バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

『SOAP OPERA』は大傑作なのだ!

2010-08-24 | 音楽

Soap_opera バイユー近辺や友人知人にはなかなかに知られていることだけど僕はキンクスが大好きだ。なかでもRCA時代のアルバム『SOAP OPERA』が大好きだ。「キンクスって沢山あるけどどれが好きなの?」と聞かれると必ず「ソープ・オペラ!」と答えてきた。「一番いいキンクスのアルバムは?」「ソープ・オペラ!」。と、こんな具合にこの昼メロ(ソープオペラ:石鹸会社がスポンサーなことが多くてこうよばれた)風味のストーリーがAB面を通して描かれるコンセプトアルバムを大傑作だ!と声を大にしてきたものでした。

そんな本作のアナログレコード、英国オリジナル盤を昨日入手しました!!
実は大好きな盤だけに、せっかくなら綺麗な(状態の良い)オリジナル盤を…と長く入手の機会を窺っていたのでした。そして手に入れた憧れの盤。ジャケットも綺麗で盤質も素晴しい。なにより音に満足。長くCDで我慢したかいがありました。
昼メロ仕立てのストーリーアルバム、というとなんだか難しくてとっつきにくいコンセプトアルバムを想像する方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。大仰でも大河でもない、
些細な内容です(笑)
描かれ歌われるのは一般的なサラリーマンの日常。家を出て体験するラッシュアワーの様子を歌ったり、9時から5時までの仕事の様子に仕事帰りの一杯。ホリディロマンスに家庭の束縛。
ただし主人公ノーマンは次第に精神が蝕まれ、自分が実はスターメイカーというロック・スターでノーマンに乗り移り平凡な一市民を演じている(体験している)という妄想の世界に生きている。…しかしやがて自分が群衆のなかのひとりだということを受け入れ、平凡な生活に戻っていく。というお話。
厳しい通勤や、勤め人暮らしの経験もないレイが歌う平凡な市民の日常。なんともナメきっています(笑)
歌詞に威勢の良さの欠片もないロックアルバム。僕はネクタイして勤めてる時代、通勤時に良くこのアルバムを聴いていました。「しょーがないねやぁ~」と苦笑いしながら。多くの楽曲のテーマがおよそロック的な感覚とはかけ離れたトホホなものが多いキンクス(レイ・デイヴィス)の作品ですが、このアルバムは特に酷い。アンチロックとでも呼べるような素晴しさ。自宅の(妻が選んだ)サエない「アヒルの壁掛け」を歌ったロックンロールってなんなんだろう???
こう書いているとケナしているように感じるかもしれませんが大~きく違います。ステレオタイプなロック感とは異なる作風はレイのソングライティングの大きな魅力ですし、この『ソープオペラ』は何より曲が良い。メロディが良いのです!!シニカルなユーモア?に溢れた3分前後のキャッチーな楽曲が12曲小気味よく収録されていて、メロディが素晴しい。本当に傑作だと思います。B面アタマの『Underneath thaNeon Sign』。「また飲み過すぎた…」と街頭の下で立ち止まる。。。なんとも胸に沁みる?名曲です。キンクス屈指の名曲です。

しかし!!そんな『ソープオペラ』ですが…音楽マスコミ、評論家さんのウケは極めて良くないのです。ハッキリ言って評価が低い。「駄作」扱いしている表記さえ見たことがあります。特に日本での評価は本当に低い。これはもうどうしようもない、残念ですが「ココロが悪い」。どうかしているとしか思えません。キンクスの3度目の来日公演の豪華なパンフレットの中でさえ悪く書かれているから驚きです。そんな低評価が時を経てすっかり定着してしまっているというのが現状です。これにはレイ・デイヴィス本人が本作を「良くない」と認める発言をした、というのが大きかったようなのですが、だからと言って…「自分の耳や物差しを持てや!」って感じです。作者がどー言おうと関係ないことです。レイの発言なんてどうせその時の気分で思いつきで言ったのに決まってるし、別の機会に訊ねると気分が変わっていて「ソープオペラは自信作だ」とか言うよ、絶対。そんなヒトだと思うけどねぇ。。。
と、いうわけでソープオペラを悪く書いているライターさんを見かけたら「こいつは駄目だ」と思って下さい。

しまった毒を吐いてしまった!!どうしよう。パソコンのデリートキーが反応しない。。。なのでこのまま、このまま。

とまあ、こんなウルサいウダウダを思わず言わせてしまう程にキンクス1975年の傑作『ソープオペラ』は素晴しい、ということです。

今更ながらお薦めします。


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