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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2011クリスマス イスタンブール旅行(その2)

2012-12-25 07:56:09 | 旅行 海外
 2011年12月25日

 イスタンブールの12月は天気が悪いと聞いていたのだが、翌日は冬の東京のような快晴。さっさと朝食を済ませて、旧市街の名所巡りに出発。

【ブルーモスク(スルタン・アフメット・ジャミイ) 】


 トルコを代表するイスラーム寺院。そのスケールの大きさに驚く。中に入ると、美しいタイル、絨毯にまとわれた内装が壮厳さを引き立てる。


≪壁や天井のタイルが神秘的な美しさ≫




≪美しい絨毯≫


≪イスラム教の聖典らしい≫

【アヤ ソフィア (アヤソフィア美術館)】


 スルタン・アフメット・ジャミイの向かいにそびえるのがアヤ ソフィア。もともとはコンスタンティヌス1世により建築が始まり、コンスタンティヌス2世の時代に完成し、その後ギリシャ正教の大本山として君臨。1453年のコンスタンティノーブル陥落により、イスラム寺院となった、まさにイスタンブルールの歴史を背負った建物。外観も壮大だか、中も巨大。東京ドームにいるような感じだ。内部にイスラムの円板とビザンツのモザイク画が併存しているのが、その歴史を偲ばせる。


≪巨大ドーム≫




≪イスラムの円板≫


≪ビザンツ調の壁画≫


【トプカプ宮殿】


 続いて、アヤ ソフィアの奥にあるトリカブ宮殿へ。「オスマン朝の支配者の居城として400年もの間、政治や文化の中心であった(「地球の歩き方 イスタンブールとトルコの大地」)」

 皇帝の門をくぐり城壁の中に入ると、庭園、調理場、宝石など皇室由来の品々を集めた宝物館などがある。宝物殿の財宝、衣装は圧巻。興味深かったのはハレム(ハーレム)。宦官の部屋、妻たちの部屋、召使の部屋など、淫靡な雰囲気を感じるのは自分だけだろうか?


≪ハレム入り口≫


≪ハレム内の通路。左側には女たちの部屋がある≫



 宮殿の奥には、金角湾やマルマラ海を臨み、新市街やアジア側を見渡せる絶景の地が。最高の天気に恵まれ、ここで遅めの昼食。







(つづく)
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2011クリスマス イスタンブール旅行(その1)

2012-12-24 00:04:55 | 旅行 海外
(昨年の丁度今頃、クリスマスの休暇を利用してイスタンブルールを訪れました。1年遅れですが、その際の記録です)

 2011年12月24日

 8:50発のBA便でヒースロー・ターミナル5からイスタンブールへ。15:40にアタデュルク空港へ到着。地下鉄+路面電車で市街へ向かう。日没が16:40なので、もう廻りは薄暗い。人で一杯の路面電車の車内、車窓から見える薄暗い中にネオンが光る街なみなどの雰囲気は、それまでに訪れた欧州の街とは明らかに異なり、アジア的な雰囲気が満載。エキサイティングな旅の予感が一杯。結構寒くて、気温は間違いなく一ケタ台。ロンドンと変わらない。


<路面電車車内。夕方のせいか日本の通勤電車並みの混みよう>

 トルコはなんちゃってイスラムと言われるように、イスラムの戒律は緩いようだが、それでも車内の人の8割以上が男性だったり、服装も皆さん地味目で、イスラム国に来た実感を覚える。ホテルにチェックインして、空腹を埋めるためにホテル近くの大衆食堂へ。定番料理の豆のスープが美味しい。しかも安い。


<スープとピラフ。薄味で日本人好み>

 食事中、夕方のお祈りの時間なのか、町中に響き渡るような大音響のコーランの読経が、街のどこかに設置されているらしいスピーカーから流れてくる。なんちゃってイスラムでも、イスラムはイスラムなんだなあ~。欧州の街で聞こえる音と言えば教会の鐘だが、鐘の音が天国への響きとすれば、コーランの節は私には地上の人々の色んな思いが詰まった「念」の呻きに聞こえる。強烈な、非日常、異文化を感じた瞬間だった。 

 さあ、腹ごしらえもできたので、暗くなった街をさあ散策と、勇み歩き始めたところ5分も経たないうちに途上国の洗礼を受けた。

 ちょっと人通りの少なくなった道を歩いていたところ、5メートル強ぐらい前を歩いていたおじさんが靴磨きのブラシを落としたのが目に入った。おじさんは落としたことを気がついていそうにない。靴置きとか、靴墨、ワックスなどが入った道具箱が見えたので、既に何人も見かけた通りの靴磨き屋さんであることは簡単に分かった。商売道具のブラシを失くしたらさぞかし困るだろうと思って、ブラシを拾って、おじさんを追って、声をかけ、「落としましたよ」とブラシを渡してあげた。見たところ40歳ぐらいの靴磨きおじさんだったが、大いに感謝され、「これが失くしたら大変なことになった。本当にありがとう。お礼に貴方の靴を磨かせてくれ」と言ってきた(ように聞えた)。別に、靴を磨いてもらうほど汚れていないので、私は「それには及ばないよ。(No, thank you.)」と返事をしたのだが、その一言が終わらないうちの「あっ」という間に、男は有無を言わせず私の靴を磨き始めた。まあ、「Free」と言っていたから良いかと思って、磨かれるままにしていたら、「家には子供が3人いて皆お腹をすかせている。XXXという田舎から出てきたが、イスタンブールで生活するのは大変だ・・・」とかの苦労話を始める。「これは、怪しいなあ」と思ったが後の祭り。確かに靴はピカピカになったが、終わるや否や「10リラ(500円ぐらい)」と右手を出してきた。流石に「はい、ありがとう」というわけには行かないので、「こっちは頼んでない。勝手にお前が始めたんだろ」「だいたいフリーって言ったじゃないか」と大抗議。最初は「こんなに靴は綺麗になった」などと言っていた男も、段段と表情が険悪で凶暴なものに変わってきて、危ない雰囲気になってきた。私が立ち去ろうとしても、服を掴んで離さない。時たま車は通るが、人通りは殆どないし、周囲は暗く、土地勘のない場所でのやり取りはかなり緊張を伴った。結局、お人好しのお大尽日本人は100リラ払って金で解決と言う情けない結果となった。忘れかけていた途上国人の狡さとたくましさ。学生時代にアジア諸国のバックパック旅行で散々な目にあってきたので、十分手口は知っているつもりだったが、さすがに当時から時間も経ち、自分の感度が弱くなっていることを実感。舐めてると酷い目に遭うぞという、入国から3時間後の洗礼だった。

