とにかく今日は、癒しが欲しくて取り出したこれを――
■Good Pickin's / Howard Roberts (Verve)
美女ジャケットとしては、あまりにも有名な1枚♪ それゆえに状態の良いオリジナルは、かなりの入手困難というブツなので、昭和50年代中頃に我国で復刻された時には迷わずにゲットしています。
そして癒し系のジャケットからは想像もつかないストレートアヘッドな内容の良さにも、感動するのです。
録音は1957年、メンバーはハワード・ロバーツ(g)、ピート・ジョリー(p)、レッド・ミッチェル(b)、スタン・リーヴィ(ds)、ビル・ホールマン(ts,arr) という西海岸バリバリの連中で、スマートなアレンジとガッツ溢れるジャズ魂が最高に楽しめます――
A-1 Will You Still Be Mine
A-2 When The Sun Comes Out
A-3 All The Things You Are
A-4 Lover Man
A-5 Rekaxin' At Camarillo
B-1 Godchild
B-2 Easy Living
B-3 Between The Devil And The Deep Blue Sea / 絶体絶命
B-4 The More I See You
B-5 Terpsichore
――まずは冒頭「Will You Still Be Mine」の快適なスイング感と強烈なグルーヴにウキウキさせられます。ハードボイルドなイントロのアレンジ、そしてスマートなテーマメロディのアンサンブルも素晴らしく、もちろんアドリブパートではハワード・ロバーツの流麗なフレーズとピッキングの妙技が存分に楽しめるんですねぇ♪ 続くビル・ホールマンも柔らかな歌心と硬派なジャズ魂を聞かせてくれます。
ちなみにハワード・ロバーツはスタジオセッション主体の仕事をやっているので、あまりジャズメンとは認識されないところもありますが、しかしそのジャズ心は本物だと思います。
それはこのアルバムを聴けば納得出来るはずで、スタンダード曲中心の演奏ながら、けっして甘さに流れることがありません。
繊細な表現力が冴える「When The Sun Comes Out」や「Lover Man」では、同時にかなりしぶとい黒っぽさがあったりします。
またリラックスした「Easy Living」での雰囲気の良さ♪ 有名スタンダードの「絶体絶命」や「The More I See You」での歌心優先モード♪ そして「Rekaxin' At Camarillo」や「Godchild」というビバップど真ん中の曲でさえ、間然することの無いアンサンブルとモダンジャズのカッコ良さを満喫させる演奏に仕立てあげられています。
ハワード・ロバーツのギタースタイルは、はっきり言えばバーニー・ケッセルの亜流かもしれませんが、独自のフレーズ展開をきちんと持った名手であり、意外なほどにファンキーな感覚もありますから、侮れません。
共演のリズム隊は言わずもがなの堅実さですし、ビル・ホールマンが予想外の力演で、ちょっと吃驚です。
さらにオーラスの「Terpsichore」はハワード・ロバーツが書いたオリジナルのブルースなんですが、重厚で粘っこい雰囲気が横溢し、とても西海岸派の演奏とは思えないほどです。う~ん、これは当たり前すぎる「All The Things You Are」の白人っぽさと比べて、とても同じバンドとは思えないほどですよっ!
ということで、ジャケット良し、中身良しという必殺盤だと思います。これも未聴の皆様には、ぜひっ♪