目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

山で失敗しない10の鉄則

2011-06-06 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

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昨今の槍ヶ岳では、山スカ渋滞なるものが発生していると書かれていた。何じゃそれ? 山ガールがスカートで槍の穂を登っていくものだから、男どもが直下を登っていけず、山ガールがほとんど登りきるまで待つことから渋滞が生じるらしい。ふ~ん、そんなことが起こっているのか。還暦を過ぎても精力的に山登りを続ける岩崎さんだからこそ、こんな最近の山状況を知っている。氏の山仲間ネットワークはすごいね。

もうひとつエピソードで興味深かったのは、氏がまったく自分と同じ経験をしていたことだ。ネパールのメラピーク(6476m)を登山中に極度の日焼けをして顔面がETのようになってしまったとある。私はネパールじゃなくて鳥海山だったが。下山してビールでいっぱいやっているときに、近くに下山してきたばかりのおじさんがいて、激しく日焼けしていて、ゆで蛸のようだった。いやあ、ひどいなと見ていたが、自分はもっとひどかった。ほとんどヤケドで、軽いケロイド状だった。それから、いつも日焼け止めを手離せなくなった。曇りでも塗ってる。

上記のようないろいろなエピソードを紹介しながら、山の危険を説き、そのための具体的な備えを挙げている。この本は山登りの初心者向け、そして未だ若いつもりでいる中高年への警告の書(私向けか!?)である。耳が痛い箇所もあるが、知識として備えておく必要のあることばかりだ。まさにタイトルが示している「山で失敗しない鉄則」が書かれている。

最後にあらゆる登山者にとって、おそらく重宝するであろう情報が巻末についているので、紹介しておこう。「岩崎元郎のお気に入り百山」である。ジモティだけに支持されているような、あまり知られていない低山の名山が数多く採り上げられている。ここに書かれている四国の山はほとんど知らないし、昨年登山口の前を車で通りかかった秋田の虎毛山とか、岩手の七時雨山とか、名前からしてそそられる山々が登場する。氏によるコメントは数行しかないから、自ら調べる楽しみもある。

山で失敗しない10の鉄則 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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飯豊連峰登ったり下りたりPart3~飯豊本山・地蔵岳つづき

2011-06-04 | 山行~東北

04p6020589 コースタイム 6月2日 飯豊本山小屋8:10--8:45姥権現8:50--9:10草履塚9:20--10:25御沢分かれ--10:31御坪10:37--11:45地蔵岳直下11:55--12:05地蔵岳山頂12:10--13:05長之助清水--13:37大日杉小屋

前泊は飯豊本山小屋。前日に見かけた3人パーティとは同宿となった。彼らに追いついたときに、今日はこれからどちらに?と訊かれた。「飯豊山に行って、もとやま小屋泊まりです」と答えると、へ?と聞き返される。そう「ほんざん小屋」なのだ。持っていた地図には、飯豊本山は「飯豊山」と書かれているし、飯豊本山小屋は「本山小屋」と書かれている。「ほんざん」という読み方は頭の片隅にもなかった。「もとやま小屋」と思い込んでいる人は結構いるんじゃないかと思うがどうだろうか。

昨晩は彼ら3人組は雪をたんまり袋につめて小屋の2階にあがり、鍋パーティをして盛り上がっていた。私は一人さびしくラジオを聴きながら1階でメシ。疲れも出て、早々にシュラフにもぐりこんだ。

朝5:00起きてみると、昨日に引き続き風が強い。おもむろに朝食の準備を始め、様子を見るが一向に風の勢いは収まらない。同宿の3人パーティは8:00頃小屋に荷物をデポし、御西岳までピストンといって先に出発していった。私もほぼ10分遅れで、小屋を後にする。もうちょっと元気があって、飯豊のお山をもっと知っていれば、御西岳に行きたいとなって、目指したんだろうけど。

8:45姥権現に到着。昨日は前を通過してしまったが、どうしてもカメラに収めたいと思い、荷物をおろして撮影タイムとなる。とても味わい深いお顔付きである(写真上)。おべべも似合っている。

9:10草履塚で、昨日とは逆にアイゼンを着ける。ここからは雪との格闘コースになる。昨日は回避した雪渓コースに入る。下りだから楽チン。いつの間にかコースをちょっとずれていたが、すぐに気づき本コースに戻る。

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左上:大日岳 右上:この先に草履塚 左下:雪渓コース 右下:かすかに見える中央の点3つが本山小屋で同宿だった3人組パーティと思われる

10:31御沢分れを越えたところにある御坪で休憩する。あとは来た道をたどるだけだ。でも往路と復路では見え方が異なるので、時折ちらちら見える赤テープで夏道はこれかとか、ここをショートカットできるとか、昨日は気づかなかったちょっとした発見を重ねながら進めた。

