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内藤選手初防衛戦

2007-10-09 | ボクシング
いよいよ明後日、10月11日木曜日に内藤大助選手vsカメダダイキ選手のWBC世界フライ級タイトルマッチが行われます。この夏、遂に遂に世界王座に就いた内藤選手の初防衛戦であります。

※私は内藤選手を応援しています~この件についてはの経緯&詳細は7月19、20、21の当ブログを御参照下さい。

これまであまり一般メディアに注目される存在とはいえなかった内藤選手ですが今回は挑戦者が知名度満点・カメダ一家のカラオケ次男坊選手ということでかつてない報道や好奇の目の嵐の中に立っています。自分にとってもこれまで”別の惑星の出来事”そして”別の競技”であるかのように思えて距離をとってきたカメダ一家に嫌でも目がいくようになった日々でもありました。
このあまりにも本質を逸脱した世間の注目に晒され、内藤選手の陣営は(本人たちの立ち位置がブレることがないであろうとはいえ)否応なく周囲や外野からの雑音に囲まれる日々をおくってきたようです。
メディアやネット上で根拠のない情報や中傷、興味本位の記事や発言が乱れ飛ぶという異常な事態に加え、ボクシングファン以外の人々も試合の本質外の事を話題にしたがっているようで…
私の好きなボクシングとは”似て非なるものに携わる人たち”が群がってきたことによって…(試合前の時点では)ボクシングの本質と異なるものの方へと興味が傾いているように感じています。
当初はいくら別の惑星の者たちとはいえ、試合が決まって”ちゃんとしたボクシングの試合”をすることになった時点で同じ土俵の上にあがってこざるを得ないだろうと思っていましたが、現在のところ悪意まじりの周囲の雑音の嵐によって戦前の話題はボクシングの本質から離れ気味であるように思えています。
しかし、自分にとっての真実は7月18日に後楽園ホールで目にした光景であり、瞬間の記憶こそがリアリティの全てであります。そう、その他の”真実”には興味がありません。
「”観客”にとって必要のない事実や真実を排除してさえも余り有る、溢れるほどのリアリティ」。自分の観てきたボクシングにはそれがあったのです。

どんな名チャンピオンでも苦しむといわれる初防衛戦。
これまで世界王座奪取に向けて、不利極まりない戦いをリング内外で繰り広げてきた「チーム内藤」が大きな山を越えた後、新たな結束のよりどころを再構築し臨まなければならない大一番でもあります(それは相手がカメダだからではありません)。初防衛戦とは、タイトル奪取という一丸となれるシンプルなモチベーションから、偉大なるマイナーチェインジが必要とされる戦いでもあるのです。それゆえに難しい。
であるというのに今回、世間では内藤選手の圧倒的有利と言われています。「たとえ内藤の調子が悪くとも負けるということはありえない」「レヴェルが違いすぎる」「(カラオケ次男坊が)重大な事故(大怪我)でも負ったらどうする?」。果ては「(内藤が)負けたらアヤシイ」というとんでもない声まであがる始末です。
しかし、ちょっと待って下さい。二つの拳で殴り合うリング上です。どんなことでもおこる可能性があるのです。
確かに国内のトップ選手(チャンピオンクラスや世界挑戦経験者)のほとんどと対戦し勝ち切ってきた内藤選手の圧倒的有利は事実だと思います。日本ボクサーには無敗。2引き分けの内のひとつ、坂田選手は現役の世界チャンピオンです。敗れたのはポンサックレック選手への世界挑戦の2敗のみ。確かに実績では勝負になりません。実力にかなりの開きがあるのも確かです。でも、世間でいわれるような”絶対”はない。「勝って当然」というのは本当にキツイと思います。前述の~難関の初防衛、そしてこの「勝って当然」の重圧と戦わなければならないのです。”絶対”なんて言えません。幸い内藤選手は「しっかりと警戒して勝ちにいく」というニュアンスのコメントをしていましたが…。

個人的希望としては、内藤選手がこれまでのキャリアの重みを見せつける内容で勝利し、普段ボクシングをあまり観ない人たちに”マガイモノでは味わえないボクシングの奥深さ”を体験させるような結果になれば、と思っています。
しかし、そんな贅沢は言いません。なんとしても内藤選手に勝っては貰いたいですが、それよりも切に願うのは当日リング上ではまがいものではない”本当のボクシング”が正しく行われて欲しいということです。
周囲の雑音など入る余地のないリアリティ、それがみられればとりあえず良しという感じです。TBS他の方々には衆目の中でこれ以上ボクシングを貶めないで頂きたいと思います。
内藤選手は王者として立派に戦うでしょう、カメダ選手もボクシングをするはずです。それ以外になにが必要でしょう?
頑張れ内藤選手、そして宮田ジム。
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