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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

デクスター・ゴードンの威風堂々

2011-04-08 12:56:46 | Jazz

Blues Walk! / Dexter Gordon The Montmartre Collection Vol.2 (Black Lion)

昨日は仕事でマジギレするという醜態を曝したサイケおやじは、シミジミと反省を重ねる夜となったわけですが、どう考えても相手に非があるという結論に変わりは無くとも、後味の悪さはどうしよもありません。

やはり、耐えて忍んで、平身低頭こそが、仕事をやっていく中でのひとつの男の姿なんでしょうねぇ……。

ただし、それは自分に相当の自信がなければ出来ない事であって、そんな気分の中で思わず取り出したのが本日ご紹介の1枚です。

ご存じ、デクスター・ゴードンが復活渡欧期に残したライプ音源で、往年のジャズ喫茶では人気盤だった「モンマルトル・コレクション」の続篇として、その内容は勝るとも劣らない正統派モダンジャズが存分に楽しめるわけですが、例えどんな状況にあろうとも、そこに決して揺るぎない信念に満ちた男の姿をも感じてしまうのは、サイケおやじだけでしょうか。

録音は1967年7月20日、コペンハーゲンのジャズの名所「モンマルトル」でのライプセッションで、メンバーはデクスター・ゴードン(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(ds) という、今では伝説のカルテットなんですが、既に述べたように当時の彼等は地元俊英のニールス・ペデルセンは別にしても、本場アメリカにおける王道モダンジャズにとっては厳しい状況から欧州に活路を求めたという、ある意味では都落ちの身だったと思います。

しかし、そういう現実の中にも、自らのジャズ魂は絶対に普遍という素晴らしい演奏は、何も構えて聴かなくとも、ファンを喜ばせて当然でしょう。

A-1 Like Someone In Love
 最初は映画音楽として書かれたという歌物曲なんですが、今となってはジャズの世界の定番として数多い名演バージョンが残されている有名なメロディ♪♪~♪ それを最初っから実に大らかに吹奏してくれるデクスター・ゴードンの自然体には、思わずニンマリさせられてしまいます。
 しかもここではアップテンポの4ビートに料理されるという、如何にもハードバップな展開が躍動的なリズム隊の好演もあって、なかなか最高ですよ♪♪~♪
 当然ながらデクスター・ゴードンのテナーサックスはここでも強靭な「鳴り」が心地良く、例によってギスギスした中にも親しみ易い味なフレーズを連続放出していますし、飛び跳ねては流れていくケニー・ドリューのピアノ、さらには新進気鋭のベースワークも眩しいニールス・ペデルセンに対し、幾分ドタバタしたドラミングで呼応するアルバート・ヒースという絶妙のコントラストが、既にしてこのカルテットの真髄を堪能させてくれるはずです。
 あぁ、どうしてこんなに貫き通す演奏が出来るんでしょうか!?
 正直に言えば、これはジャズ史的には時代遅れのスタイルなんですが、それでも伝統芸能になっていないリアルタイムの感性が随所から迸る熱気の凄さは、永遠に不滅だと思い知らされるばかり! 

A-2 Body And Soul
 これまたお馴染みの人気スタンダードということで、今度はじっくり構えたスローな吹奏で自らの心情吐露を歌いあげるデクスター・ゴードンの王道が見事だと思います。
 それは後に出演する映画「ラウンド・ミッドナイト」の中の名セリフとなった「歌詞を忘れたから吹けない」という、歌物曲の解釈を既に証明するものでしょう。
 う~ん、この泰然自若な男の姿!
 こういう人に、私ははなりたいっ!

B-1 Threr Will Never Be Another You
 これまたノッケからグイノリで演奏されるスタンダード曲ではありますが、わかっちゃいるけど、やめられない♪♪~♪ そうしたハードバップの快楽性を思いっきり演じてくれるデクスター・ゴードンは本当に偉い人ですよねぇ~♪
 そのあたりを不器用とか、居直りとか評価するのは簡単だと思いますが、安易なスケール練習的なフレーズも多用せず、ひたすらに歌心優先主義を押し通し、アグレッシヴなビバップのエキセントリックな感度も高いアドリブは、決して余人に真似出来る境地ではないと断じます。
 それはリズム隊にも共通の意識として、何時もながらに楽しく躍動するケニー・ドリューは言わずもがな、本場の名手を相手に4ビートの奥義を極めんと奮闘するニールス・ペデルセン、それを大きな気持で受止めるアルバート・ヒースの心意気が実に良いですねぇ~~~♪
 そう思えば手数の多いニールス・ペデルセンのペースワーク&アドリブソロが、不思議と浮きあがったようなイヤミになっていないのも納得されるでしょう。
 そしてデクスター・ゴードンのテナーサックスが再び終盤で野太く咆哮すれば、これぞっ! ハードバップ天国への王道が開けるというわけです。

B-2 Blues Walk
 こうして迎える大団円が、これまたハードバップのブルース大会ですから、荒っぽさの中にもバンド全員の意思の統一が限りない熱気を呼び起こすという名演が堪能出来ますよ♪♪~♪
 そして、これをマンネリとか、事無かれ主義と決めつけてはいけないでしょうねぇ。
 というよりも、こういう全てわかっている楽しみこそが、やっている側にとっては自らの信念を一番表現し易く、しかも難しいんじゃないでしょうか?
 それがあればこそ、ファンやリスナーは常に嬉しい気分にさせられるわけですし、ジャズという本質的に楽しいものを素直に感じる事が出来る幸せは大切にしなければならないと思います。

ということで、貫き通すためには揺るぎない自信も必要!

そんな思いを強くしているサイケおやじですが、もちろん自分にそれがあるはずも無く……。

そこで平身低頭、誠心誠意を第一にしつつも、結局は何時も成り行きまかせでここまでやってきたツケが今になって回って来たのかもしれませんねぇ。

しかし今更、それを翻す潔さも根性も当然無くて、最後にはツラのカワを厚くするのがやっと……。そんなテイタラクを貫くのも、サイケおやじらしい生き様と自嘲しておりますが、それゆえにデクスター・ゴードンのレコードは必需品なのでした。

コメント
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