09p6020596

11:45地蔵岳直下の祠がある場所で休憩(写真左)。ここまで来てしまうと、もう下山したような気分になる。

12:05地蔵岳山頂到着。年配の夫婦がいた。本日ここまで登ってきたという。地蔵岳まででもちょっとしたハードなトレッキングコースだからね。ここまででも十分楽しめる。

13:05長之助清水で一息入れる。大日杉には13:37無事に着いた。途中前方に3人組が歩いているのを目撃し、あれれ、後ろを歩いていたはずなのにいつの間に前に! どこか私の知らない超ショートカット道があるのかとか思ったが、そんなはずはなく、まったくの別パーティの人たちだった。ああびっくりした。

下山後ほどなくして低気圧の影響で雨が降り出した。

この飯豊山行を振り返ってみると、この土地の豪雪のすごさを見せつけられた感が強い。斜面に生えた若木は雪の重みで「し」の字状に捻じ曲げられている。そんな木は雪が融けてくると、突然載っていた雪を、伸びたばねが戻るように思い切りはねのける。若木の樹林帯を歩いていて、目の前で、びゅ~んと木がしなり、雪をはねのけるのを目撃したし、自らの足で雪を減らしてしまうと、恐ろしいトラップと化して驚きもした。何より6月でもこの雪の量だからね。梅雨の長雨が来なければ、雪は融けてくれないのだ。さあ、次回は高山植物が満開の時にでも、訪れたいものだ。

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飯豊連峰登ったり下りたりPart3~飯豊本山・地蔵岳

2011-06-02 | 山行~東北

001p6010576 飯豊本山 標高 2105.1m 地蔵岳 1538.9m 山形・福島県

2001年6月1日(金)--6月2日(土) 両日ともに晴れ

メンバー 私一人(山の神はお仕事)

コースタイム 6月1日 5:55大日杉小屋6:20--6:58休憩7:05--7:58休憩8:10--9:42地蔵岳9:53--11:16休憩11:26--11:34昼食11:55--13:05切合小屋13:15--13:45休憩13:55--14:05草履塚14:15--15:00休憩15:07--15:25飯豊本山小屋(荷物デポ)15:35--15:45飯豊本山山頂15:49--16:00本山小屋(泊)

前泊は道の駅いいで。月曜にも道の駅白い森おぐにで車中泊して、睡眠不足になったのに、3歩で忘れるんだねえ。まあ無料で泊まれることに味をしめたともいえるけどね。また車中泊してしまった。バイクツーリングの方でアスファルトの上に強引にテントを張っている人もいて、真似してもよかったんだろうけど、さすがにアスファルトの上はねえ。でも、前回よりは眠れたほうだろう。

01p6010577

面白かったのは、晩に友人Tから電話が来たことだ。今六本木だけど、飲みに来ないかと。彼のオフィスは六本木にあるのだ。今山形にいるからムリ。ハァ~?と信じられない様子。当然だよね。平日だし。

さあ、本題へ。
4:30頃起床し、道の駅を5:10頃出る。途中山菜取りと間違われて、入山券を購入せよと要求するおじさんに車を止められた。山に登るだけですからとザックや登山靴を見せていると、誤解もとけ、通してくれる。5:55大日杉の駐車場に着いた。大きくて新しい大日杉小屋(写真左)が目の前にある。平日のせいか人影はなく、昨日は誰も泊まっていないようだ。小屋の中を覗き見して、さあ出発。時計を見ると6:20。

歩き初めて40分くらいで、早くも道に迷う。地図と周辺をチェックしてから正しいと思われる道を見つけてまた歩き出す。気持ちのいいブナの原生林を進んでいくと、しだいに気温が上昇してきて汗をかく。一枚脱ぎ、再び休憩を入れる。稜線を詰めていき、地蔵岳には9:42到着した。

 

002p6010578 02p6010580 右:カタクリの群生

山頂からは飯豊本山の雄姿が拝める。山頂付近には、カタクリの群生があり、競うように花を咲かせていた。雪渓をなめてくる風が涼しくて、とても心地いい。

003p6010579 飯豊本山

9:53地蔵岳から下り、まずは切合小屋に向けて出発。ここからは再び雪の世界に突入だ。しばらくはアイゼンを装着するほどでもなく、そのまま進んでいく。ところどころ、夏はヤブであろう箇所をショートカットして進む。11:16休憩なしで歩いたせいで、ちょっとへばってきて腰を下ろした。再び歩き始めると、運悪くすぐに格好の昼食用スペースが出てきてしまった。ちょっと失敗。もう少し我慢して歩いていればと悔やむも、腹が減っては戦はできぬと、そこに陣取ってごはんにした。ところがそこは風の通り道。地蔵の山頂では心地よかった風も今やただ身を震わせられるだけだ。11:55早々に片付けて出発する。5分ほどで御沢分れに出る。