 傷心のまま、初日の行動予定であったトルコ名物ハマム(蒸し風呂)に行く。風呂に入るところまでの雰囲気は、脱衣所が個人別である点を除いては日本の温泉と似ていて、道後温泉に来たかと思ったぐらい。風呂内は蒸し風呂なので、巨大スチームサウナに入った感じ。東京の銭湯の大浴場より一回り大きいぐらいの広さの浴室の中央に、大きな暖かい大理石(岩盤浴の岩盤のイメージ)がある。そこに寝そべって、汗が段々とにじんでくるのを楽しむ。赤摺りを頼んだので、しばらくすると三助のおじさんが呼びに来た。相撲取りのような体格。石鹸を体中に乱暴に塗ったくられて、石綿タオルのようなものでゴシゴシやられる。すごい力なので痛い。サービスという感じではなくて、もうまさにイモ洗いの芋にでもなった気分。体が泡で埋まるかと思うぐらい、泡におおわれたところで、お湯を頭からぶっかけられる。所要時間は5分ぐらいだったろうか?あっという間に終わってしまった。ko優しく丁寧に全身を洗い流してくれるようなサービスを期待したもんだから、随分予想と違って、正直、満足度は低し。終わったら「チップ、よろしく」と微笑みかけてきた。こういうところだけは、調子いいんだよなあ。


<チェンべルリタッシュ・ハマムという観光客向けハマムとしては大手。1584年建造のたてものだそうです>

 
<広間>


<脱衣所>

 外に出ると温まった体に夜風が冷たく当たる。夜にライトアップされたモスクが美しい。でも、初日のイメージはブーである。
 


 ※チェンべルリタッシュ・ハマムのHPはこちら→

(つづく)

 
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マドリッド週末旅行/ プラド美術館ほか

2012-12-13 22:18:32 | 旅行 海外
 翌朝の日曜日は、前日とは打って変わった快晴の天気。空気は冷たいですが、絶好のランニング、ウォーキング日和です。この日のお目当てプラド美術館はホテルから3キロ弱程だったので、歩いて行きました。


≪シべレス広場に面する財務省の建物≫


≪プラド通りには美しい彫像がいくつもあります≫

【プラド美術館】
 プラド美術館を訪ねるのは2回目ですが、前回は夜間開館時に駆け足で立ち寄っただけですので、じっくりと見学するのは初めてです。特別展が開催されていたせいか、入場券を買う列が長々とできていて、チケット購入に20分ほどかかりました。限られた時間の旅行ではこうした待ち時間は、結構イライラさせられます。


≪正面から≫


≪ゴヤの銅像≫


≪チケット売り場。結構、並びました≫

 中に入ってみれば、ここのコレクションの素晴らしさにうならされます。ため息が出るほど、重量級の作品がこれでもかという程、並んでいます。イタリアルネッサンスから、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなどの本場スペイン絵画、そして16-17世紀にはスペイン領であったフランドルの絵画も。ただただ、驚き、感動しながら、絵を追って館内を練り歩きました。さすが、王室のコレクションがベースになっているだけあります。たっぷり半日かけても、全然時間と体力が足りません。


≪入り口です≫


≪2階の中央廊下≫


≪ベラスケスの「女官たち」の前≫



【サンミゲル市場】
 その後、マドリッドの「へそ」プエルタ・デル・ソル広場で友人と待ち合わせ、数十年ぶりの再会。


≪プエルタ・デル・ソル広場≫

 近辺を散策しながら、サンミゲル市場(Mercado de San Miguel)を訪れました。クリスマスを前にした買い物客でどった替えしていましたが、所狭しと並んだ魚介やハムやフルーツは、思わず手が伸びそう。市場の中にはワインバーやタパス屋が入っており、見るからにおいしそうで、ワイングラスを片手にタパスと行きたいところだったのですが、年末のアメ横のようなすごい人出(もう何年も行ってませんが)で、とてものんびりワインなんぞ飲んでいる雰囲気ではありません。このはしゃいだ、高揚した雰囲気を味わうにとどめ、市場を後にしましたが、何とも後ろ髪引かれる思いでした。


≪市場入り口≫


≪生ハム売り場≫


≪凄い人出です≫


≪魚屋さん≫

 結局、近くのスペイン料理レストランに入って、再会を祝って地元のワインで祝杯をあげ、2時間のゆったりランチを楽しみ、マドリッドを後にしました。30時間に満たない短い滞在でしたが、懐かしい友人にも会えたし、行きたかった所には足を運べたので、大満足の週末旅行となりました。

 2011年12月4日
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マドリッド週末旅行/ ソフィア王妃芸術センターでゲルニカを見る

