ここ最近、バイユーでのヘヴィローテーション時期も過ぎそうな程に購入から時間の経った盤を紹介していますが~このRumerもそうです。
デヴューアルバム『SEASONS OF MY SOUL』…後で知るに既にそこそこ話題になっていた様なのですが、僕が知ったのは6月。かつて高知にあったブルースバー『ガルシア』の今井さん~オキナワのソウルマン、ローリークック兄さんという流れで教えていただきました。ローリーさんの「久しぶりに本物の歌手がイギリスから!」という推薦と、今井さんの「カーペンターズを越えたき!!」の煽り文句に心動かされ即購入したのですが…。これが本当に素晴らしいのです。
声が良くて曲が良い。アレンジもA&Mサウンド狙いました!といった感じで良い。狙い過ぎ。という声も聞きましたが僕にはバッチリです。
基本的にYeah~ロックンロ~ル!な僕としましては、最初は曲ではなく声にヤラれました。ナチュラルな唱法、そして素の声の魅力が伝わってくる歌声。「いいなあ」から「これは本当に良い」そして「大好きだ」までジワジワとルーマーの虜になってゆく自分がいました。すると「なかなか曲がいいなぁ」という第一印象から楽曲の良さに打ちのめされるようになるのに時間はかかりませんでした。とにかくヘビロテ。開店前や閉店後はとにかく聴きまくる。今、聴きながらかのブログを書いているのですがまたまたグッときています。
本当に良い曲だらけなのですが例をあげると『Arethe』という曲はメロも歌詞も堪りません。ちょっと適当ですがこんな歌詞。
「アリサをヘッドホンで聴きながら学校へ行く。ああアリサ、アリサ。私は学校に行きたくない。私を誰も理解してくれない。私には残酷な場所。ママはいつも泣いていて気づかない。心をうちあけられるのはアリサ、あなただけ」
アリサとはアリサ・フランクリン。パキスタン生まれのルーマーは物心がついてからイギリスに帰国。「祖国」に馴染めないまま16歳で学校を中退し、家を出て放浪の旅へ。アリサの歌が心の支えだったとのこと。7人兄弟の中でただひとりパキスタン人の父を持つ彼女の「祖国」への疎外感が感じられる静かな楽曲です。
31歳でのデヴュー曲『Slow』もなんともいえぬ手触り。長い下積み時代に書きためられた楽曲の数々はとにかく濃密。家を出た後に始めたバンド活動は軌道に乗りかけたものの、分かれて暮らしていた母親の看病の為に長くブランクを作ったとのことだがそれだけに熟成された輝きに満ちている。
「祖国」帰国後に両親は離婚しており、父親に引き取られた後に自分のみ父親が違うことを知った彼女。実父はパキスタン時代の住み込みのコックのパキスタン人男性。一度は分かれた母との時間を過ごした後もロンドンで10年に及ぶ下積み時代を過ごした後のレコードデヴュー。遅咲きも悪いばかりじゃない、と思わせるほどに深くて美しいアルバムを作りあげたとことは感動的です。
でもそんなこと以上に音楽として良い、のです。聴けば聴くほど良い。
心からお薦めします!