OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジミー・ジョーンズに目覚める

2007-04-02 20:20:14 | Weblog

あぁ、今日は朝から忙しまくって、今は疲れきっています。

こういう時には癒しのボーカルということで――

Sarah Vaughan With Clifford Brown (EmArcy)

サラ・ボーンは厚ぼったい声でベタベタ歌うので、個人的には好きではありませんが、このアルバムだけは別格です。黒人らしい粘っこさを残しつつもサラリとしていますし、伴奏陣がまた、たまらないプレイを聞かせてくれますから♪

録音は1954年12月18日、メンバーはサラ・ボーン(vo)、クリフォード・ブラウン(tp)、ハービー・マン(fl)、ポール・クイニシェット(ts)、ジミー・ジョーンズ(p)、ジョー・ベンジャミン(b)、ロイ・ヘインズ(ds)、アーニー・ウィルキンス(arr) という、これ以上無い素晴らしさです――

A-1 Lullaby Of Birdland
 いきなりアレンジされたイントロをスキャット&伴奏で始まる魅惑のメロディ♪ サラ・ボーンの歌い方には微妙なタメとモタレがあって、なおかつベタベタしないので最高です。
 演奏ではジミー・ジョーンズのピアノがソロも伴奏も同じスタイルで微笑ましく、ジョー・ベンジャミン&ロイ・ヘインズも当時のレギュラーだったのでしょう、なかなかのコンビネーションです。
 そして後半はサラ・ボーンとホーン陣の掛け合いがあって、もちろんクリフォード・ブラウンがお目当てながら、実はサラ・ボーンのスキャットが素晴らしいスリルなのでした。
 ズバリ、出来すぎ!

A-2 April In Paris
 自由な情感を込めて歌うサラ・ボーンに寄り添うジミー・ジョーンズが、本当に上手いピアノを聞かせてくれますねぇ~♪
 またバックのアレンジも淡くてカラフルという、当に4月のパリって、こんな感じでしょうか? 行ったことないので、分かりませんが♪ ポール・クイニシェットのテナーサックスがソフトに泣けば、クリフォード・ブラウンはミュートで丁寧に歌っています。あぁ、この2人は歌伴の名人でもあるのでしょうねぇ~♪ 地味ながらハービー・マンのフルートも光ります。

A-3 He's My Guy
 重いビートで軽やかに歌うサラ・ボーンのキュートな魅力が全開です♪
 原曲メロディを大切にしたアレンジは自由のようで、けっこう細部までキメていたように感じます。
 アドリブパートではポール・クイニシェットがスカスカと歌って気持ち良く、クリフォード・ブラウンは明朗闊達! ジミー・ジョーンズが小粋にスイングすれば、ロイ・ヘインズのブラシとバスドラが、快適なビートを作ります。う~ん、ハービー・マンの神妙なソロも捨てがたいです。

A-4 Jim
 スローな展開ながら、決してダレない歌まわしが流石の実力という、これこそサラ・ボーンの真骨頂だと思います。繰り返しますが、このセッションではベタベタしていないのが、個人的には好みなんです♪

B-1 You're Not The Kind
 実はこのセッションで私が一番気に入っているのが、当時、サラ・ボーンの専属伴奏ピアニストだったジミー・ジョーンズの存在で、その最高の妙技がこの曲で存分に聴かれます。
 もちろんポール・クイニシェットやハービー・マン、そしてクリフォード・ブラウンも大名演だと思いますが、ここはやっぱりジミー・ジョーンズ♪ その小粋にスイングする伴奏ピアノ中心に聴いていると、ウキウキしてきます♪
 当然、サラ・ボーンとの相性も完璧ではないでしょうか♪ 特にラストコーラスなんかゾクゾク、ウキウキの連続ですよ♪

B-2 Embraceable You
 これは繊細かつディープな表現も目立ちますが、むしろメロディを素直に歌っているあたりに好感が持てます。ひかえめな伴奏トリオも本当に趣味が良いと思います。ジミー・ジョーンズ最高♪

B-3 I'm Glad There Is You
 ちょっと思わせぶりが強いサラ・ポーン……。あまり好きでは無いのですが、バックのアレンジが秀逸なんで、なんとなく納得してしまうのですが……。
 ポール・クイニシェットが清涼剤……?

B-4 September Song
 これもスロー系の歌唱ですが、けっこう気にいっています♪
 余計な力みを感じないというか、実は良く分からないのですが、雰囲気だけで酔わされてしまうような……。
 サラ・ボーンは本性を現して低音ゲロ吐き歌唱に入っていますが、クリフォード・ブラウンのミュートトランペットが絶品の輝き♪ 流石です!

B-5 It's Crazy
 オーラスは楽しくスイング致しましょう!
 という雰囲気で、ジミー・ジョーンズ以下のトリオは絶妙の歌伴を聞かせてくれますし、サラ・ポーンも軽いグルーヴで通しています。
 そしてクリフォード・ブラウンの輝かしいトランペットは、ややラフな部分も珍しく、こういうのを聴いていると、このジミー・ジョーンズのトリオでのワンホーン盤を残して欲しかったと思いますねぇ。
 あとハービー・マンの真摯な吹奏とポール・クイニシェットの軽妙なスイング感にも脱帽です。あぁ、ジャズを聴いている幸せに浸ってしまいます。

ということで、これは名盤として認定されていますが、アナログオリジナル盤は大変に希少でした。それが日本では簡単に手に入っていたので、海外のコレクターも日本盤を持っている人が多いという噂です。

今はボートラ付きCDで発売中♪ ジャズボーカル入門盤としても最適かもしれません。

ただしサラ・ボーンは、このセッションが本領ではありませんので、念のため……。

個人的にはジミー・ジョーンズに目覚めた1枚なのでした。

コメント
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