遠き日の風邪の記憶はほの甘し母の作りてくれし葛の湯
最近新聞歌壇に載った歌。
新聞歌壇はこういう日常や日常の気持ちを詠った解りやすい歌がよく取られるようだ。
観念的なもの幻想的なイメージのものは取られない。
短歌専門誌ではそういう歌でもまだ取ってもらえる。
もし新聞歌壇だけを目標にしていると、実験的な歌は詠えない。
投稿先は傾向の違ういくつか持っていたほうがよさそうだ。
子供の頃風邪を引いても母に優しく看病してもらえるのは嬉しかったものだ。
熱があって食欲がないとき、あるいはお腹をこわしたときは葛湯を作ってもらった。
いま食べたら特別おいしいものでもないが、あの優しい甘みでほっこり身体を温めてくれる葛湯は母そのものを表しているみたいだ。