作家の宮尾登美子さんが死去したとニュースで。
88歳だった。
よく考えれば戦前に結婚して満州に渡ったというから相当な高齢なのだが今何歳だったのか考えずに来た。
でも戦後70年になろうとしているので、ずいぶん若く結婚したのだなと改めて思った。
女学校を卒業してすぐ結婚している。
宮尾登美子は父親にその稼業や自身の出生の秘密から反発していたから、結婚して家を出たかったのだろう。
宮尾登美子は好きな作家だ。
初めて世に出た『櫂』を読み魅せられた。
先にTVドラマを見て興味を持ったのだった。
今朝の朝刊の追悼記事で林真理子が「宮尾さんの文章は流麗で句点までが長いのが特徴。平安文学の素地があると思う」と言っていた。
その通りだと思う。
源氏物語の一つの文は現代的感覚では恐ろしく長く長歌のように続いていくが、慣れるとこれが流麗で心地よく情緒を刺激する。
宮尾登美子の文章は源氏物語の系統の末という感じがする。
宮尾登美子の小説に出てくる主人公の女性はどれも凛とした美しさを持っている。
過酷な運命にあろうと自分の信じた道をひたすら前を向いて歩んでいく女性。
『序の舞』の上村松園も、『天璋院篤姫』の篤姫も、『蔵』の烈も、『一の糸』の女性も。
自伝的小説『櫂』『朱夏』『春燈』もよかった。
いくつかの理由で高知の風土・土佐弁が好きだが、宮尾登美子も高知の女性そのものでその部分も好きだったなぁ。
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