全然ジャズモードに入れないんで、開き直って好きなの、聴いてます。
で、本日はこれ――
■Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore West (Rhino)
ソウルの女王様と言えば、アレサ・フランクリン!
その彼女がアメリカの白人客を相手に堂々と歌いまくったライブ盤です。
それは1971年3月、しかもバックバンドがキング・カーチス&キングピンズ、ゲストがレイ・チャールズとビリー・ブレストンという、超豪華絢爛なショウです。
これは当時所属していたレコード会社の方針として、白人層に黒人ミュージシャンのレコードを売りたいという思惑から、アレサ・フランクリンをロックの殿堂「フィルモア」に出演させて作られたものです。
こういう戦略は他に、CBSがマイルス・デイビスを同じ小屋に出演させた前例があり、苛烈な人種差別が混濁していた1970年代前半のブラックパワーを商売に結びつけた感があります。
しかし「フィルモア」のギャラだけでは、アレサ・フランクリンは出演できないため、そのステージからライブ盤を製作して破格の印税を渡す契約だったそうです。
したがってバックバンドもゲストも普段よりも豪華というわけです。
本日取上げたCDは4枚組で、3月5~7日の音源をコンプリートに収めていますが、リアルタイムでは「アレサ・ライブ・アット・フィルモアウエスト(Atlantic)」と「キング・カーチス・ライブ・アット・フィルモアウエスト(Atlantic)」の2枚が発売されました。
いずれも大名盤ですが、このコンプリート盤を聴くと、流石にベストテイクだけを選んで作り上げていることが分かります。
肝心の中身は、まずキング・カーチス(ts) 一党の演奏が強烈で、コーネル・ドュプリー(g)、ジェリー・ジェモット(b)、バーナード・パーディ(ds) を核とするリズム隊が最高級のグルーヴを生み出しています。しかもビリー・プレストンのオルガンまでもが入っているのですからっ♪
まずこのメンツを含むキングピンズのライブでは、今や歴史的名演とされている「Memphis Soul Stew」でのバンドメンバー紹介が最高のカッコ良さで、当に聴かずに死ねるか! です。
そしてアレサ・フランクリンの熱唱とバックコーラスの黒いうねりが強烈な本篇では、白人ロック曲をソウル色に染上げた演目が、もう、たまりません♪
例えばスティーヴン・スティルスの「Love The One You're With」やブレッドの「Make It With You」は、今日で言うところのフリーソウルの先駆けですし、ビートルズの「Eleanor Rigby」やサイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」は本家ゴスペルのグルーヴが全開です♪
このあたりは、白人の客層を殊更に意識したものでしょうが、その真っ黒なフィーリングは唯一無二の強烈さ!
さらにアレサ・フランクリンの十八番のヒット曲やレイ・チャールズを迎えてのクライマックスは、言う事無しの物凄さです。
残念ながらコンプリート盤は限定プレスのために入手が困難になっているようですが、通常流通のアレサ・フランクリンのライブ盤は、ぜひとも聴いていたたきとうございます。
一応画像からリンク入れてあります。
気合、入りますよ!