バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

3王者圧勝、の大晦日ボクシング。

2012-01-10 | ボクシング

昨年の大晦日はご存知のように(気づいてないなら少し悲しい)プロボクシングの放送が2番組、世界タイトルマッチ3試合が生放送されました。
諸事情により録画観戦したのですが、その感想というか覚え書きを…。

はじめに、なんといっても内山選手!凄い試合を見せてくれました。西岡選手のラスベガス防衛がなければ年間最高試合&MVPクラスのパフォーマンスでした。世界的知名度では内山選手を上回る(パッキァオやガンボアとの対戦経験も有り)暫定王者(廃止祈願)ソリス選手とハイレベルな技術戦の末、とことん追い詰めたうえでの11R劇的なノックアウト防衛。カウンター1発、それも左のショートパンチでロープまで吹っ飛ばし失神させる強烈な結末。

20111231vs

正直、これほどのレベルのボクシングを見せられるとは思っていなくて驚きました。KOが売り物の内山選手ですが、やみくもに強打を振るうのではなくそれまでの過程、捨てパンチやディフェンスそれぞれに意図があり、どこかで読んだ意見と同じように「理詰め」にさえ感じられるボクシングでした。どっしりとした危なげない佇まいでひとつひとつ相手を追い詰めてゆき最後は右の大砲ではなく左ショートでしとめたこの夜の内山チャンピオンには凄みと風格が漂っていました。
実は録画を見る前にちらりと目に入った新聞の目次欄に「井岡防衛」としか載ってなかったので、途中まで「こんな完璧なボクシングで負けたのか??」とドキドキしながら観ていましたが杞憂でしたね(笑)試合時間が遅くて新聞の締め切りに間に合わなかっただけでした。
20111231wba スーパーフェザー、昔風に言えばジュニアライト級でのこの充実ぶりは次のアメリカ進出!さえ期待してしまいますね。このテクニカルな試合振りを見てると「ノックアウトダイナマイト」という雑なイメージのニックネームは似合わないような気がしてきます。でも強烈な失神TKOでやっぱりダイナマイト、なのかな?
とにかく凄い試合でした。多くの方が観たのならよいのですが…。

井岡選手はやはり素晴らしい才能の持ち主のようですね。でも相手のエンジンがかかる前に決まってしまったので若干消化不良気味な感はありました。とはいえワンチャンスにあのコンビネーション、そしてフィニッシュ。非凡なものを見せつけてくれました。ただ残念ながらあまりに早く世界レベルで戦い始めたためか…勿論年齢もあるのですが…。プロボクサーとしての彼からは、なんというかこう…ボクシングファンの胸を締め付けるような切迫感や佇まい、存在そのものの魅力というようなものがまだまだ伝わって来辛いのです。彼はなかなか好青年なようですし、彼のせいではないので今後に期待ですね。強さ才能、プラス「何か」を求めてしまう勝手なボクシングファンなのです。

そして残念ながらチャンピオン、カバジェロ選手に敗れた細野選手。最後まであきらめない魂は見せつけてくれたけれど勝敗的にはまったく届かなかった。とことん圧力をかけて自慢のハードパンチを振るうボクシング。感動的な頑張りと言えないこともないのだろうけど、西岡選手や長谷川選手、井岡選手、内山選手の幅広く奥深いボクシングを見慣れてしまった最近のボクシングファンには些かナイーヴに映ったのではないでしょうか。勝って欲しかったけれど、12Rを通じて勝利の予感もビッグパンチが当たる予感もしませんでした。2度目の世界挑戦失敗、しかし!2度とも強豪王者に挑んだ真っ当な挑戦ではありました。健闘は称えたいと思います。

という3試合共に観て損なし!の正しきプロボクシングでした。…どのくらいの方がご覧になったのでしょうか?気になるところです。