OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

塀までぶっとばされたっ!

2024-02-29 19:02:14 | 日本のロック

Suki Suki Suki(塀までひとっとび)/ サディスティック・ミカ・バンド (DOUGHNUT / 東芝)

日本ロック史に屹立するサディスティック・ミカ・バンドの素晴らしさ、その偉大さはサイケおやじも大いに認めるところですが、さりとて……、サディスティック・ミカ・バンドが結成され、正式に活動を開始した昭和47(1972)年当時は決して、そ~ではありませんでした。

これはサイケおやじだけの印象、あるいは思い込みでは無かったという記憶を辿ってみれば、リーダーたる加藤和彦が当時夫婦関係にあったミカと共に結成した件のバンド名が、あらためて述べるまでもなく、ジョン・レノンが妻のヨーコと一緒に運営活動していたプラスティック・オノ・バンドを真似っこしたに過ぎないというイメージが強く、つまりは加藤和彦という、常に流行に敏感なミュージシャンの「お遊び」感覚を否が応でも押し付けられているというか……。

また、同年初夏に発売された最初の公式シングル曲「サイクリング・ブギ」が、これまたオンタイムで流行っていたロックンロール・リバイバルに則ったアップテンポの日本語ロックだった事も、サイケおやじにしてみれば、聊かスカされた気分でありました (^^;

このあたりの事情は、これまでも度々書いてきたように、その頃は歌謡フォークが全盛でしたから、ロック好きな洋楽ファンは大勢存在しながら、エレクトリックなバンドをやっている者なんか、時代遅れという風潮が確かにありましたし、国内のプロのバンドにしても、GSブームが去っていたこともあり、そのほとんどはゴーゴー喫茶のハコバンあたりが主な仕事という有様で、きっちりロックバンドとしてレコードを出していたミュージシャンは数えるほどでした。

ですから、歌謡フォークをリードしていた加藤和彦が何故に……?

なぁ~んていう不遜な思いがサイケおやじには確かにありまして、しかも翌年春に発売された最初のLP「サディスティック・ミカ・バンド」の内容が如何にも当時の洋楽流行だったグラムロック的な雰囲気としかサイケおやじには思えず、それはラジオの深夜放送でオンエアされた数曲を聴いただけの印象ではありましたが、なんだかなぁ…… (^^;

ちなみに同時期の日本のロックバンドでサイケおやじが強く認識していたのは四人囃子、ブルース・クリエイション、モップス等々でしたから、つまりは明確なハード&ヘヴィな感覚を打ち出していなかったサディスティック・ミカ・バンドは失礼ながら、埒外だったというのは、サイケおやじの不明でありました…… (^^;

ところが、それを大きく覆されたのが昭和50(1975)年初頭に耳にした「塀までひとっとび」という、本日掲載のシングル盤A面曲でして、これがハナからケツまでファンキーロックに徹したアップテンポのゴッタ煮(?)歌謡ロック!?!

それは、とにかくワウワウまでもスビート感満点に用いたリズムギター、炸裂するシャープな16ビートのドラムスにニューソウルなベース、加えてクロスオーバーなキーボートにオチャメでサイケデリックなボーカルというバンドサウンドの纏まりの良さこそは、それに反比例するが如き破天荒寸前の歌と演奏!

あぁ……、このあたりの新鮮な興奮度の高さは正に衝撃でありましたよ、昭和50(1975)年当時のサイケおやじにはっ!

もはや筆舌に尽くし難いと申しましょうか、例えは苦しいものがありますが、ジュニア・ウォーカーあたりがやっていたファンキーなソウルインストをロックに焼き直した感じは、作詞:林立夫&作曲:小原礼が狙って作ったというよりも、ライブギグの現場で自然発生的に練り上げられたグルーヴをスタジオで練り直した結果という経緯を後に知る事になるんですが、それはそれとして、これを演じていた当時のサディスティック・ミカ・バンドのメンバーは加藤和彦(vo,g)、ミカ(vo)、高中正義(g)、今井裕(key)、小原礼(b,vo)、高橋幸宏(ds,vo) だったそうですし、もうひとり、絶対に外せないのがプロデュースを担当したクリス・トーマスの存在でしょう。

そ~ですよ、ジョージ・マーティンの弟子にして、ピンク・フロイド、プロコル・ハルム、ロキシー・ミュージック等々の先進的な英国のプログレバンドを手掛けていた才人ですからねぇ~~、既に述べたとおり、発足当時はグラムロックっぽかったサディスティック・ミカ・バンドが徐々にクロスオーバー的なサウンドに移行し、フュージョンロックに深入りしていく過程には絶好の水先案内人だった様な気がするほどなんですが、加藤和彦が如何なるルートでクリス・トーマスとの共同作業に踏み切ったのかは、勉強不足で知る由もありません…… (^^;

実は、この「塀までひとっとび」は既に前年秋に発売されたいたサディスティック・ミカ・バンドの2nd アルバム「黒船」からのカットであり、殊更英国では「Suki Suki Suki」の英語タイトルでシングル発売もされていたほどの仕上りは傑作の証明でありましょうか、とにかくもサイケおやじは慌てて掲載のシングル盤をゲットして聴きまくり、次いで件のLP「黒船」を入手し、またまた衝撃を受けたわけですが、それは追々に書き記したいと思います。

そして実に素敵な朗報として、サディスティック・ミカ・バンドが残してくれた公式スタジオレコーディングによる4枚のアルバム、同じく2枚のライブアルバムに加えて、新発掘のライブ音源や所謂レアリティーズ音源等々を集成リマスターしたCD8枚に英国でのテレビ出演映像を含むライブステージを収めた映像BDを加えたボックスセット「PERFECT! MENU」がついに3月発売される予定なんですよ (^^♪

もちろん、サイケおやじはサディスティック・ミカ・バンドのCDは1枚も持っていないので、速攻で予約してしまいました (^^♪

ですから、そんなこんなも含めて今後、サディスティック・ミカ・バンドのあれやこれやを拙ブログにて取り上げますが、気になるバンドの活動過程において、ど~しても避けて通れないのが加藤夫妻の離婚という問題であり、それはなんとっ!

ミカとクリス・トーマスの不倫が原因という真相は、いやはやなんとも…… (>_<)

詳しい経緯については、これまで各方面で語られておりますし、幾つかの逸話はネットでも拾えると思いますが、素晴らしい音楽活動の裏側でドロドロしたプライベートな問題が渦巻いていたというあたりは、浮世の常なんでしょうか……。

う~ん、せつなくも、芸術は長し……。


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