その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

6月N響定期は日本人「若手」指揮者競演 ~原田慶太楼のオール・スクリャービン・プログラム~

2024-06-11 07:46:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

今月のN響定期は「若手」日本人指揮者による3本立て。どれも魅力ある共演者と組み合わせた楽しみな演奏会が続きます。

先頭バッターは原田慶太楼さんで、プログラムはスクリャービンの初期の作品から3本。最初の「夢想」を除いては、過去にN響定期で聴いたことがありますが、残念ながらあまり記憶に残っていません(ピアノ協奏曲は指揮がヴェデルニコフさん、ピアノがコロベイニコフさん。交響曲2番がパーヴォさん)。ピアノ独奏の反田さん効果か、このマニアックなプログラムなのにNHKホールは完売です!

反田恭平さんは、ご自身でオーケストラ立ち上げたり、ラジオのパーソナリティ等も行い、幅広く活躍されてます。今回のスクリャービンのピアノ協奏曲は初めての演奏とのことですが、微塵も感じさせない堂々たるものでした。楽曲もスクリャービンでも初期の作品と言うことで、耳になじみやすいものです。ショパンの影響を強く受けているということが、プログラムノートに書かれていましたが、ショパンの優美さに、さらにロシア的な雄大さを感じる音楽でした。反田さんのピアノは打鍵が強いのか、優しい弱音も含めて3階席迄はっきりと音が届きます。不覚にも第2楽章はオーケストラとピアノの絶妙なアンサンブルの美しさにちょっとウトウトしてしまったほど。第3楽章はロシア的なスケール感一杯の聴きごたえ満点の演奏でした。

後半の交響曲第2番は、5楽章構成ですが、第1と第2楽章、第4と第5楽章は続けて演奏されるので、3部構成とも言えます。第2楽章の美しさはとびきりで、うっとり。第4、5楽章は畳みかけるスケール感一杯の音楽。楽曲としてはやや冗長に聞こえてしまうところはありましたが、原田さん指揮のN響は、集中力途切れることなく充実した演奏です。フルート、クラリネットのソロにも耳をそばだてます。

原田さんとN響のコンビに接するのは3度目ですが、相互に信頼感が確立して安定した関係になっている印象を持ちました(最初に見た時は原田さんが随分と緊張されていたのが、よくわかったぐらい)。続く、沖澤さん、鈴木さんとの聴き比べも楽しみです。

定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第2013回 定期公演 Aプログラム
2024年6月9日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
スクリャービン/夢想 作品24
スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20
スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

[アンコール曲]

6/9:ショパン/マズルカ 第34番 ハ長調 作品56-2
ピアノ:反田恭平

指揮:原田慶太楼
ピアノ:反田恭平

 

Subscription Concerts 2023-2024Program A
No. 2013 Subscription (Program A)
Sunday, June 9, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Scriabin / Rêverie, Op. 24
Scriabin / Piano Concerto F-sharp Minor Op. 20
Scriabin / Symphony No. 2 C Minor Op. 29
[Encore]
June 9: Chopin / Mazurka No. 34 C Major Op. 56-2
Piano: Kyohei Sorita

Artists 
Conductor: Keitaro Harada
Piano: Kyohei Sorita


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