2012-12-09 19:19:35 | 旅行 海外
 (昨年のこの時期にスペインのマドリードに週末旅行で訪れました。1年遅れですが、その時の記録を。)

 週末にマドリードへ弾丸旅行。学生時代の友人との再会が目的でしたが、マドリードは出張で1度訪れただけでしたので、少し街めぐりとオペラ観劇も。南欧の国スペインなのでロンドンと違って、さぞかし暖かいかと思いきや、思いのほか寒い気候でびっくりでした。

≪ソフィア王妃芸術センター≫
 私にとって、マドリッドに来たら見なくてはいけないこと。それは、ソフィア王妃芸術センターでのピカソのゲルニカでした。ソフィア王妃芸術センターは有名なプラド美術館から歩いて10分弱のところで、20世紀の近現代美術を中心に展示されています。ピカソの他にも、スペインの現代画家ミロやダリの絵も多くあるので、ミロ好き、ダリ好きの私には、たまらない美術館です。


(外観)


(もと病院の建物を美術館に改装したとか)

 さて、お目当てのゲルニカですが、他の展示室はすきすきだったのですが、ここだけは沢山の人だかりが出来ていました。しかも、作品の3メートル以内には近づけないように、線が引かれ、警備員が厳しく見張っています。私の経験では、これほどまでの扱いを受けている絵は、欧州ではルーブルのモナリザぐらいでしたので、いかにゲルニカが特別扱いされているかが分かります。



 349 cm × 776 cmの絵ですから相当大きいはずなのですが、3m離れているせいか、思っていたほどの大きさは感じませんでした。あと、これは私が無知だっただけですが、「ゲルニカ」は白黒(モノクローム)なのですね。

 絵全体から何とも言えない重々しいオーラが発せられていました。泣く女、嘶く馬、叫ぶ人、うつろな目をした牛、倒れる人・・・語らぬ絵から断末魔の叫びが聞こえて来ます。白黒が作品の重々しさを更に引きたてているようでした。

 ちょっと重くなった気分を絶ち切れないまま美術館を後にすると、外はもう夕暮れ。美術館の前庭でスケートボートに興じる少年達の歓声が、沈んだ気持ちを励ましてくれるように聞えます。コートの襟を立て、晩秋と言うより冬のマドリッドの街を歩きはじめました。


(美術館前庭)


 ※付録 クリスマスムード一杯のマドリッド市内です。



 2011年12月3日


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コッツウォルズ ウォーキング/ セルスリー周回 (The Selsley Circuit)

2012-08-01 00:30:01 | 旅行 海外
 クリ―ヴ・ヒルが午前中に歩き終えたので、今度は車で30分ほど南下して、セルスリーと言う村周辺のウォーキングコースを試してみました。"This extremely popular walk"というガイドの歌い文句にひきつられた感じです。

 出発地点はKings Stanley(キングス・スタンレー)という村のパブ。

(パブからの風景)


 まずは、麦畑のなかを真っすぐ進みます。
 

(可愛い案山子)
 

 続いて、森に突入。




 森の中を暫く行くと、見渡しの良い平原が現れます。
 



 広々とした平原の台地は、海こそ見えませんがSouthDownsにも似ています(こちら→)。犬を連れて散歩する夫婦もの、グライダーを飛ばしている70歳近いと思われる老人たち、いろんな人たちを見かけます。 

  

 



 そして、この丘陵を下りていくと、丘下でセルスリーの村にたどり着きます。この村こは、セルスリー教会があるのですが、ウイリアム・モリス(William Morris)やフォード・マドックス-ブラウン(Ford Maddox-Brown)らがデザインしたステンンドグラスがあることで有名だそうです。でも、残念ながら、この日はクローズ。




 続けて歩くと、今度は小川が注ぐこじんまりした住宅街、そして運河にぶつかります。殆ど水流のない、溜った状態の用にも見える運河の速道を歩くのはなんとものんびりした雰囲気です。





 その後、スタンレ―ミルという産業革命当時からの工場跡を通過して、出発地点に戻って来ます。所要時間は3時間でした。

 確かに、静かで落ち着いており、眺望も抜群のこのルートがextremely popular walkというのも良く分かります。ただ、1点ご注意は、日本人が持つコッツゥオルズというイメージや雰囲気はあまり感じられません。「ここはケント州のXXXです」と言われば、納得しちゃうような気がするコースでもあります。

 ※コースガイドはこちら→

 ※ナショナルトレイルのガイドはこちら→
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コッツウォルズ ウォーキング/ クリ―ヴ・ヒル・コモン周回(Cleeve Hill Common ring)

2012-07-30 23:45:07 | 旅行 海外
 前回のブロードウエイのウォーキングがなかなか良かったので、再びコッツウォルズ・ウェイのウォーキングに出かけました。
 
 今回はクリ―ヴ・ヒル・コモンと言う広大なゴルフ場兼大草原の外周4マイルを廻るコース。海抜330メートルで、コッツウォルズの中でも一番標高の高いところということです。コッツウォル・ウエイのコースでも有数の景色のいいコースです。

 クリ―ヴ・ヒル・ゴルフ・クラブのクラブハウスからスタート。既に高台に居ますが、更に上ります。


 いつもながらの羊たちです。


 雲が綺麗だなあ。


 有名な競馬場がある街、チェルトナムの街が見降ろせます


 鹿を発見。




 コッツウォルズ・ウェイの道標


 こんなゴルフコースで、ゴルフできたら気持ちよさそう~
 

 まさに羊の丘(コッツウォルズ)です
 

 

 天気にも恵まれ、最高の2時間半でした。

 ※ このコースの案内図はこちら→
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コッツウォルズ ウォーキング/ ブロードウェイ

