作者 葉室麟 直木賞受賞の作品。
ドラマ化、映画化された。
葉室麟は遅咲きの作家で54歳で文壇デビュー、2012年直木賞を受賞、多くの作品を残したが2017年66歳で亡くなった。
あらすじ(Wikipediaより引用)
「豊後 羽根(うね)藩。
城内で刃傷騒ぎを起こした檀野庄三郎(だんの しょうざぶろう)は、家老・中根兵右衛門の温情で切腹を免れたものの、僻村にいるとある男の監視を命じられる。その男とは、7年前に藩主の側室との不義密通の罪で10年後の切腹と家譜の編纂を命じられ、向山村に幽閉されている戸田秋谷(とだ しゅうこく)だった。
秋谷の切腹の期日まで寝食を共にし、家譜の編纂を手伝いながら秋谷の誠実な人柄を目の当たりにするうちに、庄三郎は秋谷に敬愛の念を抱き、次第に秋谷の無実を確信するようになる。やがて庄三郎は、秋谷が切腹を命じられる原因となった側室襲撃事件の裏に隠された、もう1人の側室の出自に関する重大な疑惑に辿り着く。」
私は映画は見ていない。
葉室麟の小説を読むきっかけはNHKドラマ『蛍草』を見て初めてその名を知り、興味を持ったから
これも過酷な運命の中で清廉に生きる少女とその奉公先のやはり素晴らしく清廉な主人の物語
主演の清原果耶が17歳なのに演技が素晴らしかった!
図書舘で借りた二つ目の本が『蜩ノ記』だった。
やはり一番の出来ではないだろうか。
最後の章で涙が浮かんできた。
小説を読んで泣いたのは初めてかもしれない。
過酷な運命を背負いながら自分の清廉な生き方を貫く人物は小説の中にしかいない、本当の江戸時代は現代と同じくどろどろとしたかっこ悪いものではなかったか、武士道の観念も時代劇が作りだした理想の形にすぎないのではと思いつつつ感動した。
ただ彼の小説はいつも同じような状況・同じような清廉な人物が出てきて彼の小説ばかり読むとワンパターンと感じるかもしれない。
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