■エピローグ / 宮本典子 (Trio)
掲載したのは宮本典子が昭和54(1979)年に出したシングル盤で、おそらくは彼女が残したレコードの中の歌謡曲~ニューミュージックのジャンルでは最も知られた人気曲「エピローグ」をA面に収録した、局地的にはコレクターズアイテム化しているブツでしょうか。
と書いたのも、作詞が呉田軽穂、つまりはユーミンの別名義作品ですから、ユーミンのコレクターにとっては必須の1枚と云われているらしいですよ。
しかし、サイケおやじは、あくまでも宮本典子を聴きたくて、このレコードをゲットしたという、日頃天邪鬼な自分には似合わない行動も、今となっては若き日の残滓……。
それでも本日、久々に針を落としてみれば、宮本典子のストレートなソウル歌謡魂(?)全開の歌いっぷりは素晴らしく、梅垣達志が作編曲を担当したサウンドプロダクトを置き去りにした様な勢いは、逆に言えば演奏パートとボーカルが遊離してしまった雰囲気さえ感じられるほど!?
ですから、歌謡曲には欠かせない下世話さが足りず、それでは大衆的なカッコの良さにしても、聊か中途半端だったからでしょう、結果的に大ヒットしたとは言い難いのが本当のところと思います。
それでも当時は、ニューミュージックという分野の勢力拡大によって、宮本典子も堂々とテレビの歌番組に出演していましたし、シングル盤よりはLPが売れていたと思っていたんですが、現在ではそれも中古市場で見かける事が少なくなりましたですねぇ……。
ということで、今となっては渡米して後の活躍が強い印象を残している宮本典子ではありますが、日本の芸能界でジャズ~フュージョン、そして歌謡曲を聴かせてくれていた頃の音源は絶対に再評価が望まれるところです。
もちろん、残されているはずの映像も含めて、彼女もアンソロジー企画が待ち望まれると思うばかりです。