ここで2コースに分かれているが、地図のコースタイムを見ると、どちらも同じ。あえて雪渓コースを避けた。でも同じことだった。雪が多いからどちらも雪道コースなのだ。むしろ選択したコースのほうが、雪が着いている分時間がかかるということだ。アイゼンを着けて稜線を目指す。13:05切合小屋に到着し10分ほど休憩。

 

 

004p6010581 03p6010582
左:草履塚 右:飯豊本山小屋

14:05草履塚に到着。雪もなくなり、アイゼンをはずす。愛らしい姥権現(写真はPart3つづきで)を通過し、御秘所あたりで、前を行く3人パーティを発見する。だいぶ前から時折人影らしき点が動いているのが見えていたのだが、今度ははっきりと視認できる距離に3人はいた。平日でもお仲間がいるのかと心強く感じる。その頃から稜線を抜ける風がだんだん強くなってきた。ラジオで聞いたニュースによると、三陸沖で低気圧が発生している。

15:00頃に休憩をいれ、飯豊本山小屋には15:25に到着した。荷物をいったん小屋にデポし、飯豊本山に足を伸ばす。目と鼻の先なのだが、風が半端じゃない強さになっていて、行く手をはばむ。着いたらすぐ小屋に戻らねばと、足を速める。

005p6010585

山頂には誰もいなかったが、絶景が待っていた。雪の峰々が目の前に連なる大パノラマ。登ってきた甲斐があったというものだ。強風に追われるように、本山小屋には16:00に戻った。

つづく
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飯豊連峰登ったり下りたりPart2~門内岳・胎内山つづき

2011-06-01 | 山行~東北

コースタイム 5月30日 門内小屋5:55--6:08胎内山--6:25扇ノ地紙6:30--7:09梶川峰7:20--8:00五郎清水近辺8:25--9:03滝見台9:15--9:55ピーク10:10--11:05飯豊山荘駐車場

門内小屋を5:50出発。写真をパチリパチリと撮りながら移動する。振り返ると赤い屋根の門内小屋が見え、視線を右へとまわしていくと、二王子岳が見える。稜線からの眺めは格別だ。

002p5300563 門内小屋

003p5300566 二王子岳

ほどなくして胎内山に着く。山頂には立派な石碑が建てられていた。この先の扇ノ地紙でアイゼンを着け、梶川尾根に入る。梶川尾根では雪が着いているところと、雪がまったくなく、草土がむき出しになっているところが交互に出てきて、アイゼンを着けるかはずすか、悩ましい選択を迫られることになる。

004p5300569 胎内山山頂の碑

夏山だと迷うことなのないような道も、冬場はふとしたことで、迷いを生む。赤テープが右手のだいぶ下の方に見えた。コースから外れるような気がしたものの、その赤テープのあるほうに下りてみた。やっぱり違う。地図を見ると、こんなに下るはずはない。やはり雪で赤テープの付いた樹木ごと押し流されたのだ。

005p5300571 石転び沢

梶川尾根からは昨日行くはずだった、石転び沢と梅花皮小屋が見えた。烏帽子と北股岳の間にポチッと細長いものが見えているが、それが梅花皮小屋だ。しかしホント門内小屋と建っている場所といい姿といいそっくりだ。

07p5300572 08p5300574

梶川尾根からの眺めを楽しみながら歩く。雪がまだらに残っているさまは、一幅の絵のようでもあり、見ていて飽きない。まさに自然が織り成したアートだ。

樹林帯に入れば、景色はなくなるが、雪深い急斜面をグリセードで気分よく下る楽しみがある。連続グリセードで気分は爽快だ。そのうち滝見場に着いた。木の間から滝が顔を覗かせていた。

006p5300575 滝見場からの眺め

9:55少し登り返したピークで、アイゼンをはずす。今日はアイゼンを着けたり、はずしたりで忙しかった。もうだいじょうぶだろうとはずすと、また雪が出てくるのだ。滑ると一直線で下山してしまいそうなすごい場所だから、また着けるわけだ。

11:05飯豊山荘の駐車場に着いた。グリセードしまくったおかげか、予定より早い下山だ。昨日バテまくったから慎重な計画にしたけど、こんなに早く着くのなら、北股岳に登っていてもよかったのかもしれない。あくまで結果論だけど。下界の気温は27℃もあった。雪がないから暑さも倍加する。

明日は天気が悪そうだし、疲れをいやしてゆっくりしたい。今宵は温泉宿に泊まることにし、国民宿舎飯豊梅花皮荘にチェックインした。平日だというのに大層なお客さんたちがいた。もちろん年配の方々ばかりだが。

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Part3(飯豊本山)へつづく

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