2012-06-30 22:32:29 | 旅行 海外
 5、6月はケント、サセックスなどのイングランド南部のウォーキングが続いたので、方角を西部に変え、コッツウォルズ半日ウォーキングに出かけました。

 コッツウォルズには、コッツウォルズ・ウェイという全長100マイル以上に及ぶウォーキングコースがあるのですが、さすがにその踏破にチャレンジするのは時間的に難しいので、今回はブロードプエイというコッツウォルズ北部の村周辺を巡る短い周回コースを選びました。ブロードウエイには、ロンドンの自宅から車で2時間程度でつきますので、朝6時半に出発して、8時半には到着です。

 この時間、ハイストリートで唯一開店していたデリ屋さんでまずは腹ごしらえ。ハムにジャム(何のジャムだかは未確認)を挟んだサンドウィチはなかなかの美味でした。

 

(店の入り口で、お店のおばさんが手を振ってくれているのだが、暗くて認識不能)




 村の中心部の慰霊碑から出発。今日は4マイル、6キロちょっとのコースですから2時間半程度で終わる予定です。ハイストリートを抜ければ、もうすぐに羊の世界が・・・









 今回このコースを選んだ理由は、一つにはまだ訪れたことが無い村であったということと、もう一つは、この辺りはコッツウォルズの西の丘陵地帯になっており、その頂上にブロードウエイ・タワーという塔が建っており、そこからの景色が見たかったためです。丘陵とは言っても、日本で言えば、近所の裏山を上っている感じですが、林の中の登り道を行きます。

(St Eadburgha’s Church)




 40分も歩けば展望が開け、1時間も歩かないうちに、頂上にあるBroadway Towerに出ます。コッツウォルズで2番目に高いポイントだそうです。天気がもっと良ければよかったのですが、それでも展望台からの眺めは開放感抜群です。



(1798年の建立です)




(タワーからの眺め。天気が良いと南ウエールズまで見渡せます)






(タワーの中はミニ博物館になっています。このフロアではラファエロ前派とコッツウォルズの関係について展示がしてありました)


 ブロードウエイ・タワー見学が済むと、コースは後半に入ります。帰りは再び羊の丘を下って、村を目指します。のはずだったのですが・・・、タワーを離れる際に出口方向を間違えたらしく、20分ほど歩いていもガイドに書いてある目印には出会えず。そして、出るはずのない幹線道路に出ていまし、冷や汗がたら~。慌てて、今来た元の道を戻り、道を再度確認して下山。イギリスのWalkPathはわかりやすくとっても親切なのですが、ちょっと気を抜くと土地勘がないだけに、全く自分の居場所が分からなくなる恐怖感があります。

(タワーを背にして出発したのは良かったのですが・・・)






 冷や汗が冷めぬ間に、村に下りてきました。いかにもコッツウォルズの家並みを通って、スタート地点に戻ります。歩行時間2時間半。道に迷わなければ2時間で1周できたと思います。手軽なウォーキングコースとして、コッツウォルズ観光の一部に組み込むのが一番いいかもしれません。

(ブロードウエイの村なみ。いかにもコッツウォルズって感じ)


 

 



(ゴール!)


(ミルクティでお疲れ様)



 ※このウォーキングコースのガイドはこちら→

 ※コッツウォルズ・ウェイのHPはこちら→

※(参考)ブロードウェイはとってもコッツウォルズらしい村ですが、観光バスの乗り入れが可能なため、お昼前後から観光客でかなり込み合うそうです。私が参考にした"25WALKS The Cotswolds"と言う本にも、「ブローウエイを訪れるなら、午前中の早めか、夕方に」という記述がありました。私もこの日、8:30頃到着した際は、人気も少なく素朴な感じでしたが、お昼頃Walkingから帰ってきた時は、かなり人が増えていました。静かな村を求めるのなら、早めか遅めの訪問が良さそうです。

 2012年6月23日
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春のケント州の菜の花畑を歩く  (Pluckley Circular)

2012-06-17 18:15:37 | 旅行 海外
 前週のLeigh~RoyalTurnbridge Wellsのウオーキングにすっかり魅せられて(記事はこちら→)、その翌週末もケント州に出かけました。今回は、Pluckley(プラックリー)というロンドンブリッジ駅から1時間ちょっと行ったところで、素朴な田舎駅周辺を周回する11キロのコースです。

(Pickley駅)


 駅を出て歩きはじめていきなり一面の菜の花畑に遭遇します。この日はあいにくのくもり空だったのですが、目が覚めるような一面の黄色に囲まれ、自分がどこで何をしているのかを忘れてしまうような別世界に入ってします。

 



 菜の花畑を抜けると、典型的なイングランドの田園風景が広がります。そして、Little Chart Forstalという村を通過しますが、ここはイギリスのテレビドラマ(私は知りませんが)のHE Batesが住んでいた村ということで、有名とのことです。



 

 そして再び菜の花畑へ突入。
 



 丁度、コースの半ばにSwanInnというパブで一休み(とは言っても、私はお昼の開店前に着いてしまったので、パブの庭にあるベンチで休憩を取りました)。後半は、まずはリンゴ畑を抜けていきます。5月第1週まではこのリンゴ畑のリンゴの花が咲き乱れて綺麗だと、ガイドには書いてあったのですが、私が訪れたのはもう殆ど終わり掛けでした。それでも、薄桃色の可憐な花が印象的です。





 リンゴ畑沿いには、綺麗な庭のある家があったりします。

 

 村の中心にセントニコラス教会がありますが、このPluckleyというエリアは、出没する幽霊の種類の多さでも有名らしい(ホント??)のですが、この教会の庭先で遭遇するケースが多いらしいです。(一応出典は、Timeout Country Walk Vol2 p236)



