数々の鉄道シーンの中、魅力的に映るものの一つに、峠を目指してひた走る貨物列車のシーンが上げられる。補機を伴い何処までも続く貨物列車に力強さと迫力の大きさというものをいつも感じていた。こんな何十年も前の画像でも、不思議とあの頃に戻れるような強さを感じてしまうのだ。好きな路線でよく出向いた上越線だったが、新幹線開通とともに足が遠のいてしまった。こうして考えると、この時代が最盛期とも言える上越線をこの目で見て、多くの感動的シーンを味わい幸せに思えるのだ。
水上を出た貨物列車は、おおよそEF16の補機を従えて峠を目指してくる。この日は新潟側と見間違うほど雪が多く悪天候だった。いつもだったら本務機のEF15も、この時はEF64。さすがのロクヨンも、長大貨物列車のせいかEF16のお世話になっているのだ。バケペンのバッテリーを身体で温め、寒さに耐えながらその時を待つ想いは、苦痛を越えて快楽となり、ただ達成感に浸かる一瞬のためだけの試練に感じていた。こんな想いも、最近はとんと味わってはいない。
1980-02-12 3761ㇾ EF1630+EF6474 上越線:水上-湯檜曽