アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ピアノとオーケストラと、指揮者と

2018-10-11 20:00:00 | 音楽/芸術

今回、革新的と言えるベートーヴェンを聴いたが、同時に演奏されたピアノ協奏曲第2番についても書き残しておきたい。

2つの交響曲が、あまりにもアントンKにとって響いてしまったので、コンチェルトが埋もれがちになったが、このピアノ協奏曲第2番も、繊細で美しく今までの同楽曲の印象を大きく変えてしまった。田部京子のピアノは、どこまでも透き通っており、図太さや大きさよりも緻密なガラス細工をみているかのようにキラキラと輝いていた。これは、やはり指揮者上岡敏之の求める音色なのだろう。オケを十分ピアノに沿わせて、どこまでがソロで、伴奏なのかがわからなくなるくらいの一体感を見せていたように思う。特に第2楽章におけるピアノとオケとの会話は、決して聴いたことがなくずっと心に響いているポイントだ。

ピアノの音色自体は、ベートーヴェンよりもモーツァルトに似合う音に聴こえたが、音の粒が綺麗に整い、絹のように柔らかな響きは、実に心地よい印象だった。ピアノが大好きがという指揮者上岡氏だから、その際指揮振りでも良かったのでは?とも思えることもあったが、あくまでもソリストをたたえ、自らは脇役に徹していた上岡氏の姿勢は心温まるもの。こんな場面にも彼の人間性が伺えるのであった。

真夏を思わせるような秋晴れの中、大熱演が繰り広げられた茅ケ崎市民文化会館。こんな熱演の前ではホールの良しあしも無くなる。しかしリニューアル直後とあって、地方のホール感はかなり影を潜めていた。2018-10-07