 教会近くからは、Low Wealdの丘から見える展望が素晴らしいです。そして、この丘を下りて、最後の菜の花畑へ突入。今度は、道もあるのだが、ないのだが分からない菜の花畑をひたすら切り開くように歩きます。ジーパンは花粉だらけ。

 

 



 3時間半あまりのこのコース。菜の花畑が無くても、素朴なケントの田園風景を楽しむことができるとは思いますが、せっかくなら4~5月に訪れることをお勧めいたします。

 2012年5月19日

このコースのWeb案内はこちら→
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キングストン・アポン・テームズ (Kingstone Upon Thames) 街歩き

2012-06-08 23:58:14 | 旅行 海外
 ハンプトンコートパレスを訪れた時に、隣町のキングストン・アポン・テームズという町に立ち寄りました。

 ロンドンへの通勤者のベッドタウンだと思うのですが、落ち着いた中に活気を感じる街で、テムズ川に面していてお洒落な雰囲気もあります。

 ハンプトンコート宮殿からは、路線バスが頻繁に行き来していますので、ちょっと立ち寄っても面白いと思います。

(街の真ん中にあるマーケットプレイス)


(マーケットプレイスに面した可愛い建物)


(マーケットプレイスの近くに突然現れる公衆電話ボックスのドミノ倒し)




(名前の通りテムズ川に面しています)


(この道を3キロぐらい歩くとハンプトンコートパレスです)


(途中で可愛い露店がありました。手作りチョコフレークを20ペンスで買いました)


 ※キングストンの観光案内所のページはこちら→

 2012年4月
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真夏になったサウス・ダウンズ・ウェイを歩く (その3: セブン・シスターズ)

2012-06-02 21:44:13 | 旅行 海外
 さて、このシリーズも最終回です。

 Friston Forestの森を向けると眼下に突然と、Cuckmere Meandersという平原の中を大きく蛇行した川が見えます。そして、その奥が英国海峡です。ここまででの歩行距離約10マイル(16キロ)。多少だるさを感じ始めた脚や上体から疲れが一気に抜ける景色です。

 

 丘を下って、Cuckmere Meanders沿いを歩きます。遠くにセブンシスターズの白の絶壁が見え始めます。
 

 海岸に向かって、平原の中を進みます。きっと太陽が一番高いところにあるんではと思う夏日の昼下がり。ゆったりと流れているのだか止まっているのだから分からないような川の流れ、あちこちから聞こえてくる鳥の声、この世には緑と青しか色が無いとでも言うような視界、自分がどこに居るのかわからなくなります。以前、冬に訪れたとき(こちら→)とは大いに雰囲気が違っていて、草がより繁り、色が濃く、風景に力強さを感じます。自然の鼓動と胸の鼓動を合わせようとしますが、どうも私はせっかちでいけません。もっとのんびり歩いても良いはずなのですが、タイムを競っているかのようにガシガシ歩いてしまうのが悪い癖です。

(遊歩道に突然現れた野兎)
 

 20分も平原を歩くと、セブンシスターズの白壁が目に飛び込んできます。白壁は相変わらず美しく、圧倒的でした。そしてこの日は海の色が、コーンウォールで見た海のようにエメラルドグリーンに輝いています。「英国海峡の海って、こんなに青かったんだ。」とつぶやき、空の色、芝の緑、海の碧、そして壁の白、こんな完璧な風景があるのだろうか?と立ちすくんでしまいます。

  

 

 暫くベンチで腰をおろし風景を目に焼き付けた後は、いよいよ復路の列車が出るシーフォード(Seaford)に向かっての、最後の海岸線歩きになります。セブンシスターズを背中に、歩きはじめ、ときどき振り返っては名残を惜しみます。

(この先にSeafordがあるはず)




 3キロ程歩くとついにシーフォードの街並みが見えてきました。


 シーフォードは海岸線のリゾート地。夏日とあって、ビーチは陽を求める多く人で賑わっていました。


 この日、最後のショット。


 このウォーキング・コース、天気に恵まれたこともありますが、間違いなくこれまでのコースの中でベストと断言できます。確かに23キロは長いですが、山国日本でハイキングを楽しむ日本人からすれば、正直全然大したことはありません(私自身は、山歩きは年に1回行くか行かないかですが・・・)。あと、このコースは道に迷うようなところも少なく、また全く人と会わなくなるようなところも少ないので危ない感じもありませんでした。イギリスならではの、風景や村が味わえますので、機会があったら是非、お試しください。

 ※このウォーキング・コースのWeb案内はこちら→

 2012年5月26日
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真夏になったサウス・ダウンズ・ウエイを歩く (その2:アルフリストン)

2012-06-01 00:21:49 | 旅行 海外
【アルフリストン(Alfriston)】

 サウスダウンズの丘を降りると、アルフリストンという村に出ます。ここが全く予期せぬ美しいイングランドのヴィレッジでした。

 ハイストリートは100mほどしかありません。パブが数軒とレストラン、雑貨屋さんがあるぐらいなのですが、きっと数百年、この風景は変わっていないのではと思わせるような村です。ハイストリートの端には、マーケットクロスが立っています。村が1405年にヘンリー4世からマーケット開設の勅許を得た時代から、正直で、公平な商取引を祈願して建っているとのことです。

(ハイストリート)


(マーケットクロス)


(マーケットクロスのある広場に建つヴィレッジストアに立ち寄りました。村直産のイチゴやジャムが売っていました)


 ハイストリートのマーケットクロスとは逆方向には、1360年に建立された聖アンドリュース教会があります。サウスダウンズのCathedal(大聖堂)と呼ばれる教会だそうです。そして、その横にはナショナル・トラストが1896年に購入し(10ポンド)、最初にトラストに登録した民家があります。この民家や教会前の広場でいると時間の経つのも忘れます。

