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アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

変わりゆく品川界隈

2018-10-10 17:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

品川から田町にかけての車窓は、我々鉄道ファンにとって目が離せない区間であり、ほんの数分間ではあるが楽しんだもの。田町電車区、品川客車区、そして東京機関区と広大な敷地の中に鉄道車両が所狭しと集結していたからだ。多くのブルートレイン達が並び、足回りに雪でも付いていようものなら、それだけで興奮し、関ケ原の地を思い旅情にふけることができた。東京機関区も見渡せ、ブルトレけん引機のほか、普段見られない機関車が停留していると、それだけで嬉しくなったもの。茶色の機関車が庫の中にいるか、外にいるかでその日の運用を予想したこともあった。

現在、京浜東北線の南行に乗ると、随分と今までより海側に線路が移されたことがわかる。途中新駅になる大きなターミナルも建設中で、いよいよ思い出多きこの界隈も完全に生まれ変わることになるのだろう。どこか寂しさを感じるアントンKなのであった。

掲載写真は、現在のように生まれ変わるなんて夢にも思わなかった、昭和の品川駅でのスナップから。東海道上り本線に104列車、急行「銀河」が定時入線。そこに京浜東北線南行が入ってきたシーン。この時は汚いゴハチでアントンKはがっかりしただろうが、40年もの年月からか、今こうして眺めてみると、そんな想いには不思議とならず懐かしさに代わっている。この頃が一番鉄道趣味を楽しんでいた時代だったのかもしれない。

1978-11-22   104ㇾ  EF58171 急行「銀河」  東海道本線:品川

 


渾身のベートーヴェン~上岡/新日本フィル

2018-10-07 22:00:00 | 音楽/芸術

10月に入り、いよいよ演奏会の波が押し寄せる。まずは新日本フィルのルビー公演、ベートーヴェンプログラムから開始される。

ベートーヴェンの交響曲第4番、第7番、それにピアノ協奏曲第2番が入った贅沢なプログラムだ。ベト4とベト7の組み合わせの演奏会と言えば、アントンKは、昔初めて聴いたカール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏会を思い出してしまう。1975年3月、NHKホールで聴いたのがこの演奏会で、海外のオーケストラを目の前で鑑賞したのは、この時が初めてだった。まだ駆け出しのアントンKだから、演奏内容など印象に残るものではなくなってしまったが、それまで、LPレコードでしか聴けなかった音楽が、同じ空間で今鳴っていることの衝撃を今でも忘れることはできない。ただただ毎日のようにレコードに針を落とし、スピーカーから出てきた音楽と同じように聴こえる実演奏に驚嘆し感激したのだ。ベームと言えば、当時は日本でも人気の指揮者であり、カラヤンかベームか、などと比較され話題にされた時代。しかしこの時点では、アントンKにはその違いさえ判らなかったはずだし、もちろん朝比奈隆の演奏とも出会ってはいない。

トスカニーニやフルトヴェングラーたちの伝統的とも言える楽曲の解釈の流れを、自然に受け入れて当たり前のように聴いて、ある意味固定観念が確立されてしまった楽曲達だが、今回聴いた上岡のベト4、ベト7は、そんな過去の伝統的演奏などにとらわれず、原点に立ち返って一から構築した演奏だった。今回アントンKは、定演の初日を聴いたが、あまりにも衝撃が大きかったので我慢できず、茅ケ崎公演(定演と同じプログラム)まで出向いてもう一度鑑賞してきた。

もちろん、上岡敏之/新日本フィルによるベートーヴェンは初めて聴く訳ではなく、第9をはじめ第1や第5「運命」も実績がある。その流れの演奏スタイルに、今回もなるだろうという予想は当然できるが、今回の第4、そして第7番については、さらにきめ細かく深くなっているように感じられた。個々に書いていくと途方もなくなるので、全体に言えることを書き留めておきたい。

