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サイケおやじの生活と音楽

百合子とゆり子は万華鏡

2011-04-23 16:38:45 | Movie

万華鏡の女 / ひし美ゆり子&樋口尚文・著 (筑摩書房)

昭和42(1967)年10月1日、忽然とサイケおやじの前に登場したのが、菱見百合子という女優さんです。

それは言うまでもなく、テレビ特撮の最高峰「ウルトラセブン(TBS)」における友里アンヌ隊員としての菱見百合子であって、そのキュートで女の部分が強く出た演技と佇まいは、それまでの所謂特撮ヒロインのイメージを全く新たにする印象でした。

ちなみに当時の彼女は東宝専属で、その先輩にはやはり特撮SF作品では決定的な存在感を示していた水野久美という美人女優がいたわけですが、その水野久美が同ジャンルでは女王とするならば、菱見百合子は女神ということになりましょうか。

実際、件の「ウルトラセブン」では異星人と禁断の恋に落ちるという、当時としてはある種のタブーを演じたことにより、それは神格化の域にまで達したほど現在進行形でファンをシビれさせたのですが……。

それによって以降、菱見百合子=アンヌという図式は両刃の剣だったのかもしれません。

ご存じのとおり、東宝時代はアンヌ役以上のヒットは無く、契約が切れて以降はひし美ゆり子として成人作品や実録やくざ映画にも登場する事により、全く新しい魅力を開花させたわけですが、それでも今もって、ひし美ゆり子=アンヌという図式が消えないというのは、どうなんでしょうか……。

もちろん個人的には友里アンヌが大好きですし、リアルタイムで最初にテレビで接した瞬間の「こんな可愛いひとが、いるのかなぁ~~♪」という、トキメキの気分は現在でも鮮烈な記憶になっています。

しかし同時に、ひし美ゆり子としての演技や存在感も決して忘れることが出来ません。

というよりも、そこには当然ながら、「あの、アンヌ隊員が!?」という気持が無いと言えば嘘になる衝撃度があったのですから、これは男ならば誰しも一緒じゃないでしょうか。

なにしろ彼女には美貌と素晴らしい肉体があり、それゆえに常にセクシー演技を求められるという側面があったにしろ、それを活かさないのはバチアタリとしか言えません。

ですから、今となっては出し惜しみしなかった彼女に対し、感謝の気持でいっぱいではありますが、ひし美ゆり子という女優さんは、一番評価が高かった時期に自らの意思でフェードアウト……。

そこにはファンが絶対に口出しを許されないものがありますし、後には数冊の自著やプログで様々な経緯も明らかにされているとおり、中には相当にショッキングな現実も含まれておりました。

さて、ということで、本日のご紹介は久々の「ひし美本」として本年5月に発売予定の「万華鏡の女」です。

もちろんサイケおやじは現在まで全く読んでおりませんが、一方の著者である樋口尚文は気鋭の映画評論家ですから、サイケおやじを含む盲信的なファンが書くような内容であろうはずがなく、また共著者としてひし美ゆり子本人が加わっている以上、相対的に掘り下げた女優論と確信しております。

平たく言えば、菱見百合子=ひし美ゆり子の欠点さえも曝け出されているんじゃないでしょうか。

その意味で、発売に合わせたトークイベントが催されるのは朗報だと思います。

 日時:5月27日(金)20時スタート、開場19時半~
 場所:銀座シネパトス
 演目-1 ひし美ゆり子出演超レア作品「ぼくはSLをみた」上映(劇場初公開)
 演目-2 樋口尚文×ひし美ゆり子トークイベント
 演目-3 著者サイン会
 
 ※4月29日(金)より前売券発売開始!
  シネパトス前売料金4000円(書籍代2310円税込みを含む)
  ぴあシネマリザーブシート4400円(書籍代含む)

ということで、久々に血が騒ぐというか、ワクワクドキドキの朗報です。

ちなみにひし美ゆり子と言えば「忘八武士道」「好色元禄(秘)物語」「鏡の中の野心」、あるいはテレビ作品「手紙」等々、とにかくセクシーな部分ばかりが目立ちますが、しかし特筆すべきは、そういう役を演じる女優さんには当然というある種の陰湿さが、彼女には無いということです。

それは既にアンヌを演じていた頃からの菱見百合子にも当然あって、あれほど女の部分が目立つ役柄でありながら、生臭みを感じさせないのは驚異的だと思いますねぇ~。

そして誰よりも色っぽく、ナチュラルなフェロモンを滲ませてしまうのですからっ!

もう、このあたりは奇蹟といって過言ではありませんが、おそらくは近日発売される新刊「万華鏡の女」では、そうした秘密の一端も解き明かされるんじゃないかと楽しみにしているのでした(敬称略)。

コメント (5)
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