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サイケおやじの生活と音楽

悲しき願いは日本のロック

2010-03-08 14:24:32 | 日本のロック

悲しき願い'60s to '90s / 尾藤イサオ (東芝 = CD)

日本のロックで一番売れたのは、尾藤イサオの「悲しき願い」じゃないか!?

サイケおやじは、本気でそう思うことがあります。

皆様がご存じのとおり、原題は「Don't Let Me Be Misunderstood」として、歌そのもののオリジネイターは黒人女性歌手のニーナ・シモンらしいのですが、世界的にはアニマルズを代表するヒット曲のひとつとはいえ、やっぱり極みつきは尾藤イサオの日本語バージョン!

 だぁ~れのせいでも、ありゃしないぃぃぃ~♪
 みんなっ、おいらがっ、わるいのかぁぁ~♪

リアルタイムでのヒットは知らなくとも、このキメの節回しは、誰もが一度は耳にしたと思います。

それを熱唱した尾藤イサオは今でこそ個性派俳優として確固たる存在感を示していますが、幼少の頃から曲芸師の修行を積み、現代ではジャグラーと呼ばれる芸を身につけたそうです。しかし米軍キャンプ回り等をやっているうちに本場のR&Rやロカビリーに興味を抱き、ついに歌の世界へ転身したのですが、それを契機にきっぱりと曲芸を封印したのは、そういう世界の掟とはいえ、流石のスジの通し方だと思います。

尾藤イサオの歌を聴いていると、私はいつも強い意志とかソウルを感じるのは、そんな経緯があってのことなんでしょうねぇ。

そして紆余曲折の末にブルーコメッツの専属歌手となり、エルビス・プレスリーやリトル・リチャード等々のヒット曲カパーを歌っていたそうですが、そこで本人の希望によって吹き込んだ「悲しき願い」の日本語バージョンが昭和40(1965)年にウルトラメガの大ヒット!

当時のテレビ歌番組にも連日ように出演し、歌いまくっていましたですねぇ~。

もちろんサイケおやじも瞬時にシビレさせられ、レコードを買う前から、意味も分からず歌詞とメロディを覚えていたほどですし、実際、子供達も何かあって叱られた時なんかには、「みんなっ、おいらがっ、わるいのかぁぁ~」と歌うのが流行しました。

ですから、ビートルズの来日公演の前座に出演した尾藤イサオは、大ハッスルで「悲しき願い」を熱唱する快挙を達成するのですが、なんとビートルズによって我国では本格的なGSブームが到来し、ブルーコメッツ本隊が大ブレイクしたことから、ソロ歌手の尾藤イサオは苦しい立場に……。

それゆえに映画演劇の世界へと活動の場を広げたのはご存じのとおりなんですが、決して歌手としての本分も忘れたわけではなく、人気アニメ「あしたのジョー」の主題歌もまた、永遠の名唱だと思いますし、昭和53(1978)年には「悲しき願い」の再録バージョンを出してくれたのは嬉しいプレゼントでした。

さて、そこで本日ご紹介のCDは、その「悲しき願い」が1997年に三度目のリメイクとなった時に発売されたミニアルバムで、以前のふたつのバージョンも同時収録された感涙作♪♪~♪

 01 悲しき願い '97 (ニューバージョン)
 02 悲しき願い '97 (リミックスバージョン)
 03 悲しき願い '78 (尾藤イサオ&ドーンバージョン)
 04 悲しき願い '65 (オリジナルバージョン)
 05 悲しき願い '97 (カラオケバージョン)

まず1997年の新バージョンは、ふたつとも完全なる今風の音作りです。しかし、そのデジタル系のサウンドをバックにしても、尾藤イサオのエネルギッシュで哀切が熱血へと昇華する歌いっぷりは不滅!

トラック「01」は強いタテノリのビートにスパニッシュ調の味付けが微妙に素敵ですし、ハーモニカのような音も入った哀愁強化路線も憎めません。そして何よりも尾藤イサオの節さ回しが脂っこくて、失礼ながら年齢を感じさせないのは立派の一言!

それは尚更にスパニッシュ調が強調されたトラック「02」でも変わらず、まあ、リミックスなんで当然とはいえ、個人的にはこっちが気に入っています。

ちなみにバックのコーラスは愛娘の尾藤桃子、そして渚ようこがやっているのも良い感じ♪♪~♪ スパニッシュディスコ万歳♪♪~♪

もちろんこれは、1977年に欧州のプロジェクトバンドだったサンタ・エスメラルダのカパーヒットを強く意識しているのは否定出来ません。とにかく当時のディスコではバカウケしたのも懐かしい思い出ですが、それに刺激されて出したと思われるのが、トラック「03」の再録バージョンでしょう。

しかし流石というか、これまた当時の流行だったラテンビートにブラス&ストリングスを豪勢に使ったサウンド作りは、今となっては中途半端に古めかしいかもしれませんが、尾藤イサオならではの節回しは健在!

