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[本]国家の自縛

2006年09月22日 | 読書部
たまにはカヤック以外のネタも、と思い、久々に読書感想文。

『国家の自縛』 佐藤優  産経新聞社 1500円   

退陣間近の小泉政権だが、内閣発足時の『宗男騒動』を覚えているだろうか?
あれから5年、ムネオ自身も衆議院議員として復活してきているが、
外務省におけるムネオファミリー最側近といわれ、
ついにはムネオとともに逮捕されてしまったこの本の著者・佐藤優氏
(外務官僚(現在・起訴休職中))も復活してきたようだ。

前作『国家の罠』で、国策捜査によっていかに自分が陥れられたかを記していたが、
今回は国家論・外交論・はたまたネオコン解説と自説盛りだくさん。
特に第三・四章で語られる「ネオコン」に対する見解は秀逸。
一世紀をさかのぼって哲学・宗教的背景をも加味した解釈はもちろん、
政治的見解が正反対の二人の碩学、ユルゲン・ハーバーマスとアービング・クリストルが
「ネオコンの成立過程」については同様の解釈をしている、などという発言は
昨今の一般的なネオコン解説本の類ではまったく触れられることがなかったであろう
高度な洞察である。

浅学の身としては大変勉強になった。


ただひとつひっかかるのは、彼には強烈な親ロシア・イスラエル、
そして反イスラム・中国の思考が見え隠れする。
その背景は、ひょっとしたら彼が神学部卒のプロテスタントという
出自からくるものかもしれないが、
しかし戦後日本の掲げている外交政策とは正反対の方向である。

いいか悪いかは別として、日本の外交政策ひいては外務省の『風向き』とは
馴染めなかった彼の主義・主張そのものが今の境遇の遠因になったと考えるのは
穿ち過ぎであろうか。。。

優秀ではあるが、従来の方に嵌らない人物(キャリアじゃないしね)。
たたき上げのムネオが彼を重用したからこそ、
その能力を十二分に発揮させることが出来たと言えよう。

逆にインテリ揃いの外務省キャリアには使いこなせなかったんだろうなあ、
こんな『ラスプーチン』は。

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2 コメント

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これは未読ですが (510)
2006-09-22 23:52:16
「国家の罠」、「自壊する帝国」を読みました。

わたしの感想は単純に「佐藤優、すげー」ってかんじでした。



「自壊する帝国」はソ連の外交官時代の話。読んでみてください。どんな感想になるのか、興味があります。
返信する
お返事 (いばさく)
2006-09-23 22:27:24
>510さん

あら、510さんと同じタイミングで同じような本のレビュー載せてますね、偶然ですねえ♪



「自壊する帝国」は最新刊ですね。近いうち読もうと思ってます!
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