■宇宙旅行の渡り鳥 / 小林旭 (クラウン)
昨夜は久々に猟盤活動に勤しみ、ブートあれこれ、レコード諸々をゲットしてきた中にあって、今更ではありますが、その獲物のひとつが掲載した小林旭のシングル盤です。
発売されたのは昭和39(1964)年10月、つまり当時の日本は東京五輪で遮二無二盛り上がっていた頃だったんですが、我らが小林旭は、
ちっちゃな地球に 住みあきて
宇宙旅行の 渡り鳥
を決め込んでいたというわけです。
ただし、この楽曲はオンタイムで封切られた本人主演の日活映画「ギターかかえたひとり旅」の劇中挿入歌であり、物語は説明不要のプログラムピクチャー王道路線という、地方都市を舞台とした、小林旭ならではの流れ者アクションなんですから、そこからいきなり広大な宇宙へ飛翔するというブッ飛びは破天荒の極みつき!?!
ですから、叶弦大の作り出したメロディが例によっての「お調子演歌」ならば、重松岩雄のアレンジにはロックロール保守本流のリフ&ビートが用いられ、しかし基本はビックバンドジャズという物凄さ!
とにかくイントロからの突き抜けたトランペットの鳴りだけで、グッと歌の世界に惹き込まれるんですが、そこに留めの一撃ともいうべき小林旭のハイトーンボイスによる独特のコブシが被って来るんですから、たまりません ♪♪~♪
そして水島哲の綴った歌詞には、
宇宙旅行の 渡り鳥
恋も名誉も義理も人情も
みんなバ~イバイ
なぁ~んていう、お気楽な自由人思考が満載であり、おまけにキメが、
ツートト ツートト
トツート ツートト
ノリにノッたモールス信号のグルーヴィなフレーズになっているんですから、ここは思わず一緒に歌ってしまいたくなるヒット曲の定石以上の必殺技でありましょう ♪♪~♪
実は最近、アメリカのSFテレビドラマの金字塔「スタートレック」シリーズをアットランダムに鑑賞しているんですが、その劇中に宇宙服を着て、ギターを抱えた渡り鳥の小林旭が登場しても、なんらの違和感も無い様な気にさせられるのが、この「宇宙旅行の渡り鳥」の行き着くところだった気さえします。
ただし、件の「スタートレック」はイメージとは裏腹に異星人も同等の比重で「義理と人情」が描かれているエピソードも多く、とすれば結局、渡り鳥の小林旭も最後には再び旅の空へ飛んで行くのでしょうか……。
個人的にはシリーズ中、「デイープ・スペース・ナイン」を舞台にした物語に人間ドラマを強く感じるもんですから、我が国で本篇「宇宙旅行の渡り鳥」が製作されなかったのは残念と思うばかりです。
うむ、カラオケあったら、宴席で歌ってみたい衝動が (^^;)