OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

シャンソン歌謡でミステリを

2017-09-21 19:59:22 | 歌謡曲
愛のバラード c/w 仮面 / 金子由香利 (日本ビクター)

これが噂の1枚と云えば、本日掲載のシングル盤もサイケにとおやじとっては幻の中にあったブツだったんですが、ど~にかこ~にか入手が叶ってみれば、不思議な味わいにシビレてしまった己の不明は幾何も無し……。

と、まあ、本日も意味不明の書き出しで申し訳ございません。

しかし、これは大野雄二の代表作のひとつにして、昭和51(1976)年に大ヒットした我が国のミステリ映画「犬神家の一族(市川崑監督 / 角川映画)のテーマ曲「愛のバラード」のボーカルバージョンをA面に入れた、なかなかしぶといレコードでして、もちろんジャケ写からして前述の本家盤と密接な関係にあることは言うまでもないんですが……。

問題は、この金子由香利が歌ったボーカルバージョンは映画本篇では使われなかったという事で、つまりは当時ありがちがった、ヒット映画からイメージを借りたタイアップ作品だったのでしょう。

もちろん、ほとんど売れなかったにちがいなく、その存在だけは殊更大野雄二の信者には伝播していたのですから、今となっては珍盤扱いになっているという、冒頭に書いた「噂」とは、それを指しているのです。

そして実際に針を落としてみれば、シャンソン歌手の金子由香利の声質や節回しが、劇中で大役を演じていた高峰三枝子のイメージに重なるが如き、哀切と重苦しさが最高に混ぜ合わせされたメロディラインにはジャストミート♪♪~♪

ちなみに作曲は既に述べたとおり、大野雄二なんですが、このボーカルバージョンのアレンジは神保正明であり、演奏はビクターオーケストラと記載がありますから、大野雄二が製作にどの程度関わっているのは知る由もなく、しかし山口洋子の綴った歌詞の秘めやかな味わいとの相性は侮れません。

ですから、B面に収められた「仮面」もまた、映画サントラ用に作られ、それは大野雄二の手に掛かれば暗黙の了解で演奏された曖昧なメロディを変奏したスパニッシュ調のフュージョンだったものが、やはり山口洋子の作詞と神保正明のアレンジを得た金子由香利のボーカルバージョンでは、クールでグルーヴィなニューミュージック風演歌調に仕上がっているという、まさにミステリアスな結果は、これ如何に!?

う~ん、途中に入る台詞の語りがハッとするほど良い感じなんですねぇ~~♪

ということで、実はシャンソンはサイケおやじの守備範疇外ではありますが、このシングル盤に関しては、ジワッと滲みて来る魅力の虜になってしまいました。

うむ、秋も深まる夜には、これかなぁ~~~♪
コメント (2)
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