(聖アンドリュース教会とその前の広場)
 

(ナショナルトラストが初めて購入したという民家)


 教会の裏には川が流れ、川の遊歩道から見る村の姿は、絵本の中にいるような風景でした。


 村をぶらついている間に、丁度お昼になったので、ハイストリートにあるパブで食事。1397年に建てられた建物だそうです。そんな古い建物が今でも現役で使われているということに、単純に感心してしまいます。



(天気が良いので、裏庭で食事。ビールがうまい)
 

 食事も含めて1時間半あまりこの村に滞在しましたが、ゆったりと時間が流れるこの村、通り過ぎるにはとても惜しい村でした。

【アルフリストン~イクシート】
 さあ、ビールで少しふらつく足元に気合を入れなおし、午後の部の出発です。次の目標は、さらに南に下って、英国海峡に出ることです。白壁で有名なセブンシスターズがあるイクシート(Exceat)という村を目指します。



 しばらくはCuckmere川にそって歩きます。途中、丘を掘って作った巨大な馬が見えたりします。

 

 

 海に至るまでの小山を上って、さあ、いよいよ、海に近づきます。


(つづく)
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真夏になったサウス・ダウンズ・ウエイを歩く (その1)

2012-05-30 22:39:43 | 旅行 海外
 先週末は、きっと今年一番の天気の良い週末になるに違いないと思わせる快晴の天気でした。つい10日ほどまでコートを着ていてもおかしくない気候だったのが、街じゅうタンクトップの女性であふれる日に変ってしまいました。こんな日に家に居てはもったいないので、土曜日、3週連続となるカントリー・ウォーキングに出かけました。

 今回は、東サセックス州のGlyndeからSeafordまでの全長23キロのコースです。このコースは、私が持っているガイドブック"Country Walks"のコースの中で最長、難易度も10段階の9と言うかなり困難が予想されたコースでした。コースは確かに楽ではありませんでしたが、大部分がサウス・ダウンズ・ウエイというナショナルトレイルの一部なので迷いませんし、今まで歩いたウォーキングコースの中でも最も素晴らしいものだと断言できます。丘陵の上からの素晴らしい眺望、いかにもイギリスというヴィレッジ、田園風景、海岸沿いの白壁の絶景、常に変化があり、飽きることの全くないコースです。

【Glyndeにて下車】
 ロンドン・ヴィクトリア駅からイーストボーン行きの中距離列車に乗って、1時間。Lewesという駅(ここは一昨年、グラインドボーンのオペラを見に行った場所)で各駅列車に乗り換え、次の駅Glyndeという駅で降ります。

 駅を降りて5分も歩くと、これから登るサウスダウンズ(ダウンズは丘の意味で、サウス・ダウンズは西のウィンチェスターから、東のイーストボーン辺りまでの丘陵地帯のこと)が見えて来ます。牧草地には馬が居て、とってものんびりした気分。






【Church of St Peterに立ち寄る】
 丘を登る前に、最初のヴィレッジwest Firleを通過します。セント・ピーター教会は村の鎮守様としての教会のようです。イギリスのどの村にもあるような教会ですが、この教会のステンドガラスは見事でした。

 

 

【South downsに登る】
 さあ、いよいよ丘登りです。えっちら、よっちらと登っていきますが、たかが標高215メートルですが、山岳民族の日本人には全然大したことありません。


 登るに従って、雄大な風景が背中に広がっていきます。
 

 やっと登り切りました。南側に英国海峡を臨む絶景が現れます。
 

 丘の背に沿って、東に向かって絶景の中を進みます。
 

 ウォーキングの他にもサイクリストも多く見かけます


 最高位の高度215メートル地点


 草、羊、海。
 

 4kmほど丘の背を歩いて、下りはじめます。
 

(つづく)
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春まっただ中のケント州を歩く (Leigh to Turnbridge Wells)

2012-05-22 22:03:43 | 旅行 海外
 いまさらという感じが多分にあるのだが、「その土地を楽しむには、その土地の人たちがやっていることをするのが一番」ということに改めて気付いている。イギリスなら、パブでのエールであり、フィッシュ・アンド・チップスが一例だ(なお、フィッシュアンドチップスには外れも多いが、それは日本の駅の立ち食いうどんやそばに当たり外れがあるのと同じ)。そして、もう一つ、イギリス人が大好きなウォーキングの素晴らしさにも、最近やっと気づき始めた。

 先々週の日曜日(5月13日)、「イングランドの庭」とも言われるケント州にウォーキングにでかけた。ケントのLeigh(ライという村からタンブリッジ・ウェルズ(Turnbridge Wells)という町までの17.5キロのコースである。季節、天気に恵まれた、素晴らしい1日だった。

 ロンドンブリッジ駅(またはチャリングクロス駅)から列車に乗って1時間ほど。途中、TON BRIDGEという駅で乗り換え、一つ目のLeighという無人駅で降りる。駅前にはパブすらも無く、人の気配がしないところだ。

(快晴の春の朝。ここで降りたのは私だけ)


(駅前から1分も歩かないうちに、農場の入り口に)


 5分も歩くと、Penshurst Placeというマナーハウスの敷地に入る。野原あり森ありの昔の貴族の広大な裏庭だが、綺麗なイングリッシュ・ブルーベルの一群に遭遇し、感動。今年見た中では一番美しいかも。

 

 前半のランドマークPenshurst Placeに着く。マナーハウスというよりも、殆ど城に近いような豪邸だ。
 

 城の裏側には聖ヨハネ・バプティスト教会があった。


 教会裏に建つ古~い、建物。歴史を感じる。


 1850年の郵便局とのこと。
 

 この教会周辺が今回のコースの中で、最も素晴らしい田園風景だった。菜の花畑とその奥に見える教会の尖塔、昔そのままのヴィレッジだ。思わず、ため息が出るほど。
 

 

 何故か、こんな草原の茂みにトーチカ(Pillbox)をがあった。ガイドブックに目印として書いてあったので気がついたのだが、普通なら通り過ぎてしまうところだ。何時ごろ、何のために作られたのかは解らない。中は人が数人入れる広さだが、どんな戦いを想定していたのだろうか?
 



