この音盤、すっかり時間が経ってしまいバイユーでのヘビロテも飽きられつつあるようにも思いますが…ブログに書くよりただ聴いて盛り上がっていたのだ。仕方ない。
そんなスティーブ・クロッパーの新作『Dedicated - A Salute To The 5 Royales』を紹介します。
まずはこのジャケット!惑わされてはいけません。店頭やネットで、この若き日のクロッパーさんの勇姿を見て「ああ(過去音源の)編集盤ね」と思う人もきっと多いはず、なにを隠そう僕がそうでした。勿論バリバリの新録音、ニューアルバムです!
なんとしばらくこのジャケの前を素通りしていたという愚かな僕なのです。
で、最高です!!もし気づかずに素通りしていた人がいたとしたら今すぐ「買い」です。
ではつらつらと内容を~
タイトルからわかるようにクロッパーさんの敬愛するファイヴ・ロイヤルズに捧げられたソロ名義のトリビュートアルバムです。そしてギタリストである彼のソロ名義ですから豪華なゲストボーカル陣が参加しています。もうそれだけで「買い」ですね!
もう最初のギターの音一発でヤラれます。いきなり気分の高揚するイントロに続いて歌いだすステーヴィー・ウインウッド、最高です。実はウインウッド氏の歌にあまり心の動いたことのなかった僕ですが間違っていたようですね。素晴らしい歌い手さんです。とにかく曲が良くてギターが良くて歌もイイのです。アルバムの冒頭1曲目でキマリです。
その他、聴きどころを…B.B.キングが限界説を吹き飛ばすような元気なお姿で登場します。深いギターの音色、歌いだした瞬間に「おお!」となるこの空気感は彼ならではのものでまだまだ楽しませて欲しいと切に思います。やっぱりB.B.は素敵です。その王様とデュエットするのはシェミキア・コープランド。ジョニー・コープランドの娘が2世ブルースシンガーとして成功しているとは知っていましたが、なかなかのモノです。想像していたよりずっと良いです。認識が甘かったですね。そして続いて本作の目玉との声もあるダン・ペン!2曲歌っていて、うち1曲はルシンダ・ウイリアムスとのデュエットというのですから堪りません。ブルース・トラベラーのジョン・ポッパーも好演。ディヴィッド・フットやスプーナー・オールダム、スティーブ・ジョーダン等によるバンドサウンドもクロッパーさんのギターの「間」を気持ちよく聴かせる素晴らしいグルーヴ!バディ・ミラーやブライアン・メイといった人脈的に意外な人たちも歌心あるプレイで楽しませてくれます。
バッキングでの、思わず頬の緩む往年のスティーヴ・クロッパー節から意外なほどガツンと弾いているギターソロの数々まで文句なく楽しめます。切れ味、そして歌心溢れるフレージングにリズム。彼のギターは本当に素晴らしい!
しかしよく「やはり歌える人は強い」という言い方がされますが、今作では間もなく70歳となる歌わ(え)ない「歌伴(奏)ギタリスト」ならではの強みが存分に発揮されているのではないでしょうか?
歌声というもの、深みや表現力は増すもののどうしても声の張り等は年齢と共に衰えてゆくものです。しかしそのボーカルに堂々と多彩なゲストを迎え、意欲的にバンドをドライヴさせることが出来るギタリスト。元々がバッキングで「名人」と称えられるお人なのです。自分の培って来た「センス」を発揮して作品を作るという最も相応しい仕事の大成功例ではないかと思うのです。
僕は飽きずに楽しんでます!