想定内だったのが、どちらの演奏も基本はインテンポで突き進んでいくこと。快速特急のように、さわやかな風が吹いているがごとく全力前進していく。しかしこのテンポ感で、オケの各声部の細やかな表情付けが具体的に行われておりまずは驚嘆した。木管楽器群の主張は最良で、ソロパートの心のこもり切った音色は、もうすでにヨーロッパオケの香りがしている。ここぞの時の金管楽器も上岡氏の指示を受けてベストだった。また今回は、ティンパニのアタックが抜群であり、第7の第1楽章展開部の頂点やコーダ、また第4楽章の中間部から終結部までのパフォーマンスは、聴いていて心が躍り出し、気持ちが掻き立てられるのがわかったくらい。が、何といってもここで忘れられないのは、弦楽器群の演奏。もうパフォーマンスと言っても過言ではないだろう。ご存知コンマス崔文洙氏率いる弦楽器群のことだが、今回の演奏の立役者は間違いなく彼等だろう。あんなに細かく繊細な粒に様々な表情があり、味わいがあり、哀しさや憂いもある。一つのフレーズ内でも、響きの表情が変わり、今まで聴いたことのない雰囲気に楽曲の色が変わる。それは音符の長さの統一感の徹底であり、スタッカート、レガート、テヌートといった奏法が綺麗に徹底的に統一されていたのだ。しかもあのテンポでそろっていたから、アントンKはこの時点でぶっ飛んでしまったのだ。演奏会が終演しても、またすぐにもう一回聴きたいと思わせた一番の要因だった。あそこまで仕上げることは、素人目で見てもこの上ない努力が必要なことくらいは理解できたが、限られた時間の中、よくぞここまで!との思いが鑑賞中に何度も頭の中を駆け巡った。実際、初日の演奏に対し、最終の茅ケ崎公演の方がさらに大胆に鋭く演奏され完成度が上がっていたように感じたのである。これには、指揮者上岡氏のもと、コンマスの崔氏の並々ならぬ努力があってこその成果なのだと思う。それは彼の舞台における立ち姿を見れば、誰でも理解することだろう。ここまで指揮者を理解し、オーケストラ全体をけん引しているコンマスはいるのだろうか。少ない体験でしかないが、アントンKは今までベルリン・フィルやコンセルトヘボウで鑑賞した時に一部感じたくらい。他の日本のオーケストラでは皆無なのだ。

崔氏の奏でる音色は独特であり、目隠ししていてもわかるくらいの艶やかで情感のある音色。彼のVnから最低音のDbまで、その精神性をはびこらせるため、圧倒的パフォーマンスを我々に披露するのだ。アントンKがいつも感動するポイントでもあるが、今回のベト4やベト7では最高潮に達してしまい目頭が熱くなった。世界の一流と言われるオーケストラを聴くと、弦楽器奏者は身体全体を使って奏していることがよくわかるが、崔氏の奏法がまさにそれで、聴覚的にはもちろん視覚的にも心を熱くするのだ。演奏中、彼が反り返り、中腰になると、いよいよ張りのある艶やかな分厚い音色がホールを包み込み、オケ全体がギヤチェンジして上岡氏に食らいついていくかのように感じる。上岡敏之氏と新日本フィル、ベストマッチと以前書いたが、これはどうやらまだ現在進行形のようだ。今後、まだ多くの演奏会が残されているから、すべて自分に取り込んで消化したくなるというもの。一期一会の特別な演奏会を期待して待ちたい。(続く)

新日本フィルハーモニー交響楽団 第17回定期演奏会ルビー

10月5日  すみだトリフォニーホール

ベートーヴェン  交響曲第4番 変ロ長調 OP60

ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調  OP19

ベートーヴェン  交響曲第7番 イ長調  OP92

アンコール

メンデルスゾーン 交響曲第4番  イ長調「イタリア」~第4楽章

10月7日  茅ケ崎移民文化会館 大ホール

茅ケ崎特別演奏会

同上 プログラム

 指揮    上岡 敏之

ピアノ    田部 京子

コンマス  崔 文洙

 

 

 

 


夜明けの東海道を往くEF651001

2018-10-06 22:00:00 | 鉄道写真(EL)

