鉄道ファンなら誰もが一度は憧れた、ブルートレイン。アントンKも御多分に漏れず、東海道線の夜行列車には、いつの時代も憧れがあり、鉄道写真の中でも自分の中では別格な扱いだった。常に機関車はヘッドマークを掲げ、重厚な客車が連なる姿は、写欲も注がれ、撮影計画のいつも中心にいたことを懐かしく思い出す。
今では、愛孫にブルトレに乗せてくれ!とせがまれても叶えられず、まさかこんな想いをするなんて思いつきもしなかった。アントンKは何度かの東海道ブルトレの乗車経験もあるが、世代を越えて乗車し、流れる車窓を横たわりながら過ごす贅沢な時間、特別な空間を一緒に味わえず本当に残念に思う。晩年の「富士・はやぶさ」に乗車し、東京から約1時間ほど録音したものの中から、車内放送が始まる合図の鉄道唱歌のオルゴールを聞かせても、まだ理解できないだろうな~
夏休み、初めて関西への鉄道撮影旅行からの帰り道。ちょうど九州ブルトレの発車時刻と重なりホームでスナップしている。一番手の「さくら」は16時30分発だから、発車時刻が迫り慌ただしい12番線。よく見ると、大きなラジカセを持ったお若いファンがEF65P型の周りに群がっていた。自分もこうだったと、微笑ましく感じてしまいシャッターを切っている。このアナログさが昭和の誇り。アントンKの原点もここにある。
1975-07-30 1ㇾ EF65509 さくら 東海道本線:東京駅12番線ホーム