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安田講堂事件

2009-01-15 00:03:54 | テレビ
日テレで東大安田講堂事件を再現ドラマ化した「日本史サスペンス劇場特別版”東大落城 安田講堂36時間の攻防戦…40年の真相”」というのをやっておりました。
以前「実録・連合赤軍」の感想でも述べたように、活動家鈴木邦男氏の言葉を借りれば日本はこの政治の季節と呼ばれた学生達の革命運動をきちんと総括していないと思う。一体この時代に何故これほどまで熱く若者たちが燃え、何と闘っていたのか。何故圧倒的な敗北をしてしまったのか。連赤事件については昨年の若松孝二ほか若干映画化された作品はあるけれど、安田講堂事件は殆どないと思われ(私が知らないだけかもしれません)。それほどこの時代を過ごした人たちからしてみると、あまりに苦々しく、振り返りたくない事件なのだなと想像できます。

番組はスタジオにゲストを呼んでワイプで登場させたりとかをせず、ひたすらドキュメンタリータッチなドラマに当時の実際の映像を時折はさみながら事件を時系列に描くといったもので、こういうバラエティ番組には似合わぬ力のこもった演出でなかなか迫力がありました。オンタイムで当時を知らない者にとってはびっくりするような内容。こんなことを戦後20年以上たっていた当時にやっていたとは・・。あの東大で。単なる紛争というよりもう市街戦、シビルウォーの領域ですね。当時の学生達スゲー。
ドラマ的にはなかなか面白かったのですが、なんだかラストがいまいち・・。共に闘う者同志敵味方互いに相通じるものが生まれるという感覚はわからなくはないですが、あれだけ完膚なきまでに学生運動を叩きのめしておいて、今頃当時指揮していた佐々さんが「彼らにはシンパシーを感じる部分もあった」とか「今の若者はあの当時の学生達のような熱がない」などとどの口が言うか、と。そういう締め方はないなあ。「この事件をきっかけに世間が世の中のために戦うなんて割りにあわないことはやめよう、と私利私欲に走るような人間ばかりにならなければいいが・・」とわざとらしく陣内さんに言わせてましたけど、反省なんだか言い訳なんだか・・。
安田講堂事件だけに特化せず、これら一連の大学紛争からよど号ハイジャック事件やあさま山荘事件、パレスチナの日本赤軍の事件などが派生し現代へと至るのだということにも少しは触れてほしかったような気もするけど、あんまり店を拡げすぎても収拾つかなくなっちゃうか。
この団塊世代のあと何やるにも無気力なシラケ世代があってそのあとが悪名高きバブル世代。
ちょうどこの番組のすぐあと「テレビってヤツは!?」を見ていて、当時のバブル世代の楽天的でおかしな金銭感覚に可笑しいやら哀しいやら。団塊世代の学生運動をあのまま野放しにするわけにはいかなかったとしても、どうしてあそこまで思いつめさせてしまったんだろう。日本て完全にどっかの段階で狂ったというか大きく舵取りを間違えてしまったんだな、と思う。そして、全共闘やら蟹工船やらに再びスポットが当てられている今日この頃ですが、今更あの政治の季節が青臭くも懐かしいといわれても、もうあの時代のように若い人が怒ったり連帯したりすることは日本ではもうないな、と思ってしまうのだ。