ただし残念ながら、この時はそれほどヒットしていなくて、私にしてもシングル盤は持っていなかったので、この復刻は実に嬉しかったですよ。

そしてやっぱり真打となるのがトラック「04」のオリジナルバージョン!

パックの演奏はブルーコメッツだと思われますが、如何にも昭和40(1965)年という、プレGS期ならではのチープなオルガンやエレキギターの響き、大きく前面へ出たボーカルのミックスがたまりません。しかもアレンジが素晴らしく練り込まれていて、スパニッシュのスパイスが聴いたエレキギターの伴奏フレーズやカッコ良すぎるドラムス、ジャズロックなサックス等々が、見事に尾藤イサオを盛り上げています。

ということで、オーラスのトラック「05」はカラオケですから、それでは皆様、ご一緒に歌いましょう~~♪

いゃ~~、日本のロックって、本当に良いですねぇ~~♪

これもまた、おやじバンドでやってやる覚悟を決めたというわけです。

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6 コメント

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野良猫ロック・セックスハンターの中で流れていた曲を探しております。 (warabimochi)
2010-03-09 11:30:21
はじめまして。warabimochiと申します。

「野良猫ロック セックスハンター」内で流れていた曲を探しております。こちらへは検索中に辿り着きました。

早速で恐縮ですが、「ママ・ブルース」のシーンでかかっていた、女性ボーカルの曲のタイトルをご存知でしょうか?

気だるい感じのジャズかブルースのような雰囲気の曲です。「ママ・ブルースの」シーンのBGMとして使われたり、「イーグルス」によってめちゃめちゃにされた「ママ・ブルース」の店内を片付けをする際、客の一人がかけるレコードも、この女性ボーカルの曲です。

(サントラ盤が出ておりますが、曲名が無いのと、どうやらフルコーラス入っていないようなのです。)

唐突かつ不躾なコメントで大変申し訳ございませんが、もしご存知でしたらお教え頂ければと
存じます。
返信する
私も探索中 (サイケおやじ)
2010-03-09 18:04:03
☆warabimochi様
はじめまして、ようこそいらっしゃいませ。
コメント、ありがとうございます。

お探しの歌と曲は、私も以前からずぅ~~っと気になっています。最高ですよねぇ♪
しかし最近出た音源CDに入っていないところからして、何か版権の問題があるんじゃないでしょうか。
音楽は鏑木創になっていますが、それは別なのかもしれません。
引き続き、探索していく所存です。

またよろしければ、拙ブログ&サイトもよろしくお願い致します。
返信する
おおっ! (warabimochi)
2010-03-10 08:06:29
早速のご返信、ありがとうございます!

そうですか、サイケおやじさんでも
不明な曲でしたか~。

でも、サイケおやじさんもずぅ~っと
気になっていらっしゃったとのこと、
なんだかウレシイです。

誰に聞いても判らず、あんなイイ曲なのに、
誰も気に留めてくれていないのかと
カナシク思ってましたから・・・。

私もがんばって探索を続けます!
何か判りましたらまたコメント投稿
致します!!

これからもちょくちょく覗かせて頂きます!
楽しみにしてま~す!

追伸:「サイケおやじの館」は
読み応えタップリですね!中でも
偏愛キネマ館、カナリ好きです♪
返信する
こんにちは (bob)
2010-03-11 15:06:16
この人のイメージはやはりこの「悲しき願い」が強いです。
当時のTV歌番組(「ザ・ヒットパレード」?)での熱血歌唱がとても印象的でした。アニマルズよりもこの人の歌が記憶に残っているくらいです。
それにしてもこのヴァージョン違いには驚きました。聴いてみたくなりました。

オリジナル・ヴァージョンのバック演奏はブルコメの可能性大ですね。根拠はありませんが“ジャッキーした”ドラムはブルコメそのものに聞こえます。
ブルコメ好きとしてはオリジナルEP盤、欲しくなりました。
返信する
御礼 (サイケおやじ)
2010-03-11 18:01:43
☆warabimochi様
ありがとうございます。

本サイト「サイケおやじ館」は昨年の今頃からの仕事の多忙で更新が滞り、各方面から叱咤激励、感謝する次第です。
なんとか近々、再開のメドも見えていますので、末長いお付き合い、お願い致します。
返信する
ジャッキーなドラムス♪ (サイケおやじ)
2010-03-11 18:04:37
☆bob様
コメント感謝です。

オリジナルバージョンのドラムス、全く仰せのとおりですよねぇ~~♪ 最高にカッコ良いです。アニマルズよりも売れたと思います。
それと当時のヒットパレードでは、寺内タケシの「涙のギター」の歌詞付きバージョンも歌っていましたですね。
返信する

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