「 こどもの日 」 の挽歌

2014-05-05 | 日記

       

岩波文庫版 『 こころ 』 ( 2012年 124刷 ) 。今年は 『 こころ 』 が朝日新聞紙上に発表されてちょうど100年だという。四月下旬から八月上旬にかけての110回の連載だったという。東京の友人が自宅で朝日新聞を取っていて、つい最近この小説が新聞連載されたという電話があった。新聞で読むのも新鮮でとても面白いと言うから、僕もまた改めて読んでみようという気になって、蔵書の中からこの文庫を見つけたのだった。岩波版の漱石全集もあるにはあるが、また文庫も手軽でいい。

このところ天気も良くて、でも今日は曇って小雨も降るには降ったが、この過疎の村ではこの季節がどうも一年の中では、一番いいように思う。空気が爽やかに涼しいような少し冷たいような微風もあって、家に居るよりは外の方が暖かいのである。ここ数日、連休中の帰省客があって、何だか家の中が騒々しくて、どうもブログを書く雰囲気でなかったので、つい書かずじまいになったのである。普段お酒を嗜まない僕が、夜にはつい客のお酒に付き合って、飲むと眠くなってしまうのである。それに胸も少々苦しくなって、もう休むしかないのだった。僕には、アルコールは “ 夜の敵 ” であるのだ ( 笑 ) 。そうは言っても、そうでない時もあるのだから “ 敵 ” かどうかは、僕の夜の時間の過ごし方によるのである。今日は午後には皆が帰って行き、また元の静かな生活になったから、カエルの大合唱が聞こえる夜の落ち着きが嬉しい。それで、夕方から 『 こころ 』 の時間なのである。

小雨降る日の僕の “ こころ ” は、いろいろなことがあるにはあるにしろ、気候のせいか、文学の力に寄ってか、または自分の生来の能天気のせいか知らないが、 何とも満たされるのである。漱石の書く悔恨の文章は、皐月の青空深く消えてゆく美しい挽歌である。