 更に進む。昼食のお勧め場所としてWalkingガイドに載っていたパブで休憩。ローカル色たっぷりだが、屋内のテーブルは半分以上が予約で埋まっていた。丘の中腹に立つパブの後ろ側からは、今まで歩いてきた平原が見渡せる。ほんとは、食事でもして、ゆっくりしたいところだが、まだ行程の2/5ぐらいしか進んでいないこと、お腹もたいして減ってないことから、ローカル・エールをハーフパイント(250mlちょっと)で水分補給をして出発した。
 

  

 今度は再び平原の中を進む。羊にももう慣れてしまったが、何時見ても、彼らを見ていると時間が止まる様な感覚になる。
 

 無人となっている教会。


 1593年に建てられたというチューダー調の家。


 後半の1/3は林の中を進むのだが、正直、これはあまり面白くなかった。道が抜かるんで足場はゆるいし、林の中というのはどこもそんなに変わることは無い。


 林を抜けると、やっと人の気配がする町に出てくる。クリケット場でクリケットをやっていた。


 ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズという町は、初めて訪れるが、なかなかお洒落な町だった。


 たっぷり5時間半、春のケントを満喫した。ただこのコース、前半は本当に素晴らしいのだが、後半はあまり楽しめたものではない。単調な田園や森が続くからだ。特に、殆ど人とも行き会わなかったので、女性の一人歩きは絶対にやめたほうがいいと思う。

 ※このWalkingのコースガイドWeb版はこちら→

 2012年5月12日
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ノース・ヨークシャの旅 (その4: ノース・ヨークシャ・ムーアズ・レイルウェイに乗る)

2012-05-14 23:28:07 | 旅行 海外
 2日目のハイライトは、ノース・ヨークシャ・ムーアズ鉄道(North Yorkshire Moors Railway)に乗ってのノース・ヨークシャ・ムーアズ国立公園の縦断である。この鉄道は、ウィトッピーからピカリング(Pickering)までの24マイル(38キロ)を、蒸気機関車で走らせている(ウィトッピーからはハイシーズンに一日2便、それ以外はグロスモント(GROSMONT)~ピカリング)。昨年夏のスコットランドのハイランド地方に続いての蒸気機関車体験だ。

(機関車入線)
 

 機関車はもちろん本物で、8両の客車を率いる。今回は座席にはつかず、デッキから窓を開けて、ムーアの風景や谷あいを進む機関車を楽しんだ。窓から頭を出すと、前方から石炭の燃え粕の粒が飛んでくるので、あまり長く頭を出したままにはできないが、機関車が山を上っていく様子を見ていると、雲に同化するかのように舞い上がっていく白い蒸気、汽笛の「ポッポー」という音、機関車が客車をゴシゴシと引っ張る音はなんとも感動的ですらある。「がんばれ、がんばれ」と声をかけたくなるぐらいだ。機関車トーマスのように、機関車が擬人化されるのは、人がそこに生命の躍動を感じるからに違いない。

(段段とムーアの丘陵を登っていきます)
 



 メカニックが目で見みてわかり、インプット(石炭、火、水)とアウトプット(動力)が明確にわかるテクノロジーは何とも分かりやすくて、安心させてくれる。何でも半導体のチップのなかで処理が行われて、インプットとアウトプットの間がブラックボックスになってしまうハイテクにはないウキウキ感がある。

(不思議な生命感を感じます)


(子供が窓から顔出して、こんにちは)


 途中、中間のGOATHLAND駅で途中下車し、周囲を散策してみる。この駅は、イギリスのテレビドラマやハリーポッターの映画のロケにも使われたそうである。駅裏にある丘を少し登って、ムーアに出てみる。何もない一面の荒野が広がっている。夏になるとここに紫色のヒースの花が咲くと言うから、そうなればさぞ美しいだろう。

(駅裏の丘を登ります)


(丘からの風景。前と後ろ)
 

(次になる機関車が来ました。遠くに聞える汽笛で、近づいてきたことを知るのもワクワク感があります)


 一つだけ期待と違っていたのは、鉄道は、ムーアの中を縦断していくイメージとは若干異なり、谷沿いを進むため、パノラマの景色を楽しむというかんじでは無かった。遠くに尾根沿いの道を進むバスが見えたりしたので、もしムーアの景色を楽しむのであれば、このムーアをネットワークしている路線バスがあるので、バスの方が良いかもしれないと思う。

 それでも、渓流を横に、新緑が萌え始め、自然にあふれる北ヨーク地方を進む機関車に乗るのは何とも気持ちがリフレッシュする。 途中駅での停車時間や私の下車時間を除くと、乗車時間は約1時間半。十分、楽しむことができた。



(終着駅では機関車の古雑誌が売っていました)


 終点の村、ピカリングで昼食を取ったあとは、バスに乗り再びスカボロウへ。スカボロウはウイットビーとどうよう北海に面した町だが、ウイットビーよりはかなり大きいようだ。1時間半ほど列車まで時間があったので少し散策してみる。日曜日の夕方と言うこともあって、店も大方閉店していたのでシティセンタは随分寂しかったが、海岸のほうに出てみると綺麗な海岸線と港が見下ろせ、その先に城がそびえるというなかなかの景観だった。

