今日は快晴♪ 仕事場の庭にある桜も満開ということで、昼メシは桜の木の下にテーブルを出して臨時観桜会とシャレ込みました♪
もちろん今年入ってきた新戦力と和みの一時を作ろう、という目論みもあったので、けっこう素敵な弁当を頼んであったんですが、やっぱり酒が無いと雰囲気硬かったです。
で、土曜日には本格的な花見がセッティングされています。でも天候がなぁ……。
ということで、本日は――
■Poll Winners Three ! (Contemporary)
コンテンポラリー・レーベルは音が良い!
これ、ジャズ者には常識になっているようですが、個人的にそれを実感出来た最初のアルバムが、本日の1枚です。
で、「ボール・ウィナーズ」というのは、バーニー・ケッセル(g)、レイ・ブラウン(b)、シェリー・マン(ds) による特編トリオで、3人共に音楽誌や男性誌の楽器別人気投票で首位を獲得したことが、レコーディング企画の根本になっています。
しかもそれが、1956年から4年連続であったのですから、これは驚異! 当然、リアルタイムでのアルバムも4枚発売されており、これは3枚目=1959年の成果というわけです。
録音は1959年11月2日、演目も泣かせますねぇ――
A-1 Soft Winds
ベニー・グッドマンの当り曲で、そこで大活躍していたのが、エレキギターの天才だったチャーリー・クリスチャン! ですから、その直系と自他共に認めるバーニー・ケッセルとしては、ヘタは打てない選曲ということで、スバリ、快演です!
まずテーマ部分から3者のコンビネーションが抜群で、ギシギシ軋みながら唸るレイ・ブラウンのウッドベースが最高♪ またシェリー・マンのブラシ&スティックも迫力があります。あぁ、この音の良さ! なんというか、微妙に潰れる寸前の音なんですねぇ♪ エレキギターのエグイ音も見事に録音されています。
肝心のアドリブは、もう名人芸の連続です♪
A-2 Crisis
バーニー・ケッセルのオリジナル曲で、ラテンビートと4ビートがゴッタ煮状態というエキゾチックな名演だと思います。
当時のバーニー・ケッセルはジャズよりもスタジオワークが中心になっていたようですが、まだまだスリル満点のジャズ、つまりアドリブで聴く者を熱くさせるジャズ魂を失っていませんねっ!
A-3 The Little Rhumba
これはシェリー・マンのオリジナルなので、必然的に作者が目立つような演奏になっていますが、他の2人もツボを押えた楽しい演奏に仕上げています。
愛らしいテーマをつつましく弾くバーニー・ケッセルを尻目にグイノリのレイ・ブラウンとビシバシのツッコミを入れるシェリー・マン!
短いながら、間然することありません♪ シェリー・マンのブラシソロの恐ろしさに悶絶させられますよ。
A-4 Easy Living
お馴染み♪ 和み系のスタンダード名曲ですからねぇ~♪ ただし、この3人ですから、一筋縄ではいかない雰囲気が横溢しています。まあ、ほとんどテーマを演奏しただけで終わってしまうんですが、レイ・ブラウンだけがハッスルしすぎでしょうか……。
A-5 It's All Right With Me
これもお馴染みの痛快スタンダード曲ですが、ここではちょっと凝ったテーマ解釈がニクイところ♪ バリバリのアップテンポなんで、バーニー・ケッセルは破綻寸前のグラツキも聞かせてしまいますが、シェリー・マンの容赦ない煽りが強烈です。
またレイ・ブラウンの肝っ玉の据わった伴奏は流石でしょうか。
B-1 Mack The Knife
本当にこのアルバムはジャズ者の琴線に触れる選曲ということで、これもお馴染みの楽しいテーマメロディが最高にグルーヴィに演奏されています。
バーニー・ケッセルのテーマ解釈は、ちょっと聴きにはコピーが簡単そうですが、実際は至難のワザの積み重ねです。それをシンプル&グルーヴィに軽々とやってしまうあたりは、流石にポールウィナーズ!
B-2 Raincheck
デューク・エリントの当り曲ということで、これも正統派の解釈に撤していますが、トリオのコンビネーションは絶妙の極みというか、誰がリードするわけでもないのに、演奏がどんどん高みにいってしまうのでした。
痛快!!!
B-3 Minor Mystery
レイ・ブラウンのファンキーなオリジナル♪ 暗くて昭和歌謡曲なテーマメロディがハードボイルドです。
ところがバーニー・ケッセルがちょっと、やり難そうという雰囲気が……。う~ん、ジャズは難しいです……。
まあ、ここはレイ・ブラウンの自信満々のウォーキング・グルーヴに身を任せて楽しむのが正解かと思います。
B-4 I'm Afraid The Masquerade Is Over
小粋なテーマメロディが人気のスタンダード曲ですが、ここでは通常よりもテンポを速くした解釈が楽しいところ♪ バーニー・ケッセルのコード弾きは、その流麗なキーワークも楽しく、また同時にラフな部分もあってジャズっぽさが強調されている感じでしょうか?
また緻密なアレンジもニクイところで、余程の実力が無いとコピー不可能の世界だと思います。
B-5 I Here Music
さて、オーラスは猛烈にブッ飛ばし大会なんですが、一応、最初はバーニー・ケッセルの静かなソロが配置されています。
もちろんアドリブパートでは熱く燃えるインタープレイが、お見事!
ということで、それぞれの演奏にはかなり緻密なアレンジが入っていると思うのですが、逆にトリオとしてのインタープレイというか、相互アドリブが濃密の極みというりが、本当に凄いと思います。
当時の3人は、例えばレイ・ブラウンはオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラーとして全盛期でしたし、シェリー・マンは自己のバンドとスタジオワークの掛け持ちでテンテコ舞状態だったでしょう。バーニー・ケッセルだけが、どちらかと言うと、スタジオセッション中心の悠々自適でしょうか。
しかし流石は人気投票で首位を獲得するだけの力量には、完全降伏の仕上がりです。
そして既に述べたように、演奏の音の良さが抜群です! その部分だけ聴いていても満足出来る作品だと思います。