勤務地の雪国へ戻ってみれば、家は真っ白な雪に埋もれていました。
昨夜は物凄い暴風雪で車も視界が無く、ほとんど走れなかったそうですね。事故も多発したらしい……。
ということで、さっきまで除雪していましたです。やっぱり雪国は大変だぁ。そこで一息ついて、熱いコーヒー飲みながら、痛快に楽しいアルバムを――
■Where Do We Go From Here ? / Don Randi Trio (Verve)
ジャズ喫茶の人気盤から一躍、ピアノトリオの名盤へと昇格したアルバムです。そのきっかけは、主役であるドン・ランディが“ブルーアイドソウルのピアニスト”としてガイド本に紹介された事らしいのですが、なるほど上手いことを言うもんです。
確かにドン・ランディは白人ならが、なかなか黒いフィーリングでピアノを鳴らしますからねぇ~♪ 一度虜になると、抜け出せない味わいがあります。
しかし最初、私の前に登場したドン・ランディは、西海岸のスタジオセッションプレイヤーのひとりでした。例えばニール・ヤングやスティーヴン・スティルスがやっていたバンドのバッファロー・スプリングフィールドの名盤アルバム「アゲイン」で聞かれるウイントン・ケリーっぽいピアノとか、いったい誰が弾いてるのか?
という疑問の中から浮かびあがってきたのが、ドン・ランディでした。
尤も最初はクラシックを勉強していたらしいのですが、ある日ジャズに転向し、しかし1960年代中頃からは現実の厳しさ、つまりロックの台頭とジャズの衰退によってスタジオの世界へと転身したようです。
そしてこのアルバムは、その前に残された素晴らしくも楽しい1枚♪ 録音は1962年1月31日~2月1日、メンバーはドン・ランディ(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、メル・ルイス(ds) という充実のトリオです――
A-1 T.J.'s Blues
A-2 Waltzing Matilda
A-3 I Love Paris
A-4 That's All
B-1 Take Six
B-2 Interlude
B-3 Autumn Leaves
B-4 Gypsy In My Soul
――まずは冒頭「T.J.'s Blues」の大ハードバップブルースにKOされるでしょう。ガンガンゴンゴン突き進むドン・ランディのゴスペルビアノというか、ファンキーでありながら、けっこうロック色も強かったりするのがミソかもしれません。山場ではボビー・ティモンズ+ジュニア・マンスというブロックコードの乱れ打ちが痛快です!
またラテンビートで突っ走る「I Love Paris」とか4/6拍子のジャズロックが楽しい「Take Six」では、アドリブが限りなく正統派4ビートの味わいに拘っていたりして、ニンマリさせられます。もちろん歯切れが良くて黒っぽいスタイルが存分に楽しめるんですねぇ~♪
それとリラックスした歌心、美メロのアドリブ&テーマ変奏が胸キュンの「Waltzing Matilda」や「That's All」の素直なノリの良さ♪
そして夥しいジャズバージョンが存在する「Autumn Leaves」は、中でもウルトラ級の隠れ名演じゃないでしょうか。全くこちらが思っているとおりに演奏してくれるというか、元ネタはウイントン・ケリーなのがミエミエなんですが、憎めません♪ その前に置かれた「Interlude」との前後関係も秀逸だと思います。
さらにオーラス「Gypsy In My Soul」での爽快感! ツボを外さない共演者のサポートも素晴らしく、アップテンポでブッ飛ばすトリオの一体感も見事です。
ということで、ファンキーで歌心も満点♪ しかも痛快至極な傑作ピアノトリオ盤なんですが、一部からはドン・ランディがハードバップの様式美を演じているだけという悪口も聞かれます。
でもそれは、あまりにも出来すぎという事ゆえだと、私は思います。だって、聞いていて楽しければ良いじゃないですかぁ~~。それが否定されたら音楽全てから「楽」という文字を取り去らないといけませんぜっ。
ちなみにジャズ喫茶では「枯葉」ゆえにB面が定番かもしれませんが、私はA面派です。ド頭からの2連発が最高なんですよっ♪ 左にドラムス、真ん中にピアノ、右にベースという潔いステレオミックスも実に良いと感じているのでした。
未聴の皆様には、ぜひっ!
長野市も雪が降っています。冷え込んでもいて、寒いのでビールをがんがん飲んでいるところです。
このアルバムはピアノ・トリオの中でも面白いもので、よく聴きました。はじめは「Autumn Leaves」目当てでしたが。記されているように推薦できる作品だと思います。
長野も寒いでしょうねぇ。
そして寒中に冷えたビールというのも、イケますね♪
ドン・ランディは他にもリーダー盤ありますが、やっぱりこれが最高かと思います。