■こんな風に過ぎて行くのなら / 浅川マキ (東芝)
現在の自分の心境立場を思う時、それはこれまで我欲と享楽で過ごして来たツケが回ったという事なんでしょう。
それは自分を偽り、周囲を欺いて来た罰でもあり、もちろんそれなりの喜怒哀楽はあったにせよ、その何れをも心から受けとめていたとは決して言えません。
むしろ、そんなこんなを無感動に受け止める努力さえしていたと思うばから……。
今となっては、なんて馬鹿野郎な生き様だと、大いに後悔しているんですが、さりとて過ぎ去った日々は戻らず、これからもやるせない気分に悄然としていくにちがいありません。
しかし、自分には「歌」がまだ残っています。
例えば浅川マキが昭和47(1972)年に出した本日掲載のシングル盤A面曲「こんな風に過ぎて行くのなら」は、現在のサイケおやじには直球ストライクのど真ん中!
アコースティックギターのリズムカッティングからベース、ドラムス、そしてピアノというシンプルな伴奏に導かれ、浅川マキは本気でやるせない心象風景を歌ってくれるんですねぇ~~♪
もちろん作詞作曲は彼女自身ですから、気持ちの入り方も極めて自然体と思われますし、深町純(p,arr)、萩原信義(g)、高中正義(b)、角田ヒロ(ds) というバックの演奏メンバーも、きっちりと良い仕事ですよ。
う~ん、これぞっ、浅川マキの代表的人気曲のひとつとして納得の名演名唱が、ジンワリと心身に染み入るばかり……。
もはやサイケおやじの稚拙な筆なんかは無用の長物として、皆様にもこの気分はぜひとも共有していただきとうございます。
ちなみに同曲は、ご紹介のシングル盤に収録の他に翌年発表のLP「裏窓」には別風味のアルバムバージョンが入っていますし、後年にはリメイクバージョンも出すほど、彼女も十八番にしていた、ある意味では浅川マキの存在イメージを象徴する楽曲のように思います。
ということで、今の気分から抜け出すには、何かで自分を律しなければならないという覚悟をしております。
人は皆、悲しい出来事に遭遇しつつ、人生を過ごすわけですが、本当の悲しみはたったひとつで充分でしょう。
ただ、サイケおやじはそれを大切にしていきたいと思っています。