アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

20190617 ここ数年間の小松基地動向

2019年06月17日 | 小松基地(総合)
 20190615 ここ数年間の小松基地動向

 2008年に第5次訴訟、2009年に第6次訴訟が提訴されてから、10年以上が過ぎ、そして、今日(16日)結審を迎える。2016年6月に『小松の空から朝鮮侵略の戦闘機を飛ばすな―大軍都小松から防空要塞へ―』を発行してから、3年が過ぎた。その後の3年間で、小松基地に関する軍事情勢の変化について略述しておく。

(1)アグレッサー部隊
 2016年以降3年間の小松基地強化策として、最も重視しなければならないことは、アグレッサー部隊の小松基地移駐である。F15戦闘機が10機(20%)増強され、小松基地はF15戦闘機50機体制となった。朝鮮半島への攻撃体制が飛躍的に強化されたのである。
 またF15戦闘機が20%増えて、訓練回数(機数)が増加し、当然騒音も増加している。アグレッサー部隊配備前後の<自衛隊機+軍用機(米軍機)>の管制回数を比較する。
 2012年7月から2016年6月まで(4年間)の総管制回数は67577回、1年当たり16894回であり、2016年7月から2018年6月まで(2年間)の総管制回数は37257回、1年当たり18629回になった。比較すると、アグレッサー部隊配備後には、年間管制回数が10.3%増加したことになる。

(2)第2滑走路構想
 小松基地は2006年に大型輸送機や戦略爆撃機の離着陸を可能とする滑走路のかさ上げをおこなった。かさ上げ工事の期間限定で使われていた仮滑走路は、工事完了後も解体されず、そのままの状態で保持されてきた。
 2018年2月にはふたたび第2滑走路案が浮上し、2019年3月には小松市議会で滑走路2本化の意見書が採択された。常時2本の滑走路を使用することを可能にして、小松基地の攻撃能力と抗堪性を強化しようとしている。

(3)緊急着陸と部品落下事故
 2016年6月以降の3年間で、小松基地への緊急着陸は6件(2016.7、2017.4、7、10、11、2019.3)に上り、戦闘機の部品落下事故も6件であった。小松基地周辺住民は恒常的な騒音に悩まされ、かつ突然空から危険が降り注ぐ恐怖にさらされている。

(4)武装行軍
 2007年以降10年間で、陸自金沢駐屯地の武装行軍は2007年9月(60人)、9月(100人)、11月(60人)、2013年2月(85人)、2014年(パレード)と合計5回おこなわれたが、2016年以降も2016年9月(300人)、2019年4月(260人)と規模を拡大して、引き続きおこなわれている。

(5)小松市人口動態(2004年→2015年)
 2016年版パンフでは、1970年から1993年の23年間の世帯数と人口を、騒音地域(A)、非騒音地域(B)、山間部(C)に分けて比較した。
 小松市全体(D)の世帯は30%増加したが、騒音地域(A)では4%増に止まり、全人口(D)は12%強増加したが、騒音地域(A)では12%強減少した。世帯数、人口は騒音の影響をもろに受けていた。
 そこで2004年から2015年にかけての世帯数と人口の増減を調べてみた。
 小松市全域(D)では、世帯数は17%強増加し、人口は1.3%減少した。他方、非騒音地域(A)の世帯数は非騒音地域(B)とほぼ同数の17.8%増加したが、人口は3.2%減少した。
 騒音地域(A)は市中心部と重なり合い、居住条件は良好であるにもかかわらず、騒音地域(A)の人口は相変わらず減少しつづけている。



(6)10・4協定を守っているか
 今年(2019年)3月6、7日の高校入試当日に、小松基地は飛行訓練をおこなった。10・4協定には、「高校入試、お旅まつりその他市の主催行事で、市が要請する場合は出来る限り飛行を制限し、または中止する」と計画に規定されている。10・4協定を形骸化している。

(7)出征兵士を戦場に送る会か
 今年の報道で、非常に気になったことがある。2月15日は小松市(小松商工会議所)で、19日は穴水町(役場)と能登町(役場)で、22日は金沢市(市内ホテル)で自衛隊入隊者への激励会がおこなわれた。
 切り抜き帳のバックナンバーを調べたが、入隊激励会(2月)の記事は見あたらなかった。いよいよ、自衛隊員を戦地に送る歓送会が始まったのか。

(8)日本海(東海)大和堆での北朝鮮漁船強制排除
 2017年春ごろから、日本海(東海)大和堆漁場で、海上保安庁の巡視船が出動し、放水などによって、北朝鮮漁船を排除してきた。日本政府は「排他的経済水域」を領海のように言いなして(領海ではない)、海上自衛艦まで出動させ、北朝鮮漁船と救援に駆けつけてきた韓国艦船を強制排除している。
 小松基地の自衛隊機の訓練空域=G空域は大和堆と重なっており、操業中の北朝鮮漁船を仮想敵艦船と見なして、攻撃訓練をしているのではないか。
 イカ漁不振の根本的原因は、「2018年度 第1回 日本海スルメイカ長期漁況予報」によれば、幼生の分布密度は平均を下回っており、大和堆は好漁場ではないと報告している。日本海(東海)のイカ資源そのものが減少していることにある。しかも、日本の大型漁船は大出力の投光器でイカをかき集めて、その全部を独占しようと、海保や自衛隊に北朝鮮漁船の排除を訴えているのである。




2016年版『小松の空から朝鮮侵略の戦闘機を飛ばすな』目次
(1)21世紀の小松基地/[1]滑走路かさ上げ、 [2]質量とも増える日米共同訓練、 [3]繰り返される大事故、[4]緊急着陸、 [5]「10・4協定」の解体、 [6]小松基地からの海外派兵
(2)「25大綱」下の小松基地/[1]防空要塞化、[2]G空域での訓練激化、[3]アグレッサー部隊、[4]「斬首作戦」演習と連携
(3)小松基地の地政学的位置/[1]航続距離、[2]たった16分、[3]日本海G空域
(4)小松基地の戦力(2016年)/[1]飛行隊、[2]アグレッサー部隊、[3]救難隊、[4]移動警戒隊、[5]防空隊、[6]管制隊
(5)スクランブル発進/[1]スクランブルの増加、[2]小松基地のスクランブル
(6)多発する事故と緊急着陸/[1]緊急着陸報告書、[2]重大事故、[3]米軍A-10緊急着陸
(7)小松基地広報紙『はくさん』について(極右田母神の影響)
(8)小松基地による生活環境への影響/[1]騒音被害(爆音訴訟の歴史、健康被害、昼休み時間、夜間訓練、「10・4協定」)、[2]人口の停滞、[3]地価の変動
(9)宣撫工作(航空祭、軍事パレードなど)/[1]小松基地航空祭、[2]軍事パレード、[3]基地公開、[4]艦艇公開
(10)輪島レーダー基地/[1]輪島基地の性格、[2]輪島基地の成り立ち
(11)金沢港、七尾港について
(12)金沢駐屯地について/[1]朝鮮半島を対象化、[2]原発警備、[3]海外派兵
(13)能登空港問題/[1]空自基地建設構想、[2]海保基地構想、[3]作戦計画5027

【注文→郵便振替口座番号:00710-3-84795 口座名:アジアと小松 送料共480円】
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