自分にとってはチョン・ミョンフンさんのコンサートは久しぶり。いつも奥深い感動を与えてくれるチョン・ミュンフンさんの指揮は、N響指揮陣の中でも特に好きなものですので、このコンサートは楽しみにしていました。
ロッシーニのスターバト・マーテル は1年半前に、ネゼ=セガンさんの指揮、ロンドン・フィルハーモニック演奏で聴いている(こちら→)のですが、その時もベートーベン交響曲第2番とのカップリングのプログラム。何か、この2曲はあるのでしょうか?
ベートーベンの2番はN響らしい均整のとれた演奏でした。チョン・ミョンフンさんは、アクセントの強弱を明確につけながら、軽すぎず、重すぎずで、全体のコントロールをしっかり効かせているといった印象です。安心して音に身を委ねることができる、そんな演奏です。やっぱりN響は上手いなあと感心。
休憩後のロッシーニのスターバト・マーテル、これは圧巻でした。合唱、演奏、独唱がしっかりと組み合わされた高水準なパフォーマンスです。特に合唱が美しかった。大きなNHKホール一杯に響く合唱は落ち着いた大人の歌唱でした。独唱はソプラノの2人が印象的でした。ソ・ソニョンさんは豪快で野性味ある歌いっぷり。逆に山下牧子さんは端正で、しんみりと響き通るような歌声で、コントラストが楽しめました。オケはロッシーニのドラマティックな曲を過度に感情に流れることはないけども、気持ちの入った演奏を見せてくれました。チョン・ミョンフンさんは強い個性をぶつける等よりも、其々の特徴を最大限引き出しつつ、それを高いレベルで調和させる、そんな指揮ぶりです。
ホールはブラボーを含む大拍手。私もN響の横綱パフォーマンスに、深い感動で胸を一杯にしてホールを後にしました。今シーズン最後のN響の締めくくりとしては、これ以上のものはないだろうと思います。来シーズンも期待したいです。
余談ですが、開演前に、ある20名弱ぐらいのグループが、NHKホール前で、中国、韓国(朝鮮)寄りの偏向報道を理由として、NHK解体を訴える抗議活動をやっていました。チョンさんを初め韓国人出演者が多いこの日を狙ったのだとしたら悲しいです。主張の是非はともかく、拡声器で叫ぶアジテーターの日本語があまにりも汚く、気分が悪くなったのですが、チョン・ミョンフンさんらのパフォーマンスはこの不快な気分を一掃してくれました。
《感動の雰囲気だけでも・・・》
第1758回 定期公演 Cプログラム
2013年6月15日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール
ベートーヴェン/交響曲 第2番 ニ長調 作品36
ロッシーニ/スターバト・マーテル
指揮:チョン・ミョンフン
ソプラノ:ソ・ソニョン
ソプラノ:山下牧子
テノール:カン・ヨセフ
バス:パク・ジョンミン
No.1758 Subscription (Program C)
Friday, June 14, 2013 7:00p.m. (doors open at 6:00p.m.)
NHK Hall
Beethoven / Symphony No.2 D major op.36
Rossini / Stabat Mater
Myung-Whun Chung, conductor
Sunyoung Seo, soprano
Makiko Yamashita, soprano
Yosep Kang, tenor
Jongmin Park, bass