
チェネレントラの初日を観に行きました。
このオペラ大好きなのですが、あまり日本で上演される機会が少ない上に、今回は題名役を脇園彩さんということで、私としては異例の2公演のチケットを購入しています。
初日の公演は、作品の面白さ・楽しさ、音楽の軽快さ・美しさなど、ロッシーニの傑作のひとつであるこのオペラの良さがしっかり表現されていました。モノ申したいところも無いわけではなかったのですが、そんな小さなことはどうでも良いという気分になる大満足の公演です。
群を抜いて素晴らしかったのは、ヒロインの脇園彩さん。この方、昨年「セビリアの理髪師」で初めて聴き、その溌溂とした演技と美しい歌唱に驚かされたのですが、今回はそれ以上。独り舞台と言っても良いほど、舞台の軸として光輝いていました。その美しく、正確
で、声量もたっぷりの歌声には、胸を貫かれるようです。演技や表情もまさに自己主張するヒロインそのもので、ステージに活力が与えられます。欧州でもこれだけのアンジェリーナの歌い手はいないのではないかと思わせるほどでした。カーテンコールで「ブラボー!」叫べないのが何とももどかしい。
アンジェリーナを囲む歌手陣が男性陣を中心に充実していたのも、舞台が締まった一因でしょう。王子役のバルベラのテノールは伸びやかで柔らかく聴かせてくれましたし、義父役のコルベッリ、従者ダンディーニの上江、哲学者のアリドーロのサゴーナ、派手さはないですが、安定した歌唱、堅実な演技で、舞台がとっても落ち着いていました。義理の姉たちの高橋、斎藤もコミカルで意地悪な俗物ぶりを十二分に発揮し、盛り上げてくれました。
指揮の城谷正博さんは全く初めて接する方だったのですが、歌手、オケをしっかり束ね、集中度の高い公演に仕立てていて好印象です。
映画の撮影所に読み替えた演出は、正直ついて行けず。何を狙っているのかは分からないままでしたので、2回目の観劇の際にしっかり注目したいと思います。
いずれにせよ、これは見逃すことなかれと自信をもって言える舞台です。脇園さんを聴くだけもお値打ち十分です。私も今から2回目がとっても楽しみ。
2021年10月1日(金)
2021/2022シーズン
ジョアキーノ・ロッシーニ
チェネレントラ<新制作>
La Cenerentola/Gioachino Rossini
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:
2021年10月1日[金]~10月13日[水]
予定上演時間:
約3時間15分(第Ⅰ幕105分 休憩25分 第Ⅱ幕65分)
スタッフ
【指 揮】城谷正博
【演 出】粟國 淳
【美術・衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照 明】大島祐夫
【振 付】上田 遙
【舞台監督】髙橋尚史
キャスト
【ドン・ラミーロ】ルネ・バルベラ
【ダンディーニ】上江隼人
【ドン・マニフィコ】アレッサンドロ・コルベッリ
【アンジェリーナ】脇園 彩
【アリドーロ】ガブリエーレ・サゴーナ
【クロリンダ】高橋薫子
【ティーズベ】齊藤純子
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
Opera
La Cenerentola
New Production
Music by Gioachino ROSSINI
Opera in 2 Acts
Sung in Italian with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE
1 Oct - 13 Oct, 2021 ( 6 Performances )
CREATIVE TEAM
Conductor: JOYA Masahiro
Production: AGUNI Jun
Set and Costume Design: Alessandro CIAMMARUGHI
Lighting Design: OSHIMA Masao
Choreographer: UEDA Haruka
CAST
Don Ramiro: René BARBERA
Dandini: KAMIE Hayato
Don Magnifico: Alessandro CORBELLI
Angelina: WAKIZONO Aya
Alidoro: Gabriele SAGONA
Clorinda: TAKAHASHI Nobuko
Tisbe: SAITO Junko
Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra
