OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スプリンターで和む秋

2016-10-10 18:03:48 | Pops
Sun Shine On Me / Splinter (Dark Horse / ワーナーパイオニア)
 
洋楽の世界には、何故か日本寄りのミュージシャンが少なくないんですが、それだけ我が国のマーケットが侮れず、しかも日本で最初に人気を得てから本国や世界中でブレイクした歌手やグループの実績が認められているからでしょう。
 
例えばクイーンやチープ・トリック等々は殊更有名ですから、それに続けとばかりに、それなりのキャリアを有する面々が活路を求めんとするのは十分な説得力があるんじゃ~ないでしょうか。
 
本日掲載したシングル盤の主役たるスプリンターも、今となっては知る人ぞ知る存在かもしれませんが、実は1970年代中頃には鳴り物入りで紹介されていたポップスデュオで、何故ならばジョージ・ハリスンが1974年に自ら設立したダーク・ホース・レーベルの最初の契約発売ミュージシャンだったのが彼等だったんですねぇ~~!?!
 
当然ながら、そのデビューに際してはジョージ・ハリスンの前面的なバッアップがあり、作られたレコードには自らも含めて、コネクション総動員という方針も大きな話題になったんですが、結果的に鳴かず飛ばず……。
 
ちなみにスプリンターはビル・エリオットとボビー・パーヴィスのフォークデュオで、当時ビートルズの現場マネージャーだったマル・エヴァンズに発見されてのダーク・ホース・レーベル契約という幸運がありながら、同じマル・エヴァンズが見出したアイビーズバッドフィンガーのようには売れなかったのは、失礼ながら、やはりそこまでの実力が無かったというのが正解なのでしょう。
 
しかし、スプリンターには好きな人には好きとしかいえない魅力が不思議にもあるんですねぇ~♪
 
不肖サイケおやじも、実はそ~ゆ~性質の持ち主でして、聴いてい安心感に包まれるようなスプリンターのレコードは、密かな愛聴盤になっているほどです。
さて、そこで掲載したシングル盤A面曲「Sun Shine On Me」は、なんとっ! 日本制作のCMタイアップ曲で、それはトヨタの「スプリンター」であったことはジャケ写からも一目瞭然でありましょう。
 
もちろん件の車名と彼等のグループ名が一緒だったという狙いは明らかですし、レコーディングされたのが昭和51(1976)年11月頃、ちょうどスプリンターが東京音楽祭出場で来日した時だったと言われているということは、既にそれが予定の行動だったという推察も易いかもしれません。
 
と同時に、とにかくもジョージ・ハリスンの秘蔵っ子とまで喧伝されていたスプリンターが、なんとかイマイチの現状を打破しようと、我が国の洋楽市場に活路を云々という事情は理解出来るところです。
 
なにしろ出来上がった楽曲「Sun Shine On Me」が作詞:奈良橋陽子&作曲:タケカワユキヒデ、そして編曲:ミッキー吉野ということは、バックの演奏も当然ながらゴダイゴが全面的に担当したそうですから、世界戦略も抜かり無し!
 
ただし、これはゴダイゴが既に演じていた同CM曲「Sprinter Liftback」の改作という真相もあるんですが、それでも英語詞で歌われるゆったりと穏やかなメロディは、スプリンターの安心印のボーカル&ハーモニーがある限り、まさにナチュラルな和みがいっぱいなんですよ♪♪~♪
 
正直、もう少し派手さがあってもOKという気がしないでもなかったんですが、しかし発売された昭和52(1977)年といえばAORポップスが洋楽の世界ではトレンドでしたし、この当たり障りのない音楽世界こそが、スプリンターの魅力のひとつじゃ~ないかと思います。
 
しかし、現実は厳しく、結果的にこの「Sun Shine On Me」は日本だけの独自シングルだったようで、それゆえにビートルズ関連アイテムの難関盤として、世界中のコレクターから狙われていた時期もあったそうですよ、今はど~だか知る由もありませんが。
 
また、実はスプリンターはこれ以前の昭和51(1976)年、自らの代表曲「Lonly Man」の日本語バージョンのシングル盤出して、その作詞は俳優の中村雅俊が書いたとされていますが、さらに驚かされたのは、その中村雅俊が昭和50(1975)年に作詞:喜多條忠&作曲:吉田拓郎からの提供で大ヒットさせた「いつか街で会ったなら」の英語詞バージョンを昭和54(1979)年に制作発売しているという、いゃ~、ここまでやっているんですから、なにか報われないのは運否天賦というやつでしょうか……。
 
でも、そんなところもサイケおやじがスプリンターを憎めないところです。
 
ということで、今日は涼しすぎるというか、ちょっぴり寒いような気がするほどのヒンヤリ感がありましたので、いよいよハートウォームな音楽が必要とされる季節が到来したようです。
 
夏場の暑苦しい時にも、それなりに聴いて心地良いレコードは沢山あるんですが、サイケおやじ的には食欲やスポーツよりは、音楽とエロスの秋でありたいと願っているのでした。
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