北のゴハチを続けていきたいが、やはりEF58と言えば美しい大窓の機体だろう。当時の撮影仲間は、もちろん大窓至上主義で、大窓機の中でも評価がそれぞれ分かれていたことを思い出す。アントンKはと言えば、当然大窓機は好きだったが、以前にも言ってきたように、ゴハチでも北のゴハチは生まれも育ちも違う顔を持つゴハチとして別扱いだった。寒冷地を走破するゴハチはより頼もしく誇らしかった。そんな思いで撮影していたと思っている。
夏の多客臨で客車急行の「佐渡」が設定されていたので、撮影に出た時の一コマ。EF57時代には、多客臨に多くの客車列車の設定があり、随分と撮影を楽しんだものだが、そんな時代も終わり、急行列車自体が減少し電車にシフトしていくと、特に日中走る客車急行を珍しくなっていった。現状を思えば、それでも夜行列車が残っていたから、まだ当時は救われているが、今のような機関車ファンの暗黒時代を誰が予想できただろう。
EF58が12系をけん引する姿は、当時は何てことない被写体だったが、他の鉄チャンにも遭遇せず、そして現れたゴハチが長岡区の35号機とくれば嬉しさ倍増だ。何も知らず、いつ来るかも知れぬ列車を待ち、たまたま変形機に出会えた偶然性に喜んだのかもしれない。今では、こんな気持ちにはもうなれないだろう。
1980-08-13 8701ㇾ 急行「佐渡55号」 EF5835 12系 東北本線:北浦和付近