OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ペックのニューロック誕生

2009-11-07 10:54:30 | Rock

ジェフ・ベックのボレロ c/w Shapes Of Things / Jeff Beck (Columbia / 東芝)

エリック・クラプトンと並び称されるギターヒーローが、私の世代ならば、きっとジェフ・ベックでしょう。しかも両者はヤードバーズの新旧ギタリストであり、後に続いたのがジミー・ペイジですから、英国三大ギタリスト! と絶賛されていたんですねぇ~♪

そういう実在する伝説は今も健在なわけですが、中でもジェフ・ベックはギター道に徹しているあたりが人気の要因かもしれません。

もちろんテクニックや音楽的な閃きに関しては、まさに天才!

本日ご紹介のシングル盤は、前述したヤードバーズを辞め、独立して結成した所謂「第一期ジェフ・ベック・グループ」によるアルバム「トゥルース」からカットされた、おそらくは我国独自の発売だろうと思われますが、例によってLPが買えなかった少年時代のサイケおやじにとっては、これだけでも嬉しいレコードでした。

なにしろイギリスでは1968年に発売されていた「トゥルース」が、我国では翌年に「驚異のブルースギター! / ジェフ・ペック登場」という、そのものズバリの大仰な邦題で発売された瞬間から、音楽雑誌やラジオ&テレビの洋楽番組で絶賛の嵐!

もう、これはロックファン必聴のアルバムになったのです。

そしてラジオから流れてきた、このシングル盤のA面曲「ジェフ・ベックのボレロ / Beck's Bolero」には、確かにグッと惹きつけられるミステリアスで強烈に新しいロックを感じることが出来ました。

まずボレロですから、例のタンタカタタ~ンというリズムパターンを踏襲し、当然というかモーリス・ラベルの同曲をモチーフにしています。しかしジェフ・ペックのギターは、まず音色が絶品の美しさ♪♪~♪ そのメロディアスで、当時は宇宙的と表現されたスペーシーな感覚を存分に聞かせる前半部分から、強烈にアナーキーな叫び声を合図に一転、激しいハードロックな世界に突入するというインスト曲の決定版!

ちなみに後に知った事ですが、これは正確にはジャケットに写っているロッド・スチュアート(vo) やロン・ウッド(b) が在籍していたジェフ・ペック・グループの演奏ではなく、ジミー・ペイジ(g)、ニッキー・ホプキンス(p)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b)、キース・ムーン(ds) を従えた、今となってはウルトラ級のオールスタアズによるスタジオセッションから生まれた名演で、中盤の掛け声はキース・ムーンによるものとされています。また作曲はジミー・ペイジ!?! おいおい、タイトルに偽り、あり!?!

しかし、そんなこんなは問題になりませんねぇ~♪

それほど美しも激しい、奇蹟の名演だと思います。

またB面収録の「Shapes Of Things」が、これも後に知った事ですが、ヤードバーズ時代の持ちネタ再演で、こちらはジェフ・ペック(g)、ロッド・スチュアート(vo)、ロン・ウッド(b)、ミック・ウォーラー(ds) という、今度こその「第一期ジェフ・ベック・グループ」ですから、そのヘヴィでソリッドなハードロックは間違い無し!

ちなみに当時はロッド・スチュアートなんて、文字通り「なんて」としてか評価されないオマケ的な存在感しかありませんでしたが、ここでの熱唱はジェフ・ペックの強引なギタープレイに拮抗対峙していますし、それを引っ張り回すが如きジェフ・ペックの意地悪さ、また意外にもメロディアスなロック・ウッドのペースとパワフルなミック・ウォーラーのドラムスがあって、これが新しいロックでした♪♪~♪

イントロからの叩きつけるようなリズム的な興奮、唸って叫び、伸縮自在のギターと激しい歌が冴えまくる演奏のコンビネーション! 何回聴いても血が騒ぎますから、後でヤードバーズのオリジナルバージョンに接した時には、気抜けのビールみたいだなぁ……、と不遜な事を思ってしまったですよ。

ということで、これもサイケおやじの青春には欠かせなかった1枚なんですが、肝心のLP「トゥルース」はリアルタイムで聴く事が出来ず……。これは今でも悔しい気分ですねぇ。なにしろ3年後に聴いたそこには、このシングル盤以上に物凄い衝撃があったのですから、もし昭和44(1969)年だったら……、と思うと、なにやらゾッとするほどです。

そしてその間にも「ベック・オラ」や「ラフ&レディ」といったリーダー盤、あるいはヤードバーズ時代の諸音源を聴いていたわけですから、ますますその恐ろしさが身に応えたというわけです。

う~ん、それにしても、この日本盤シングルのジャケ写は意味深というか、お茶目なロッド・スチュアートに比べて表情が冴えないジェフ・ペックというコントラストが、後の展開を予見していたような……。

そんな事まで想いながら聴く、この「ベックのボレロ」は、また格別です。

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