■Paranoid / Black Sabbath (Philips)
我国じゃ全然ウケないですが、ブラック・サバスの人気は欧米では高く、しかもアメリカではボーカリストのオジー・オズボーンなんて、アイドル並みの扱いなんですからねぇ~~~。
これほど日本人の感性に合わないバンドも珍しいと思いますが、それというのもブラック・サバスはデビュー当時から、おそらくはキリスト教に基づく悪魔信仰や黒魔術云々をウリにしていたオカルト(?)バンドであって、そうしたオドロの雰囲気を演出するためにハードなロックをやっていたとさえ思える部分が確かにあります。
しかもデビューしたのが1970年2月13日の金曜日というのも、実に念の入った仕掛でした。
当時のメンバーはオジー・オズボーン(vo)、トニー・アイオミ(g)、ギーザー・パトラー(b)、ビル・ワード(ds) という4人組で、虚心坦懐に聴けば最初から4枚目あたりまでのアルバムは良く練り上げられたサウンド作りが楽しめると思います。
尤もそれはハードロック中毒者優先でしょうし、歌詞の中身を知ってみると、思わず笑わないではいられない!?!? そんな自意識過剰な演出が当時のライプステージでは多分にあったんじゃないでしょうか……?
それをマジになって聴ける欧米のファンは本当に幸せなのかもしれませんねぇ。
ただし後年、オジー・オズボーンが素行不良(?)でバンドを馘首され、ソロに転じてからは、ある意味でのお笑いキャラとして受け取られる人気が爆発したわけですから、ロックの世界では誰も真剣にやっていなかったホラー趣味を演じた狙いも、流石というところかもしれません。
さらに正直に告白すれば、初期の歌と演奏には基本的なカッコ良さが確かにあって、例えば本日ご紹介のシングル曲は1971年に発売されたものですが、今もってブラック・サバスの代名詞でしょう。
そのシンプルなリフとハードなノリが、若き日のサイケおやじをグッと惹きつけたというわけです。
今となってはキワモノ扱いも吝かではないブラック・サバスではありますが、リアルタイムではギタリストのトニー・アイオミが、スーパーギタリストのひとりとして評価されていたんですよっ!?
現在でもブラック・サバスは数え切れないほどのメンバーチェンジや再結成を繰り返しつつ、立派に存続しているそうですから、多角的な意味での怖いも見たさというか、一度ぐらいはライプに入ってみたいなぁ~んて、思う日々です。