39ギター

35年ぶりに弾き始めたクラシックギター
神経痛と戦いながら
どこまでバッハに迫れるか
蝶も花もアーチェリーもあるよ

辻井伸行のドキュメンタリ

2009-11-23 15:48:11 | 音楽

昨日の夜10時からNHK教育のETVと言う番組で辻井伸行のドキュメンタリをやっていた。

感動しました、彼のすばらしさは全盲だからといった同情の目で見てはいけません。

全盲の彼はわれわれが見ているよりも多くのものが見えている。

クライバーン国際ピアノコンクールでファイナルに残り、オーケストラとの共演でラフマニノフのピアノ協奏曲、終盤の盛り上がりでピアノソロの後オーケストラとピアノと同時にバァンと入るところで指揮者は自分のタクトが見えないノブに対してあれこれ提案をして自分にあわせようとしますが、なかなかしっくり出来ません、そのときノブが最後に言ったのが「私が指揮者の呼吸に合わせます」この言葉がすべてを物語っています。

じゃあやってみようということで、ノブのソロの後で指揮者は少し大げさに息をしたかもしれませんが、それにしてもぴたりの呼吸で一発オッケー。

ノブには目で見なくても、おそらく耳なんでしょうが、その場の状況が手に取るようにわかり、指揮者の息遣いがわかるんですね。

そのちょっと前にも、弦楽四重奏団とのリハーサルでコンサートマスターがノブが先に入る楽章はわれわれがスタンバイになったことを知らせるために「OK」と言うか、チューニングが終わったときとかタイミングを決めようとしますが、最終的にノブが「わたしにはわかります」と言って特に何かをするでもなく自然なコミュニケーションがそこで成立してしまいました。

ノブは目が見えないからと、目の見える人間が余計なことを心配して、音楽と一体になることを忘れている典型的な例でした。

われわれは、眼が見えていても見えているのは余計なものばかりで、楽曲と一体になりホールの音響に同化してしまっているノブにとっては関係の無いことなんですね。

ノブの様子を見ると常に首を動かし体を動かして落ち着きが無いようにも見えますが、あれは私は、そうすることによって耳によって周囲の状況をリアルタイムに察知しているのではないかと思います。

じっとしていて耳に入ってくる情報よりも少しずつ耳の位置や向きを変化させて微妙に違う音から周囲の状況を、耳で見ているのではないかと思います。

いやぁ、感動ものでした。再放送があったら録画してDVDに焼いておきたいと思います。


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