行きがけの駄賃を拾いに、もう最後かもと言われる工臨を狙いに新鶴見界隈へ行くと、懐かしい旧友が現れ、しばし昔話に花が咲いた。彼も同じ気持ちでこの場所へ来たのだろうか。同じ列車がお目当てだから、偶然会えてもおかしくはないが、鉄分がいくらかでも残っていないと出会えなかったはず。やはり線路端に立ち続けなければ、楽しみも半減しそうだ。今日はそんな気持ちにさせられた。
当時のことを思い出しながら、また国鉄時代から1枚。東海道を午後下るEF58の重連運転による荷物列車。晴れているからか、珍しくカラーポジフィルムを装填している。エクタクロームの青味がかった発色は、こうして見ると個性的。KRやRVP、RDPとポジフィルムも進化していくが、現代のデジタルの発色に慣れた目からしても、どこかアナログレコードに針を落とし、ノイズとともに聞こえてくる音楽のような感覚で味わいを感じる。パンタ4基全て上げてやってきたEF58重連だが、当時のアントンKではこれが限界。ここでは荷35列車の長大編成は収まり切れなかった。背景に映り込む永谷マンションは今でもあるのだろうか。
1978-10-01 荷35ㇾ EF5855+157 東海道本線:大森付近