本棚の一番奥にしまいおく「されどわれらが日々」の時代を
若いころ・・といってもはじめて読んだのは学生時代ではなく30代初めだったと思う。
この歌だけ詠むと60年安保世代と思われるかもしれないがそうではない。
しかしこの本の持つ雰囲気にはシンパシーを感じた。
大人の毒に染まらないうちに死にたいという少女っぽいナルシズム(決して現実にしたいというのではなくあくまで観念としての)の名残をどこかでまだ引き摺っていた私はこの本に出てくる優子に強い印象を受けたのだった。
優子は若くして自殺してしまうのだが・・本を読んでから何十年も経って私は優子がこの本の主人公のような錯覚を起こしていた。
その勘違いが分かった後もこの本だけは捨てられなかったのだった。
今でもこの本はなるべく目に入らないような本棚の奥に置かれている。