(ピカリング→スカボロウのバスの車窓から)
 

(スカボロウの海岸線)
 

 午後5時51分発の列車に乗り、再びヨークで乗り換え、7:05発でロンドンへの帰路につく。7時半だというのにまだ陽が随分高い。いつのまにこんなに陽が長くなったのだろうと、思いながらビールを飲んでいると、いつの間にか寝てしまっていた。


 2日間の短い週末旅行だが、また一つ記憶に残る旅ができた。

(おわり)


【関連リンク】

ウィットピー 観光: こちら →

ウィットピー・アビー: こちら →

 キャプテンクック・メモリアル・ミュージアム: こちら →

 ノース・ヨークシャ・ムーアズ・レイルウエイ: こちら → 
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ノース・ヨークシャの旅 (その3: Whitbyあれこれ)

2012-05-12 23:48:11 | 旅行 海外
 翌日、古い昔ながらの石造りの建物をそのままB&Bにしている部屋で、窓から差し込む朝の光で目覚める。今度は朝の街の空気を吸いに、足が勝手に外に向かって動き始める。今度は、昨夕訪れたウィットビー・アビーとは反対側の丘に登ることにする。

 朝から快晴の天気で、気持ち良いことこの上ない。観光用なのか、地元向けなのかわからないが、小さな昔ながらのお店が多いのもこの街の面白さだ。通りには、日本で言うなら、昭和30年代、40年代前半なら、どこにでもあったような駄菓子屋ともおもちゃ屋とも文房具店ともつかないお店(若い人は映画「3丁目の夕日」をイメージしてほしい)のイギリス版なのかと思わせる、小さな文房具やおもちゃ屋が軒を並べていたりする。

(朝なのでまだ開店前です)
 

(こちらは隣の少しの本と雑誌も売っている文房具屋)


 丘の上にでると、まだ8時前だというのに朝日が随分高いところまで登ってきていた。まずはこの丘のモニュメント、キャプテンクックの像にご挨拶。北海を横に遠く南東の方向を睨んでいるのは、これも日本で言うなら、さしずめ太平洋を臨む坂本龍馬というところだろう。朝日を受けて、燦然と輝く銅像を見上げると、背筋が伸びる思いである。

 

 廻りを見廻すとウィットビーの街が一望できる。なんとも長閑な風景だ。波の音と鴎が鳴き声をBGMに、静かに朝の始まりを感じる。鴎のほかにも、春の訪れを告げるかのような、小鳥たちの囀り、コーラスに耳をすませるのも楽しい。なんか、あと数時間でこの町を出なくてはいけないのがなんとも残念だ。

(街の全景)
 

(河口と浜辺)
 

(鴎と雀(?))
 


 ウィットビー(Whitby)の町について、もう一つ書いておきたいことがある。食事についてだ。この町、フィッシュ・アンド・チップスの店が異様に多い。シーフード・レストランと看板を掲げたレストランも、殆どすべてがフィッシュ・アンド・チップスが売りである。正直、フィッシュ・アンド・チップス以外のレストランを見つけるのが大変なぐらいなのである(中華料理屋を一軒、インド料理屋を2軒見つけたぐらい)。ざっと、50メートルくらい歩いただけでも、5軒ぐらいのレストラン、持ち帰り店、屋台がフィッシュ・アンド・チップス店にあたる。いくら観光客が多いとはいえ、この街の規模でこの店の多さは普通ではなく、イングランドのフィッシュアンドチップス密度などという統計があったら、チャンピオンは間違いないだろう。

 当然、競争も激しいだろうから、各店とも差異化に一生懸命だ。”Fish and Chips of the Year 2010 Award”というような表彰パネルや自分の店が紹介された新聞記事を店の入口にかけたりしている。そして、競争があるだけ、味のほうも美味しい。私は、前日のお昼、街に到着するや否や、そんなことも気付かぬ前に、持ち帰り店でフィッシュアンドチップス買ったのだが、身は大きく、ジューシーで揚げたてホカホカ。値段も4.5ポンドという、コストパフォーマンスは最高だった。まあ、私が書かなくても行けば分かるし、他に選択肢も無いに等しいのだが、ウィットビーに行ったらフィッシュアンドチップスを是非試してほしい。(ロンドンに帰ってから知ったのだが、ウィットビーは北海タラの水揚げで有名なところだかららしい)。

(入ったフィッシュ・アンド・チップスのテイクアウエイ店)
 

 ただ、昼、夜、連続のF&Cは、少々私の胃にはつらい。なので、前日の夜は、入る店が無く結構困ってしまった。結局、やはりフィッシュアンドチップスを売りにしたレストランでフィッシュパイなるものを頼む。たまたまかもしれないが、これは、ホワイトソースがしつこくなく、うまく魚の切り身とからんでとってもいけた。メインの中では一番高い料理だったのだが、9.05ポンド。あと、F&Cと並んで、これは2日目のお昼にWhitbyから30kほど離れた村で食べたのだが、Whitby Scampという小エビのフライが名物のようである。一口サイズの海老フライなのだが、これはカリッとして、F&Cのように油とバターでギトギトしたところはなく、とても食べやすかった。F&Cの次に、試してみて欲しい。

(夜食べたメニュー。魚のグラタンなのだが、何故か名前はフィッシュ・パイ)


 イングランドの東北の寒村という、全く勝手な自分のイメージででかけたこともあるが、予想をはるかに上回った港町ウィットビー。私が訪れたイングランドの街の中でも、間違いなくトップクラスの魅力を持っていた。

(次は、ノース・ヨークシャ・ムーア鉄道)
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