好きな歴史上の人物の中でも特異な存在である。龍馬の像=桂浜の像というぐらいのアイコンであり、昔から一度は訪れたい地であった。

銅像はてっきり桂浜の浜辺にあるもんだと思いこんでいたのだが、到着してみると浜にあるのではなく、浜にせり出した小山に立っていた。駐車場に車を置いて、階段と坂道を上って数分で着く。想像よりもずっと高く、大きい。桂浜も含めて、太平洋を見渡し、更にその視線・思考の先は海の向こうの世界に伸びているように見える。銅像そのものから感じる力強さ、エネルギーは何だろう。その迫力に打たれた。


(階段上って龍馬像へ向かう)


(これが、あの龍馬像か~)

銅像の前に広がる太平洋の大海原、白く長く続く浜辺の景観も素晴らしい。天気に恵まれたので、海の青緑、空の青さ、浜辺の白のコントラストが美しく輝き、目を奪われる。まさに文字通り「観光」。光を観る様だ。

 

【高知県立坂本龍馬記念館】

桂浜一帯は公園として、綺麗に整備されている。食事処や土産物屋も、モダンで綺麗なショップがあって、昭和の萎びた観光地の土産物街とは一線を画していた。しばし、そこで土産の買い物や高知名物のアイスクリンを食べた後に、近くの高知県立坂本龍馬記念館へ。

ここは、文字通り坂本龍馬をテーマにした博物館。新館にある常設展には龍馬関連の史料が展示してある。手紙類が多いのだが、この記念館の素晴らしいところは手紙等の史料に現代語訳がついていること。近代以前の史料は古語・古文で書かれていて、たいていの博物館の展示は現代人にはほとんど解読困難で、何が書いてあるかわからず残念である。だが、ここの展示は、現代語訳がついているので、コンテンツが分かるのだ。特に手紙類は、その本人の性格や気持ちが直接現れるので、訳があると本人にぐーっと近づいた気になる。これは有難かった。


(常設展)


(龍馬から姉への手紙(原本))

史料は原本が他の国立博物館所蔵でその複製ものが多いが、中には真筆(原本)もある。展示ケースに入った史料を見ても、素人には複製でも違いは大して分からないと思うのだが、真筆として見ると、がぜん質感、肌触りが違うような気がするから不思議だ。

龍馬と並んで、別室に中浜万次郎(ジョン万次郎)関連の展示室もある。改めて、その人生に触れると、土佐の最下層身分(博物館の記載から)であった漁師の家に生まれ、嵐で遭難し、アメリカ船に拾われて、米国で教育を受け、日本に戻り通訳として活躍するというその人生のダイナミックさに驚嘆する。人は、やっぱり努力・環境・能力の賜物であり、そしてそうした機会を与えられ、活かせる今の社会の有難さを痛感する。


(ジョン・万次郎展示室)


(『漂巽紀略』写本・・・聴き取りによる万次郎の漂流記)

この記念館、龍馬や幕末に興味がある人には強くお勧めしたい。一方で、この分野に興味が無い人には向かないかも。本館には幕末の動きを楽しみながら、分かりやすく解説する展示になっていて初学者の学びには良いと思ったが、日本史にはあまり興味ない相方には、新館・本館とも「ふ~ん」で終わっていた(悲)


(本館の中2階から桂浜を望む)

【土佐ジロー】

時間があれば、清流で知られる仁淀川中上流も訪れようかとも考えたが、思いのほか桂浜で時間を費やしたので、下流部分を少しドライブするに留めて、高知市街に戻った。そして、いよいよ2日目の夕食。前夜の龍馬屋はかなりサプライズだったが、この日訪れた「こうじ家」は、地元の会社帰りの人が立ち寄りそうな落ち着いた雰囲気のスタンダードな料理屋/居酒屋だった。

前夜に鰹を沢山頂いたので、この日は鰹よりもブランド地鶏である土佐ジローを中心に注文。非常に身がしっかりしていて、脂身少なく食べ応えがある。鳥の味も味付けもとっても美味しい。盛り付けやお皿も美しい。お酒は地酒の利き酒セットを頂く。カウンター席だったが、板前さんと距離がやや離れていたこともあって、板さんと会話を楽しむということは叶わなかったが、その分、料理やお酒をじっくり味わった。美味い高知はまだまだ続く~。

(2024年8月23日)

 


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