山のぼら~なら必ずやる失敗その1。それは道迷い。いかに読図能力にすぐれていても、作業道や獣道に迷い込んだり、歩かれなくなった道はヤブと化していくから、方角はOKのはずだが、何か違くねえ?となる。そのときどうするか、その人のキャラクターが如実に出るわけだが、だいたい以下2パターンに集約されるのではないだろうか。
①間違ったと思しき地点まで引き返して、正しい道を探す。
②地図を見て、目的地の方角へ向けて強引に登る。
私の場合は、山の神といっしょのときは、当然石橋をたたいて①を選ぶ。単独行の場合は、間違って進んでしまった距離、労力によって、①か②を選択する。下山時に失敗すると、登り返すのはつらいしねえ。つまり、ここで「安全」と「労力」を天秤にかけるわけだ。さあどっちを優先させるんだと。ここを突っ切ってこの方角へいけば、まず間違いなく本来の登山道に出るという確信があれば、ヤブこぎしたり、急登だったりしても、直進する。それが私の流儀か。
必ずやる失敗その2は、下山時刻が予想外に遅くなること。この失敗は主に計画書をつくっていない、つくってもきちんと計画どおり行動しないことによる。ひとは怠惰にできているから、放っておけば休憩は長めになるし、長めになると体が冷えて、歩き出しのペースが落ちる。あるいは睡眠不足や体調不良なんてこともある。そんなこんなで予定時間からかなり遅れているのに、後行程で、ランチタイムを短縮する、エスケープルートをとる等の策を講じない。その結果いつのまにこんな時間になったんだとなり、ヘタすればバスや電車の時間に間に合わない事態になる。
だいたいこの2つは誰でもがやっちまっているが、そのまま放置すると、大変なことになる(ブラックホスピタルみたいだな)。いずれは遭難するということだ。それなりの経験者が同行していれば、おおかた回避できるが、まず一人ひとりの自覚が必要だ。グループで行くと責任があいまいになって、皆がいるから安心となって、ずるずると失敗の深みにはまっていくこともある。なんにしても、お勉強が必要。誰もが行くようなメジャーな山なら道標も完備され、登山者も多いから比較的安心だが、それ以外の山では、常に不測の事態が起こる可能性が相対的に高いわけだ。それに備えるには、基礎知識として、登山にかかわる様々な情報を頭にいれておいたほうがいい。前置きが長かったが、『40歳からの山登り』はそうした情報がコンパクトにまとめられている。
上に挙げた、道迷いについては、「あわてない。小休止し、ゆっくり考える」「現在地を確認できるところまでもどる」等のアドバイスをしているし、「地図やガイドブックをまめにチェック」せよと書く。計画書については、「必ず計画書をつくる習慣をつけておく」「計画書は登山口のポストに投函か事前に提出」等の警鐘を鳴らす。
ほかにも山で使うギア類、登山の基本テクニック、基礎体力をつけるためのトレーニングやサプリも含めた栄養のとり方なども指南していて、これから登山をやってみようかという諸兄には、役立つ情報が満載だ。
でも山を始めるにあたって、いちばんいいのは山岳会に入ることだけどね。きちんと山岳保険にも入って、ベテランの指導、サポートも受けられるわけだから。『山と渓谷』によく会員募集の記事が出ているので、興味をお持ちの方は参照してみてください。
参考:東京都山岳連盟 http://www.togakuren.com/
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