EF65PFの流れを受けて、今回はPF型トップナンバーの急行貨物列車。

現在新鶴見区のEF65が国鉄色に返り咲いているといっても、アントンKはやはりこの面構えが好みだ。窓周りのHゴムの色も印象を大きく変えてしまうが、こう見るとあまり意識していなかったパンタグラフもイメージに大きく影響してしまうようだ。EF651001として晩年の姿だから、スノープロウが省略されていて残念でもあり、かなり疲れ切った表情なのが心痛むところだ。当時は多くのPF型の中の1台として黙々と貨物列車をけん引していた訳で、あまり注目を浴びる存在ではなかったのかもしれない。

いつものように、早朝から夜行列車撮影のため東海道線へと繰り出した時の副産物。ちょうど朝日が昇り、線路に日が入ってきつつある時に現れたEF651001。濃紺が橙色になった瞬間見たEF65PFは、ブルトレよりも輝いて見えた。

2003-08-10   96ㇾ  EF651001   JR東日本/東海道本線:湯河原付近


急行「八甲田」~EF65PF時代

2018-10-05 18:00:00 | 国鉄時代(カラー)

今日は友人とEF65PFの話に花が咲いた。旅客列車や貨物列車と、あらゆる列車に対応しうる万能機関車EF651000番台。EF58を追いやった張本人には間違いないが、やはりその使い勝手の良さ、優秀な性能が、今日まで活躍している由縁なのだろう。旅客会社のEF65は、ますます所帯が狭まりつつあるが、貨物会社所属機は、まだまだ現役。これからの活躍にも期待していきたい。

急行列車つながりで、EF65PFの急行「八甲田」を掲載。当時は黒磯からEF58に代わってEF65PFけん引になり上野を目指していた。アントンKとしては、初期ロットの通風孔付きのEF65PFが好みだが、ここでは、すまし顔の二次型EF651041号機けん引。編成も、末期の「八甲田」編成だから、寝台客車は省略され12系に統一、魅力は半減したが、機関車次位に貨車みたいなスニ41が連結され、唯一定期急行の姿として認知できる。

この時は、そんな編成は無視して機関車を大きく撮影。新しく手に入れたレンズMF Nikkor  135mm F2Sを試したくて、仕上がりをワクワクしながら待った思い出がある。F3のモードラを殺して、シングル一発で仕留める緊張感。今や懐かしくもある。

1984-12-30     102ㇾ  EF651041     急行「八甲田」  東北本線:氏家-蒲須坂


12系で走った急行「佐渡」

2018-10-04 20:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

北のゴハチを続けていきたいが、やはりEF58と言えば美しい大窓の機体だろう。当時の撮影仲間は、もちろん大窓至上主義で、大窓機の中でも評価がそれぞれ分かれていたことを思い出す。アントンKはと言えば、当然大窓機は好きだったが、以前にも言ってきたように、ゴハチでも北のゴハチは生まれも育ちも違う顔を持つゴハチとして別扱いだった。寒冷地を走破するゴハチはより頼もしく誇らしかった。そんな思いで撮影していたと思っている。

夏の多客臨で客車急行の「佐渡」が設定されていたので、撮影に出た時の一コマ。EF57時代には、多客臨に多くの客車列車の設定があり、随分と撮影を楽しんだものだが、そんな時代も終わり、急行列車自体が減少し電車にシフトしていくと、特に日中走る客車急行を珍しくなっていった。現状を思えば、それでも夜行列車が残っていたから、まだ当時は救われているが、今のような機関車ファンの暗黒時代を誰が予想できただろう。

EF58が12系をけん引する姿は、当時は何てことない被写体だったが、他の鉄チャンにも遭遇せず、そして現れたゴハチが長岡区の35号機とくれば嬉しさ倍増だ。何も知らず、いつ来るかも知れぬ列車を待ち、たまたま変形機に出会えた偶然性に喜んだのかもしれない。今では、こんな気持ちにはもうなれないだろう。

1980-08-13    8701ㇾ  急行「佐渡55号」 EF5835    12系  東北本線:北浦和付近