マジョルカピンク

水曜どうでしょう。大泉洋。大谷翔平。大好き

人のセックスを笑うな

2009-01-25 21:57:30 | 映画
DVDを借りてきて見ました。ゆったりした日曜の午後を過ごすのに、我ながらベストチョイスなこの作品。
松山ケンイチ、永作博美主演。監督は井口奈己。山崎ナオコーラ原作。
「人のセックスを笑うな」

美大生とリトグラフ講師の20歳離れた二人のひと冬の恋の話。
う~んうっとり。こういう世界大好きだ。
男を振り回すファムファタールものは好きじゃないのに、この永作さんが演じるユリ先生には好感が持てる。
若々しくてメチャメチャ可愛い。奔放で小悪魔的。そのくせ大人の女性の渋さや余裕も併せ持っていてとにかく魅力的なのだ。こんなキュートな先生なら若い男の子がコロっと参ってしまうのはうなづける。松山くん演じるみるめ君も本当に瑞々しくいじらしく、年上の女性と恋に落ちて抑制がきかない思いを本当によく表現してる。若いとき、好きな人のことで頭がいっぱい、とう経験をした人ならみんな共感できると思う。

この監督の「犬猫」という作品がとても素敵だったのでこの映画にも期待してましたが、やっぱり才能あるよなあ。
人物や日常の描き方が丹念でリアル。
出会ってから恋に落ちるまでの経過をじっくりじっくり描いているので、見ている側が登場人物の気持ちに寄り添っていきやすい。そしてとっても自然。わざとらしい表現、シーンは一切なし。アドリブにしか思えない場面がいくつもあって、その演出方法には感心してしまった。多分役者さんたちの演技を尊重し、信用しているのだと思う。
また、登場人物のアップがあまり出てこず、かなり引きの画が多いのも特徴。構図がしっかりしていて、役者さんが美しい田舎の風景に溶け込んでいた。それに主人公がカメラにずっと背中を向けてたり、あるシーンではずっと人物は端に捉えていて壁や風景を中心に据えている画も見られたり、日常のひとコマを見ているような既視感があるのも面白い。ひとつひとつのシーンに明確なこだわりがあり、監督の計算があるのかなと思いました。

最初から上手くいくはずのない恋愛。でも悲しさはなく、ただせつなさで胸がキュンキュンするのみ。
インモラルな関係のはずなのに、不埒な感じはなく応援したくなるような微笑ましさがあるのは女性監督ならではの感性なのかなあ。どこか清潔感があってチャーミングなのだ。
ユリ先生のような女性は到底現在のみるめ君が太刀打ちできる相手ではない。趣味嗜好のエピソードにそれは現れている。辛いカレーもワサビも食べられないみるめ君には煙草やコーヒーを愛するユリ先生より、煙草もお酒もダメ、コーヒーよりココアが好きな蒼井優ちゃん演じるえんちゃんのような女性が似合うのだろう。どんなに好きでも、どうにもならないことってあるのだ。若いから傷つけてもいいということにはならないけれど、こういう経験は青年から大人の男へシフトする通過儀礼みたいなものだと思う。ああ若いっていいなあ。しみじみ感動。