アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

初めての大俯瞰「狩勝峠」~DD51

2020-05-21 22:00:00 | 国鉄時代(カラー)

鉄道撮影のための初めての北海道。1978年という年は、ほんの2~3年前まで現役蒸機が残っていた訳で、現地にはまだその喪失感が残っていたはず。当時は多くの鉄道ファンも、さらなる被写体を求めて右往左往していたことだろう。広大な北海道でも、滅多に鉄道ファンに出会うことが無かったと記憶している。この翌年、山口線にC57が復活、さらに10年後の88年に函館山線にC62が走り出すなんて、誰が想像できただろうか。細々とでも長く続けることは、人生にとっても重要なファクターと思いさらされる瞬間だ。

鉄研の先輩方とともに上った狩勝俯瞰。この頃のアントンKは、今にして思えばまだ撮影自体も駆け出しの時代。月刊誌の写真に憧れ、目標にしていた頃だから、ほとんどが線路端でカメラを構えることが全てだった。撮影の基本、何をどう撮るか、の「何を」ははっきりしているが、「どう撮るか」の部分がまだまだ未熟で迷いがある時代だった。初めて大きく線路から離れて鉄道にカメラを向けることに、戸惑いを隠しきれなかったが、何しろ目の前の広大な景色に心を奪われてしまい、しばし無心になったことを思い出す。もちろん、鉄道路線としてもこんなにスケールの大きなポイントは生まれて初めてで、列車が彼方に見えてきて、その後数十分も同一列車が眺められるということに驚嘆したものだ。それまでは、車両を大きくどう見せるかということに撮影の重きを置いていたが、こんなに広大な景色の中の鉄道の魅力を表現できないだろうかという、新たな境地に立ったのも、ここからかもしれない。

掲載写真は、狩勝を往くDD51けん引の普通列車。広大に広がる山並みの中、二条のレールが大回りしながら峠を越える。一コマ一コマ丁寧にシャッターを切り、興奮を抑えながら列車を見送った場面が蘇る。

1978-08-26  1492ㇾ   DD51521          根室本線:新得-落合