OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

イケイケだったアニマルズ

2009-11-03 10:47:16 | Rock

It's My Life c/w I'm Gonna Change The World / The Animals (EMI / 東芝)

昭和40年代の日本の洋楽事情はベンチャーズを別格として、ビートルズが何でも一番だったった事は、これまでも度々、述べました。

しかし、そうした中にも根強く凄い人気を獲得していたのが、ご存じ「朝日のあたる家」で大ブレイクしたアニマルズです。とにかく持ち味の真っ黒でハードな歌と演奏は、時として歌謡演歌グルーヴというか、粘っこいコブシを伴ったエリック・バートンの歌いっぷりとゴリゴリのインストパートが琴線に触れまくり♪♪~♪

それはイギリスの白人バンドということで、もしかしたら本場アメリカの黒人R&Bよりも分かり易いものだったのかもしれませんし、ロック本来の突進力が何をやっても強く表現されていました。

ですから我国でも、例えば尾藤イサオが「悲しき願い / Don't Let Me Be Misunderstood」をカパーヒットさせたり、GS期には多くのバンドがアニマルズをお手本にした演目をやっていたのは、今日までに残されているレコードからも明らかですし、昭和40(1960)年6月の来日公演も大盛況!

しかしアニマルズというグループ内部は世界中で人気が沸騰するにつれ、ゴタゴタが噴出していたようです。そしてリーダーのアラン・ブライス(key,vo) が追い出される形で脱退するというところから、新メンバーのデイヴ・ロウベリー(key) を迎え入れ、1965年末に放ったヒットが、本日ご紹介のシングル曲でした。

ボボン、ボボンと弾むエレキポースに、幾分エキセントリックなエレキギターの定型フレーズが終始鳴り響き、その中にはビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが好んで使うようなコードも入っている感じのポップさとサイケデリックの元祖のような妖しさが同居してしています。

しかしエリック・バートンの思わせぶりに真っ黒なリードボーカルが、相変わらずの力強さ! そしてコール&レスポンスのコーラスを伴ったクラマックスが実に熱いのです。そして覚えやすいキメのフレーズと歌詞にも、一緒に歌えるロックヒットの醍醐味があるのです。きっとライプの現場では、この曲をやるとステージと観客が一体化していたのでしょうねぇ~♪ そんな想像も易い、素晴らしいさです。

またB面収録の「I'm Gonna Change The World」はエリック・バートンが十八番の強引に粘って、さらに突進していく芸風が全開の爽快な名曲名演! ある意味、当時のストーンズよりも分かり易く、それでいて迫力でも上まわっているんじゃないでしょうか!? 新加入のデイヴ・ロウベリーのオルガンも前任者のアラン・ブライスよりはジャズ風味を抑えて、尚更にロックのフィーリングを強く打ち出した好演が新しいと思います。

それと歌詞の中身についても、この「I'm Gonna Change The World」は「白も黒も、右も左も拘りなく、とにかく世界を変える、変えてみせる!」と言った、如何にも当時、ロックや音楽で革命が成し遂げられるかもしれないという幻想を、実に強く歌っていますが、これはエリック・バートンのオリジナルで、後々のサイケデリック&プロテスト路線の発端的な証でしょう。

このあたりにもリーダーがアラン・プライスからエリック・バートンに移行した、本当に新しい姿勢が実感出来ると思います。

また逆の意味で、享楽を求めるしかない生き様を歌うA面にしても、その強引な表現力が如何にもアニマルズがド真ん中ですから、日常会話が英語の世界でも、それほどの違和感は無かったと思われます。

結局、アニマルズは大衆芸能路線から反体制の先進的なバンドへと変貌していった、所謂「本物」のロックバンドでした。それが後には「朝日のあたる家」の一発屋的な扱いから懐メロバンドとしか思われてない現状は、ちょっと哀しいものがあります。

それは「アニマルズ」を名乗るバンドが幾つも同時に存在していたり、エリック・バートンがアニマルズ以降に展開していた活動が真っ当に評価されていない現実にも象徴されておりますが、告白すると私はストーンズよりもアニマルズが好きな瞬間さえ、あるのです。

ということで、アニマルズ万歳!

本日は、これが結論ということで、暴言戯言、ご容赦願います。

コメント
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