9月に続いて、ルイージさんの登場。きっちりと各季に登場していただくのは、首席指揮者としてとっても大事なことだと思うので、ルイージさんの真面目さというか、真剣さが伝わってきて、とっても好感持てます。
この日の2曲は私は初めて聞く曲です。
一曲目のワーグナーの<ウェーゼンドンクの5つの詩>はソロの藤村さんの歌唱が圧倒的でした。スーッと清らかで透明感ある美声がホールを貫きます。かといって、無色透明ではなくて、仄かな暖かさや色艶があり、熱い情熱も籠っている。名人による奥儀の接しているような感覚でした。感嘆。
後半のブルックナーは初稿ということで70分ほどの大曲。いかにもブルックナーを感じる音楽のつくりでありながら、発展途上を見るような初々しさも残っている曲の印象でした。冒頭から、弦、とりわけチェロチームの気迫入った合奏が耳に留まります。そして、弦と絶妙なバランスを保ちつつしっかり自己主張する管楽器、とりわけホルン隊が良かった。そして、第3楽章アダージョの美しいこと。第4楽章は、私的にはちょっと長くて途中でやや聴き疲れがあったのですが、最後のフィナーレは盛り上がりました。
今日の2曲はさほど演奏会で取り上げられる曲でないと思いますが、しっかりした名曲で、それを高いレベルで聞かせてくれた、いぶし銀で質実剛健な演奏会でした。ルイージさん、さすがやな、と満足感一杯で夕暮れに包まれるNHKホールを後にしました。
第1971回 定期公演 Aプログラム
2022年12月4日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール
ワーグナー/ウェーゼンドンクの5つの詩
ブルックナー/交響曲 第2番 ハ短調(初稿/1872年)
指揮 ファビオ・ルイージ
メゾ・ソプラノ 藤村実穂子
No. 1971 Subscription (Program A)
Sunday, December 4, 2022 2:00pm [ 1:00pm ]
NHK Hall
Program
Wagner / Wesendonck Lieder
Bruckner / Symphony No. 2 C Minor (First Version / 1872)
Fabio Luisi Conductor
Mezzo soprano Mihoko Fujimura